Varjoは、高性能なプロレベルのハードウェアで処理されたAutodesk VREDから、XRヘッドセットやラップトップ、モバイルデバイスのような一般消費者レベルのハードウェアまで、ユーザーがXRコンテツをストリーミング出来る安全なSaaSプラットフォーム「Varjo Reality Cloud」を発表しました。

Varjoは、アイトラッキングと人間が眼で見ているレベルの解像度のディスプレイを備えた、世界トップクラスのVRヘッドセットで知られています。非常に精密なため、コックピットの飛行計画等を完全に読み込む事が出来ます。これは、ほとんどの没入型XRアプリにとって、不可欠なものです。

以前は、これほど高い精密さを実現するためには、XRヘッドセットを高性能なローカルワークステーションに接続し、強力な(そして非常に高価な)GPUおよびCPUの構成でレンダリングを処理する必要がありました。そのような高価なコンピューターを物理的に所有することが、最適とは言えない場合も多くありそうです。例えば、デモルームを様々な場所に展開し、物理的にそういったコンピューターを設置したい場合、費用がかさみ、現場では専門的な知識が必要になるかもしれません。

「Varjo Reality Cloud」は、そういった問題をエレガントかつ効率的に解決するリモートレンダリングソリューションとなっています。データセンター(今回の例ではAWS)でレンダリングが行われ、高速・低遅延で安価なシンクライアントにストリーミングされます。エンドユーザーにとって、通常のアプリを起動するのと同じくらい簡単になります。

こういったクラウドソリューションは他にも存在しますが、人間の目と同等レベルの解像度のレンダリングとディスプレイという強みを最大限に活かしているのはVarjoだけです。これは法人向けXRビジネスにおける大きな利点であり、このサービスに注目する大きな理由の1つです。

良好な通信環境は必要となりますが、一般家庭レベルの普通のインターネットで動作します。Varjoは、サンフランシスコのフォトスタジオを借りて一般的なインターネット接続でテストを行いましたが、このサービスに必要なのは35Mbps(メガビット/秒)のみです。

Varjo独自のFoveated transportアルゴリズムのおかげで、帯域幅をほとんど使用しません。”foveated”とは、物事に優先順位を付けるために動かす視線を追跡することを意味しています。

Varjoは、各フレームの構築中に視線のレンダリングを行いますが、これはネットワークを介してレンダリングされたフレームの圧縮と送信によって生み出されます。同社は、1000:1のロスレス圧縮比を実現出来ると説明しています。

Urho Konttori氏/CTO (写真右)とJussi Mäkinen氏/CBO (写真左)

全体的に非常に優れたエクスペリエンスになっており、オフライン環境でのXRエクスペリエンスに匹敵します。圧縮に伴う目立ったノイズやエラーは無く、建築物のプレビューのように、90FPS以上のフレームレートを常に必要としないアプリケーションには最適と言えます。

最初のデモは、自動車を現実のスタジオに上手く統合した「ヴァーチャルショールーム」でした。Varjoは、現地の照明を正確に調査することで、自動車が実際に存在するかのように3Dでレンダリングすることに成功しました。車内を見ることも可能で、全ての設備は鮮明で正確に表示されていました。

メタヒューマンのデモ(Varjoのウェブサイトより引用)

デモの第2弾は「メタヒューマン」で、ヴァーチャルキャラクターをリアルにレンダリングする必要がありました。繰り返しになりますが、Varjoのヘッドセットが備えている非常に高い解像度は、髪の毛や服の質感といった細かい部分に関して、見える世界に違いをもたらします。細部のディティールが、非常に良く再現されています。表示されているメタヒューマンは非常にリアルで、近づくのに気を遣うほどでした。

Varjo Reality Cloudのサーバーを個人的に構築したわけではありませんが、その概念は良く理解しており、このサービスが生活をはるかに楽にしてくれるという理由だけでも魅力的なことは間違いありません。

さらに、設備を購入する代わりに仮想ワークステーションを短期間レンタルすることで、特別なイベントや毎週の取締役会議といった場で準備と片付けを素早く行うことが可能になります。これによって、僅かなコストで、様々な使い道に活用出来る可能性が広がります。

編集部が日本向けに翻訳編集したものです

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