何年にもわたって、ラップトップは膨大な進化のサイクルを経て、各メーカーが特定の困難を克服してきました。まず、大きさと重さです。次に、進化を続ける処理能力、ディスプレイ品質、バッテリー寿命等が挙げられます。これまでの道のりは、大変なものでした。新しい「Lenovo YogaBook 9i」では、ディスプレイの総表面積を増やすという次なる課題に取り組んでいます。

最近のラップトップは、様々な方法で画面スペースを拡大してきました。多くの人が、ラップトップをメインコンピューターとして使用しており、少なくとも、出張中にそのように使用するヘビーユーザーのグループが存在します。これまでのところ、ThinkVision 14M等のモバイルディスプレイが最適なオプションの1つとして考えられています。

誰しも窮屈なディスプレイ領域に不満を感じたことがあるでしょうが、16インチまたは17インチのディスプレイでも十分ではありません。さらに、ほとんどのラップトップの画面比率の横方向を伸ばすことは生産性を高める最適な方法ではなく、多くの場合、縦方向の画面スペースがより必要になります。

新しいLenovo YogaBook 9iは、2つのディスプレイパネルを統合することで、この問題点を大幅に軽減するように設計されています。2枚ある13.3インチの2.8Kディスプレイによって、Windowsデスクトップのスペースが大幅に拡大され、書類やコーディングに使用出来る垂直方向の領域が広がることで生産性が向上します。

このようなコンセプトのラップトップを見たことがあるかもしれませんが、一般販売用に製品化した企業はLenovoが初めてです。

2.8Kの解像度と有機ELテクノロジーという、2つの点が好印象です。生産性の高い作業のために、これらの特長は優れた視覚的快適性と画質を保証します。このラップトップは、2枚のディスプレイを横並び、もしくは縦並びでデュアルモニターとして使用することが出来ます。Lenovoは、最小限のスペースしかとらない折りたたみ式スタンドも同梱します。

Webカメラをどの位置に設定するかに応じて、2つのモードを切り替えることが出来ます。WebカメラはFHD解像度で、顔認証を使用して安全にログインするためのIRセンサーを搭載しています。また、使用しない時のために、プライバシーシャッターも備えています。

技術的な観点から見ると、リフレッシュレート60Hzの有機ELディスプレイの輝度は400ニトで、これは平均的な薄型軽量ディスプレイよりも優れています。DCI-P3の色域を100%カバーしているので、写真家やデザイナーは喜ぶでしょう。最後に、Dolby Visionの認証も受けています。

別の方法として、仮想キーボードを使用することで、このラップトップをクラムシェルモードで使用することも可能です。スマートフォンと同じように、PCでも物理キーボードから仮想キーボードに移行することが出来るのでしょうか?部分的には、キーボードアプリの品質に依存しますが、少なくとも、大型のタブレットと同じように使うことが出来るはずです。

クラムシェルモードでは、付属のePenを非常に快適に使えるので、片方の画面でツールやアプリ等を使用しながら、もう片方の画面でスケッチをするという使い方も出来るでしょう。長期的に試してみる必要はありますが、これはクリエイティブユーザーにとって非常に有望な使い方です。

Lenovoは、ペンジェスチャーも用意しています。画面左下から中央に向かってなぞるとスクリーンショットを撮影し、すぐにメモ等を記入することが出来ます。これは、Windows標準のスクリーンショットやGreenshot等のアプリよりも確実に優れています。

閉じた状態では、YogaBook 9iは普通のラップトップのように見え、(付属のキーボードを除いて)標準的なフットプリントしか占有しません。また、業界最高のスピーカー設計の1つである、Bowers & Wilkins製サウンドバー(2x2W+2x1W)も搭載しています。

2画面構成は、Windowsの観点からは、通常のデュアルモニターのように機能するはずです。ただし、さらに便利に使えるように、Lenovoはソフトウェアに手を加えています。1つの画面を5本指でタッチすると、現在開いているウィンドウが両方のディスプレイに拡大され、利用可能な全てのスペースを使用出来るようになります。

8本の指でタッチすると、仮想キーボードが表示されます。仮想キーボードの上にWindowsウィジェットを表示して、関心のある情報を表示出来ます。LenovoのThinkPad X1 Fioldのように、物理キーボードを下側のタッチスクリーンの上に置いても、ウィジェットが表示されます。

このラップトップは、Intel Core i7 Uシリーズ(UはUltra-low-powerの略)と16GBのRAMという組み合わせを搭載しています。購入者は、512GBまたは1TB(PCIe Gen4)を選択することが出来ます。Lenovoは、ディスプレイの大きな表面積をカバーするために80Wの大容量バッテリーを採用し、比較的一般的なバッテリー持ちを提供するようにシステム全体の電力のバランスが取られていることがわかります。

2つの画面を使用しているにしてはバッテリー寿命は長く、2つのディスプレイを使用している状態では最大7時間、片方のディスプレイだけなら最大で14時間使用出来ると同社は説明しています。Uシリーズのプロセッサは、本来のパフォーマンスよりも電力を重視して最適化されているため、ベンチマークの数値にも注目したいと思います。

3つのUSB-CポートがThunderbolt 4をサポートしているため、様々な超高速なドックやストレージにアクセスすることが可能です。SDカードスロットやUSB-Aポート、有線LANポートを備えたTB4ドッキングステーションを使用するのが良いかもしれません。

YogaBook 9iは魅力的なラップトップの進化であり、CES 2023で見た中で最高な製品の1つです。おそらく発売される10月下旬または11月まで、待つ必要がありそうです。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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