Cherry MXベースのカスタムキーボードでは再現出来ないタイピングエクスペリエンス

良い点 悪い点 評価
IBM Model M SSKの素晴らしい再現 重くてかさばる 8.5/10
非常に優れたビルドクオリティ ゲーム用には理想的ではない 価格
90年代のModel Mに似た打鍵感 非常に限られたカスタマイズ 149ドル

 

メカニカルキーボードUnicomp Mini M」は、懐かしさとモダン性を美しく融合させたデザイン美を誇りますが、この製品は、かつて愛されたIBM Model M SSK(省スペースキーボード)に敬意を表しています。オリジナルを知るキーボード愛好家を魅了する、時代を超越した魅力を醸し出しています。ある意味、それはTKL(テンキーレス)キーボードの元祖とも言えます。

Unicompに馴染みのない方のために説明すると、この会社は、IBMがModel Mキーボードの製造を中止した時に設立されました。そのキーボードビジネス及び製造工場の従業員は、ライセンスとツールを購入し、Unicompブランドを冠してこれらの素晴らしいキーボードを作り続けました。

細部まで細心の注意を払って作り上げられたこのキーボードは、優れた製造品質を備えています。滑らかなマットブラック仕上げの頑丈なプラスチックケースから頑丈なフレームに至るまで、その構造のあらゆる部分から耐久性の高さがにじみ出ています。

タイピング中に頑丈さを感じることができ、激しいゲームや仕事の作業中でも安定したタイピング体験が保証されます。キーキャップは厚く良く出来ており、長寿命でクリック感の強いキーボードが好きな人には満足の行く感触を提供します。

Unicompは、レトロなデザインとわずかに更新された製造技術(USB-A端子のサポート)を完璧に融合させ、スタイルと耐久性どちらの期待にも応えるキーボードを実現しました。Unicomp Mini Mでタイピング体験を向上させましょう。

IBMのバックリング・スプリング


Unicomp Mini M メカニカルキーボードは、伝説的なタイピング体験で知られる「バックリンク・スプリング」スイッチを採用しています。これらのスイッチは心地よい打鍵感と満足のいくクリック音を提供し、キーストロークを楽しくします。

Cherry MXGateronといった他の一般的なメカニカルスイッチの種類と比較して、バックリンク・スプリングスイッチはユニークでレトロなタイピング体験を提供します。キーの押下圧も非常に高いので力が必要になりますが、Unicomp Mini Mから得られる特有のフィードバックとそれが呼び起こす純粋な懐かしさにより、IBM Model Mのタイピング感を求める人にとって傑出した選択肢となっています。

タイピングエクスペリエンス


タイピングの感触は、以前使用していたIBM Model Mキーボードを彷彿とさせます。筆者は2台所有していましたが、どちらも90年代初頭に製造されたものになります(80年代のモデルよりも製造コストが低かった)。

新しいバックリンク・スプリングスイッチを作動させるには、かなりの力が必要です。最終的には少し減少するでしょうが、スイッチの”硬さ”が弱まるまでにどれくらいの時間がかかるかはわかりません。テストに使用したCherry MXスイッチでは比較にならず、Kailh Boxの青軸や黒軸でさえ、それほどではありませんでした。

個人の好みなので、キーボードの打鍵感や音が気に入るかどうかはわかりません。ただし、”静か”なキーボードや”軽いタッチ”のスイッチを好む人は、おそらくこのバックリンク・スプリングスイッチは避けた方が良いことは予測出来ます。

筆者はIBM Model Mのファンですが、いくつかの微妙な違いがあることもお伝えしておきます。個人的にはこのキーボードをコーディングに使うのが好きで、よくその用途で使用しています。ただ、このレビューを書くような長文の入力には、より快適なキーボードが他にあります。

例えば、Khail Bocの白軸(クリック感が強め)を備えたKeychron V1を所有しており、オフィスにはLogitech MX Mechanical miniが置いてあります。どちらも非常に軽い打ち心地で、Model Mの重い打鍵感は、ジャーナリストであれば少し疲れる可能性があると言っても過言ではありません。

レイアウトとキーキャップ


Unicomp Mini Mは87キーのキーボードで、筆者はANSI US版を持っています。オリジナルのIBM Model Mと比較すると、Windowsボタンとメニューボタンが追加されていますが、その他はほとんどそのままとなっています。

外側から見ると、キーキャップはIBMが当時使用していたものと同じデザインです。キーボードのキーは1ピースの昇華型PBTキーキャップですが、2色成形キーキャップもオプションとして販売されています。

このキーキャップの設計は、Cherry MXやその他のより広く採用されている標準品と互換性が無いため、キーキャップのカスタマイズオプションはほとんどありません。また、バックライトも搭載されていません。最近の製品では考えられないかもしれませんが、Unicompの目標はオリジナルのデザインを維持することでしたので、仕方が無いのかもしれません。

 

騒音レベル


このキーボードはオフィス向けではなく、過去数十年間に見たり使ったりしたどのメカニカルスイッチキーボードよりもうるさいという点にはご注意下さい。幸いなことに、高音ノイズは発生しないので、それは良いことでしょう。とは言え、半径5m以内にいる同僚が嫌がる可能性がある騒音レベルとなっています。

接続性と互換性


36年前のキーボードのクローンであるにも関わらず、このUnicomp Mini MはUSB接続を備えており、他のUSBキーボードと同様に動作します。キーボード側面にUSB-Aポートがあり、コンピューターと容易に接続することが可能です。

キーボード側にUSB-Aコネクタがあるのは奇妙に思えるかもしれませんが、USB-Cコネクタよりも頑丈なので、おそらくそれが選択された理由でしょう。コネクタの位置はオリジナルのキーボードを模倣していますが、本体の左側にある方が良かったと思います。

時々、キーボードが”フリーズ”し、3つのLED(Num Lock、Caps Lock、Scroll Lock)が全てオンになるというちょっとした問題が発生します。これに対処するには、キーボードを取り外して再接続する必要があります。この問題に直面しているのは、私だけではないようです。大したことではありませんが、これはあってはならない問題です。

カスタマイズとプログラム


以前に示唆したように、カスタムキーキャップやその他のカスタムハードウェアを見つけるのはほぼ不可能であるため、カスタマイズに関してはあまり期待しないほうが良さそうです。Unicompのおかげで、必要に応じて修理・交換用のスペアパーツは揃いますが、面白くてデザインを楽しめるキーキャップはありません。

そうは言っても、このキーボードを”青いキーを備えた美しいオリジナルのIBM Industrial SSK”を彷彿とさせる外観にするために、UnicompにネイビーブルーのANSIカラーキーセットを注文しました。おそらく著作権上の理由(?)によって、オリジナルのIBMブルーの色は使えないのかもしれません。

Aliexpressで金属製のIBMのロゴステッカーも発見。キーボードに楽しいノスタルジックな雰囲気が加えられた

私の知る限り、キーボードには特別なプログラム機能はありません。ゲーマーの場合、最新のコントローラーを使用することでキーボードゴースティングは軽減出来ますが、Nキーロールオーバーは無いため、ゲーム自体はプレイ可能ですが、理想的なゲーミングキーボードとは言えません。

まとめ


数年前まで、Unicompのキーボードは105ドル強で販売されていましたが、現在この「Unicomp Mini M」の価格は送料と税金を除いて149ドルとなっています。価格に見合う価値があるかと聞かれたら、「場合による」としか言えません。

初期のModel Mを本当に使い込んでいた人間にとっては、価格に関係無く、MXベースのカスタムキーボードハードウェアを使用してこの体験を再現することは不可能なので、個人的にはそれだけの価値はあると思います。実際、キーボードをより楽しめるよう、色々と追加で購入しています。

Model Mの体験を特に求めていない人は、一度試してどれだけ気に入るかを確認した方がよいでしょう。

製造品質の観点から、このキーボードはKeychron V1のような99ドルキーボードよりもはるかに優れていると考えています。そのため、純粋にビルドクオリティに関して見ても、このキーボードの価格は妥当であると思われます。

  • 接続: USB
  • ケーブル(長さ): 1.8m
  • キー/ボタンの数: 87
  • 長さ: 395.4mm
  • 奥行き: 190mm
  • 高さ: 59.4mm
  • 重量: 1.47kg
  • 総重量: 1.81kg

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

原文はこちら