Perplexity は 2025年10月、AI統合型ブラウザ Comet を全世界で無料提供すると発表した。これまで同ブラウザは月額200ドルを支払う Max プラン契約者のみが利用できる特権機能だったが、その壁を撤廃し、従来の尺度を覆す試みを始めている。
🌐 Comet の設計思想:ブラウザ×AI の融合
Comet は従来の「AIはブラウザの付加機能」という形とは異なり、「AIがブラウザと共に動く」設計を目指す。ユーザーがウェブを閲覧する各タブで AI アシスタントが常駐し、ページまとめ・キーワード抽出・買い物支援・旅行プラン提案・タスク処理などを行う。いわば、行動支援型ブラウザとして位置づけられる。 
このアプローチにより、単なる「ページ表示装置」ではなく、「思考や行動を助ける相棒」のような機能性を目指している。 
📈 無料化の背景と差別化戦略
Comet を無料提供に切り替えるその意図は、ユーザー基盤の拡大と、Chrome をはじめとする既存大手への挑戦である。Perplexity は、無料化後も将来的にこの仕様を維持する意思を示し、チャレンジャーとしてのスタンスを強めている。 
あわせて発表された Comet Plus は、有料オプションとしてキュレートニュース配信を提供。CNN、The Washington Post、Le Monde など複数の出版パートナーと提携し、販売収益の一部をコンテンツ提供者に還元するモデルを採る。無料版と Plus プランとの差別化で収益基盤を確保しつつ、普及力を狙う構図だ。 
ただし、無料化にあたっては レート制限 が設けられる見込みであり、使用頻度・機能利用のうえで制約が存在する可能性も指摘されている。 
🔍 特徴・利便性と課題
長所
•Chrome などと同じく Chromium ベースのため、拡張機能・ブックマーク等の互換性を保ちつつ移行しやすい。 
•AI アシスタントが文脈を追いかけながら機能する「常駐型」構造により、ユーザー体験がシームレスになる可能性。 
•調べ物・タスク・生産性向上の支援機能を統合することで、ブラウジング中の中断や切り替えコストを削減できる。 
注意点・リスク
•無料化後でもレート制限が導入される可能性があり、ヘビーユーザーには物足りなさを感じさせるかもしれない。 
•AI 機能の過剰な介入が誤動作やプライバシー懸念を引き起こすリスク。DOM 操作・タスク自動化といった動作許可範囲の透明性が鍵となる。
•出版社コンテンツと AI 要約・引用方式との著作権調整やフェアユース論点も議論対象になりうる。
✅ 総評:AI 時代のブラウザ競争に放たれた切り札
Comet の無料化は、AI統合ブラウザを一般ユーザーの生活インフラへ昇華させようという大きな試みだ。Chrome に対する明確な挑戦状とも取れるが、その成否は「実用性」「安定性」「利用制限とのバランス」「プライバシー保護」の評価にかかっている。
ガジェット好き・ウェブ技術好きにとって、Comet は今後のブラウザ像を変えうる注目株だ。実際に使ってみた比較レビュー・機能挙動評価・長期運用の安全性検証が今後の焦点となるだろう。