将来のエネルギー生産に不可欠であることが証明されるかもしれない新種の鉱物が発見されたタイミングで、偶然にも中国が3つの新たな月に関わるミッションを承認したという報告が飛び交っています。

月の土壌サンプルから発見されたこの鉱物は、嫦娥石/Changesite-(Y)と名付けられました。

その鉱物は、つい数日前に、Commission on New Minerals, Nomenclature and Classification (CNMNC)で発表されました。この鉱物が発見された土壌サンプルは、米国とソ連が過去の月面探査で収集した他のサンプルよりも10億年古いと考えられています。

中国は、月の新種鉱物を発見した3つ目の国となります。ちなみに、月面の新鉱物に関して、この40年間特に新しい発見は起こっていませんでした。これは、歴史的快挙です。

この出来事は素晴らしいことですが、エネルギーの観点ではどうでしょうか?この新鉱物は、「Helium 3」を含有していると言われています。それは、地球上にはほとんど存在しないヘリウムの1種であり、核融合エネルギー関連では非常に価値がある可能性があります。

詳しい説明は割愛しますが、原子炉に害を及ぼす可能性のある放射線を大量に放射することなく大量のエネルギーを生成することが出来るため、Helium 3は核融合の理想的な燃料になる可能性があります。

月にHelium 3が豊富に存在する可能性は以前から伝えられており、中国が2014年から取り組んできた月の採掘計画もそれが目的です。これほど貴重な資源は、月への宇宙進出計画を加速させる可能性があり、近年”月への帰還”という話題についてよく耳にするのはそのためです。

今回の発見は、何を探し、どこから採掘を始めるかを定義する役に立ったかもしれません。Christopher Barnatt氏は、自身が書いた「Helium-3 Power Generation」の中で、スペースシャトル1台分に相当するヘリウムで、米国全体に1年間電力を供給出来ると述べています。したがって、宇宙採掘の莫大なコストに見合うだけの価値があるということです。

新鉱物によって信じられないような見込みが考えられる一方で、過去数年の飛躍的な進化にも関わらず、核融合はまだ実用化に至っていません。核融合炉の研究に取り組んでいる研究者達は、核融合の安定性をより持続させることに成功しており、そう遠くない未来にそれが機能し、世界を前向きに変化させる可能性がありそうです。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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