人々が二酸化炭素排出量を削減し、燃料費を節約する方法を模索する中、電気自動車(EV)の人気は日に日に高まっています。しかし、別のクリーンで再生可能なエネルギー源である太陽光を使ってEVに電力を供給出来るとしたらどうでしょうか?

これが、自動車業界の最新のイノベーションの裏にある考え方です。自動車メーカーは、太陽エネルギーを利用して航続距離を延ばし、排出ガスを削減し、さらには運転コストを削減出来る車両を開発しています。

TOYOTAのPRIUS(2023)には、自動車のバッテリーを充電可能なソーラールーフがオプションで装備されています(画像: トヨタ)

 

大きな変化


TOYOTAは、車のバッテリーを充電出来るソーラールーフオプションを備えた次世代プリウスを発表した時に見出しを飾りました。エアコンにしか電力を供給出来なかった以前のモデルとは違い、この新型プリウスはソーラーパネルのお陰で駐車中にバッテリーを充電することが出来ます。それほど大きな電力を生み出すわけではありませんが、短い距離を走行するには十分な電力量であり、最も良い点は完全に無料であるということです。

Sono MotorsのSionには、バッテリーを充電するソーラーパネルが搭載されており、1週間あたりの航続距離が約400km増加します(画像: Sono Motors)

しかし、EVを再考しているのはTOYOTAだけではありません。2022年、Sono Motorsは、ソーラー技術を完全に搭載した5人乗り自動車「Sion」を発表しました。Sionのソーラーパネルは小型バッテリーをあらゆる角度から充電し、理想的な条件下では1週間でさらに約400kmの航続距離を追加で提供します。Sono Motorsの共同CEO兼共同創設者であるLaurin Hahn氏はCNBCとのインタビューで、これは年間にすると9000km以上に相当し、費用は無料で、毎日の通勤に最適だと強調しました。

Lightyearは、上部とボンネットにソーラーパネルを統合した電気自動車を製造することで業界に波紋を広げています。その革新的なソーラーパネルは5㎡の面積をカバーし、年間で推定1万km以上の航続距離に相当する電力を発電することが出来ます。

ソーラーパネル: EV業界の革命


太陽エネルギーとEVの統合は多くの人にとって長年の夢となっていましたが、いくつかの課題がその実現を妨げていました。主な障壁は、自動車用に設計された既存のソーラーパネルが、自動車全体をまかなうだけのサイズや性能ではないということでした。さらに、車両本体には、適切なサイズの太陽光集光システムを設置するのに十分なスペースがありませんでした。

しかし、消費者の需要と科学の進歩のおかげで、将来的には太陽光発電システムで動作する車両が増えることが予想されます。この開発は、太陽光発電等の再生可能エネルギー源の力を利用して、EV業界に革命を起こす可能性を秘めています。

バッテリーの大型化ではなく、発電能力の向上が鍵


太陽光発電技術の応用は自動車以外にも広がっています。Sono Motorsは現在、バスや冷蔵車、RV車を含む様々な大型車両向けに太陽光発電ソリューションを試験的に導入しています。太陽光発電を搭載したトレーラーでも、航続距離や充電時間のわずかな改善で大幅なコスト削減につながり、大きなメリットが得られる可能性があります。最終的には、太陽光エネルギーとEVを統合することが、コストパフォーマンスがより高く、環境に優しい選択肢となります。

LightyearのCEOを務めるLex Hoefsloot氏は、次のような前向きな見解を示しています。「ますます多くのメーカーが、大型バッテリーは今後も高価なままであると認識しています。従って、かさばるバッテリーを必要とせずに航続距離を延ばすには、効率を向上させることが鍵となります。」

太陽光発電車両が一般的になり、より環境に優しい交通ソリューションへの道が開かれる明るい未来を期待して、今後の動向に注目していきましょう。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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