最新のスマートフォンで衛星通信対応が進む中、Androidがアプリ向けに衛星通信機能を統合管理する新たな「サテライト・コネクティビティ・ハブ」を準備していることが明らかになった。これは、携帯電波が届かない環境でもアプリが動作する未来を見据えた、OSレベルでの大きな進化と言える。

この機能は、Android 25.12 Canary版を搭載したPixel 9で発見されたもので、衛星通信の接続テスト項目や、対応アプリの一覧を表示する専用メニューが確認されている。表示されるアプリは、ユーザーが契約する通信事業者の非地上系ネットワーク(NTN)方式によって異なる点が特徴だ。
Androidは現在、2種類の衛星通信規格を認識している。ひとつは「NB-NTN(狭帯域)」で、低速ながらテキスト送信や緊急位置共有に対応する方式だ。この場合、Emergency SOS、メッセージ、マップなど、安全性を重視した最小限のアプリのみが利用可能となる。
もうひとつは「LTE-NTN」で、より広い帯域を活用でき、テキスト通信に加えて音声通話にも対応する。LTE-NTNが利用可能な環境では、天気情報アプリやSNS、メッセージングアプリなど、対応アプリの幅が大きく広がる。これにより、災害時だけでなく、山間部や海上など日常的に圏外となる場所でも情報取得やコミュニケーションが可能になることが期待される。
現時点で正式に衛星通信対応が確認されているのは、Googleマップ、メッセージ、WhatsAppのみだが、他のアプリがリストに表示されていることから、今後の対応拡大を見据えた準備段階と考えられる。
さらに、クイック設定には衛星通信を即座にオン・オフできるトグルも用意されており、長押しすることで専用メニューへアクセスできる。この仕組みは、Androidが将来的に衛星通信を特別な機能ではなく、当たり前の接続手段として扱おうとしている姿勢を強く示している。
通信インフラの進化とともに、Androidは“圏外”という概念そのものを過去のものに変えようとしているのかもしれない。























