これまで”Adobe Spark”として知られていた「Adobe Express」は、2021年からクラウドベースのオールインワンデザインプラットフォームとして利用可能になりました。そして今回、Adobeは数ヶ月にわたるベータテストを経て、Expressに追加されるAIベースの機能を一般公開しました。今回の追加は、2023年5月にローンチされ、6月に完全に組み込まれた生成系AI「Firefly」との統合に続くものとなっています。

AIを活用した新しい「Adobe Express」を使用することで、デザインの専門知識が無くても、魅力的なビジュアルコンテンツを簡単に作成出来ます

このオンラインアプリは、様々なスキルレベルのデスクトップユーザーに対応し、SNS向けの投稿、動画、画像、PDF、ロゴ等の幅広いコンテンツを作成するための高速でユーザーフレンドリーで楽しい体験を提供します。Expressは、100以上の言語のプロンプトをサポートしており、ユーザーは高品質の画像と魅力的なテキスト効果を短時間で生成することが出来ます。

Canva(2013年に導入、最近生成AI機能が発表)やMicrosoft Designer(2023年4月リリース)等のプラットフォームと比較すると、Adobe Expressは無料で使用可能で、高度な機能を備えた9.99ドルのプレミアムプランも提供されています。プレミアムプランはほとんどのCreative Cloudのサブスクリプションに含まれており、AdobeのPhotoshop、Illustrator、Acrobatとのシームレスな連携が可能になります。さらに、Adobe Express Enterpriseは大規模なチームをターゲットにしており、Creative Cloud及びAdobe Experience Managerとの共同ワークフローを統合しています。

先日の説明会で、Adobe Expressの製品責任者であるIan Wang氏は、AIを活用した新しいオールインワンのエディター機能のデモを披露しました。ユーザーエクスペリエンスは、使いやすく、習得しやすいように作られています。

筆者は元デザイナーという経歴から、この新しいツールによって、特に中小企業にとってデザイナーの必要性が無くなるのではないかと自問しました。「中小企業には、通常デザイナーを雇う時間も労力もありません。そして、デザイナーがより多くのことが出来るようになるため、私達はデザイナーから直接多くのフィードバックをもらっています」と、Ian Wang氏は述べています。

Canva等のデジタルツールは、私達のクリエイティブ作業のプロセスの生産性を間違いなく向上しており、Ian氏の評価には同意します。とはいえ、たとえ半自動のデザインソフトウェアに頼ったとしても、洗練されたクリエイティブツールによってロゴやチラシを作成する際のプロの判断を再現することは出来ません。

さらに、デザイナーは全てのマーケティング資料にそのブランドのスタイルを実装するために必要な制作段階よりも創造段階を好む、というIan Wang氏の主張に対して筆者は同意しています。自動化されたソフトウェアは、複数のドキュメント間でブランドの一貫性を確保しながら、そのタスクの生産性を確実に向上させることが出来るでしょう。

Adobe Expressの新機能まとめ


新しいオールインワンエディターを使用することで、ユーザーは様々なSNS向けにインパクトのあるデザイン、動画、画像、PDFを作成することが出来ます。Fireflyのおかげで、Adobe Expressでは100以上の言語のテキストプロンプトを使用して、カスタム画像とテキスト効果を生成可能となっています。

Creative Cloudアプリを使用した詳細なワークフローによって、Express内でPhotoshopやIllustratorからクリエイティブアセットに簡単にアクセスしたり、編集出来るようになりました。

拡張されたコンテンツライブラリでは、新しいビデオエディターや新しい複数ページのテンプレートで使用可能な約2億個のアセットやAdobe Stock画像、2万個以上のフォント、アイコン等が提供されるようになりました。

また、PDFに対応することで、文書のインポートと拡張が効率化されます。強化されたAI機能は、クリエイターがデザインを決定し、個別にお勧めされたテンプレートを提供するのに役立ちます。

クイックアクションにより、背景の削除、アニメーション効果、GIF変換、PDF編集等のタスクが簡素化されます。”Animate from Audio”を使用すると、録音されたダイアログと同期する唇やジェスチャーでキャラクターを簡単にアニメーション化することが出来るようになります。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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