Honor 70は、美しい職人技で高級感のある外観や高性能なメインカメラを求めるユーザーの期待に応えるスマートフォンです。
良い点 | 悪い点 | 評価 |
薄くて軽い、エレガントなデザイン | 可変リフレッシュレートを さらに細かく設定出来た方が良い |
8.9/10 |
非常に高精細なディスプレイ | 防水性能は無し | 価格 |
高性能カメラ | 専用ズームカメラは非搭載 | 650ドル〜 |
ドイツのベルリンで開催されたIFA 2022の取材中に正式発表されたHonor 70シリーズ、特に「Honor 70」は、競争の激しい600ドル以上の市場セグメントにハイエンドモデルの外観と雰囲気をもたらすように設計されています。それでは、この美しいスマートフォンの使い心地や詳細を紹介していきます。
このスマートフォンは米国には正式な販路が無いため、650ドルの実売価格はより高価な輸入販売業者を参考にしています。米国以外で言うと、英国の公式価格は基本モデルで499.99ポンド(8GB RAM/128GB ストレージ)です。スペインとフランスでは、公式価格は549ユーロとなっています。256GBのストレージが必要な場合は、599ユーロとなります。
デザイン
Honor 70は、両面にガラスを備えた薄型で軽量な本体と「Super dual curved screen」を中心に構成されています。
このタイプのデザインは、以前は製造するのが非常に高価でしたが、それが主流なセグメントである650ドルの価格帯のスマートフォンに取り入れられるのは素晴らしいことです。皆さんが湾曲ディスプレイを好むわけではありませんが、筆者はそれをとてもクールに思いますし、本体は手に良く馴染みます。
一部には、不要なタッチを誘発するグリップ問題を覚えている人もいるかもしれませんが、曲面スクリーンを備えた最近のスマートフォンではこのような問題は発生していないので、現在では同様の問題は起きないのかもしれません。他の人がどのように考えているのか、気になるところではあります。
今回のレビュー機は”エメラルドグリーン”で、指紋防止加工がされた背面のマットな質感は素晴らしい外観です。また、Honorには他にもクリスタルシルバー、アイスランドフロスト、ミッドナイトブラック等も用意されています。
本体は、6.67インチのスマートフォンとしては178gと軽量で、7.91mmと非常に薄型です。多くの人、特にスマートフォンをズボンやシャツ等のポケットに入れて持ち運ぶ人にとっては嬉しいポイントです。
残念ながら、防水認証(IP等級)はありませんので、水には十分ご注意下さい。この価格帯では、防水対応によって価格が上がるため、それほど驚くことではありません。非公式でも防水性能があれば良かったのですが、それも無いようです。
サウンド
右底部にあるモノラルスピーカーは、歪みの無いオーディオを提供してくれます。非常にまともですが、デュアルスピーカーを備えたデバイスほど音量は大きくありません。それと同時に、手頃な価格で高級感のあるスマートフォンを作るには、リソースを分散する必要があることは理解できます。
ディスプレイ
リフレッシュレート120Hz、FHD+(2400×1080)の6.67インチOLEDディスプレイは非常に素晴らしく、設定にはあらゆる種類の調整オプションが用意されています。個人的には、色と温度のモードを「鮮やか(デフォルト)」ではなく「自然」に設定するのが好みですが、それ以外の設定はデフォルトの状態でも十分機能しています。
可変リフレッシュレートによって、スクロールの滑らかさとバッテリー寿命を適切なバランスで実現してくれるでしょう。変動率はより高価なデバイスほど小刻みではなく、1Hzまたは10Hzまでは低下しません。ただし、システム全体の電力効率がそれを補っています。
おなじみの有機ELで発色が良く、Honorデバイスには本体カラー(今回はグリーン)と一致する背景画像がプリセットで用意されています。
手動設定で最大輝度を設定した場合、784ニトと非常に高い数値が得られました。直射日光の下でもそれほど高い輝度にはなりませんので、おそらくそれが上限でしょう。より高価なディスプレイでは一時的に1500ニトを超える場合もありますが、長時間オンのままにしておくと目が順応して余分な明るさが無効になるため、それは一時的なものです。
最後に、画面埋め込み式の指紋リーダーがあり、強い光を当てて指紋を読み取ります。私達の経験では、上手く機能しており、効率的でした。超音波リーダーと比較して最も目に見える欠点は、目が暗闇に慣れている時の指紋リーダーの極端な明るさです。
カメラ
新型のHonor 70に搭載されているカメラは、f値1.9の27mmメインカメラにSonyの新型センサー「IMX800」を初めて採用したことで、ネットでも大きな話題となりました。
IMX800は1.0ミクロンの検出ピクセルを備えた50MPセンサーであるため、約50mm² (実際には54 mm²) の大きさのセンサーになります。これは、例えばGalaxy S22のメインカメラに搭載されているSamsung GN5と似たようなサイズとなっています。
Honor 70のウルトラワイドカメラも興味深いもので、同じ50MPのセンサーを備えていますが、ピクセルサイズはおそらく非常に小さく、0.6〜0.7ミクロンの範囲内であると考えられます(あくまでも撮影した写真から判断した、私達の推測です)。最後に、f値2.2の13mmレンズでは、このセンサーを最大限活用するのに十分な光量を取り込むことが出来ない可能性があります。
3つ目のカメラは、ポートレートモードの背景をボカす補助をする深度センサーになります。
UbergizmoのCAMERA HWでのHonor 70のスコアは147という結果で、これは、同等のメインカメラ及びウルトラワイドカメラを備えて最近発売された「Samsung Galaxy Z Flip4」に近い数値となっています。
CAMERA HW ベンチマークスコア | 機種名 |
203 | Samsung Galaxy S22 Ultra |
164 | OnePlus 10 Pro |
155 | Samsung Galaxy Z Fold 4 |
148 | Samsung Galaxy Z Flip 4 |
147 | Honor 70 |
134 | OnePlus 10T |
125 | Huawei Nova 10 Pro |
望遠カメラはありませんが、2倍ズームはおそらく50MPのセンサークロッピング技術を使用しており(あくまで私達の意見です)、光学1.7倍ズームに近い仕上がりとなっています。5〜10倍のロングズームよりも、50mm内のポートレート写真に便利に使うことが出来ます。
超広角カメラは、iPhone 13 Proの超広角カメラよりもシャープで鮮明な画像を撮影することが出来ます。ただし、常に同じような画像が撮影出来るわけではありません。Honorの超広角カメラでの撮影は、カメラが動かないように通常よりも慎重に構えないと、昼夜を問わず少しぼやけた仕上がりになる傾向があります。超広角カメラは、わずか2.5cm離れた被写体に焦点を合わせることが出来るため、マイクロカメラとしても機能します。
Honorは、TikTokやInstagramなどに対応した縦型動画を撮影することが出来る”Solo Cut Mode”と呼ばれる優れたソフトウェア機能を追加しました。そのアイデアは素晴らしく、横向きで動画を撮影している際に、追跡する人物を1人選択することが出来ます。同じ被写体で、編集不要でストーリーズ等に投稿することが出来る縦型動画を別に作成してくれるというものです。
パフォーマンス
Honor 70には、元々はハイエンドスマートフォン向けに設計されたQualcommの「Snapdragon 778G(5G)」が搭載されています。その価格帯では、それは優れたCPUパフォーマンスを提供し、ほとんどのユーザーは日常の使用や簡単なゲームで満足出来るはずです。
当然のことながら、このスマートフォンは同じくSnapdragon 778Gを搭載する他のスマートフォン(Honor 60やHonor 50)と全く同じ性能を発揮します。
このチップは2021年5月に登場したので、Oppo Reno8のような一部のスマートフォンがMediaTekの「Dimensity 1300」といったより高速なプロセッサを搭載していることは驚くべきことではありません。
ヘビーユーザーやゲーマーは、パフォーマンスに特化した他のスマートフォンに目を向けるかもしれません。しかし、Honor 70のデザインやカメラの利点(セルフィーカメラを含む)の一部を手放す必要があるかもしれません。
極端に高い性能を求めるユーザーにとって、OnePlus 10Tのようなスマートフォンは、ほぼ同じ予算で手強い競合機種となりますが、メインカメラはHonor 70ほど高性能ではありません。
ソフトウェア
他のAndroidスマートフォンと同様に、HonorがGoogleサービスへ完全にアクセス出来ることは言うまでもありません。Huaweiの子会社としての過去の経歴を疑問視する人もいますが、Honorは現在独立した企業となっています。
このスマートフォンはAndroid 12で動作し、HonorのMagic UI 6.1が表面的なレイヤーとして動作しています。Honorに慣れ親しんでいる人にとって状況はあまり変わっていないので、使い慣れた環境で使うことが出来るでしょう。HuaweiのHarmonyOSにも同じことが言えます。これは、両方のソフトウェアに多くの共通点があるからです。
別のAndroidテーマを使用しているとしても、心配する必要はありません。Magic UIは通常のAndroidに似ており、あらゆるAndroidユーザーにとって十分に直感的です。
バッテリー
4800mAhという容量は以前のHonor 60よりも少し大容量ですが、ディスプレイのリフレッシュレートが高いため、全体的なバッテリー持ちは非常に似ています。PCMark Work 3.0(200ニト)のような客観的なバッテリーベンチマークは、連続的な負荷とオンスクリーンの状態で10時間20分のバッテリー持ちを記録しています。
現実の世界では、これはストレスの無いスマートフォン体験に繋がります。1日が終わった段階で、バッテリー容量に余裕を持って帰宅出来たほうが良いはずです。ところで、これほど薄い本体にこれほどのバッテリーが詰め込まれていることは驚異的です。
充電が必要な場合、付属の66W電源アダプタ(大手ブランドでは約45ドル相当)を使用すると、バッテリーが0から80%まで約30分で充電されます。これはiPhone 13 Proよりもはるかに高速ですが、現在の市場においては最速というわけではありません。
まとめ
Honor 70は、美しい作りと高級感のある外観、優れたメインカメラ性能を求めるユーザーの要望に応えるスマートフォンに仕上がっています。そして、Honorはそれを実現しています。Honor 70はベースモデルであり、同シリーズにはHonor 70 ProとHonor 70 Pro+という2つの上位デバイスが存在することは忘れないで下さい。
Honorは、特定の素材や部品を採用するために、リソースを分配しています。そのため、これはゲーミングスマートフォンではなく、最高のカメラを備えたスマートフォンを謳っているわけでもありません。Honorには、Honor Magic4シリーズといった他の選択肢が用意されています。
実売650ドルという価格において、このスマートフォンの強みを重視するユーザーに対して興味深い価値を提供することがわかりました。最も競争の激しい市場セグメントの1つであることに疑いの余地はありませんが、純粋な技術的仕様やベンチマークの数値よりも、デザイン、ブランドの信頼性、ユーザーエクスペリエンスに基づいて、Honorはユーザーに購入の是非を問いかけようとしているのかもしれません。
この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
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