Qualcommは先日、”Snapdragon Night”と呼ばれるイベントを中国で開催しましたが、そこで新プラットフォーム「Snapdragon 8+ Gen 1」が発表されました。
今回のアップデートは、Snapdragon 8 Gen 1というハードウェアプラットフォームの高性能版であり、パフォーマンスと電力効率が大幅に向上します。
これらの改善は、基本的にチップ開発における2つのアプローチによってもたらされています。まず、QualcommはTSMCの新しい4nm製造プロセスを採用しており、これは従来採用されていたSamsungの4nm製造プロセスよりも更に優れています。Qualcommの製造多様化戦略の一環として、Snapdragon 8 Gen 1と8+ Gen1どちらのプラットフォームも並行して製造される予定となっております。
次に、Qualcommの物理設計チームは、より高い周波数で重要になる可能性のある、チップのレイアウトや内部データパスを最適化するためにより多くの時間を費やしました。その結果、Snapdragon 8+ Gen 1では、様々なユニットで6〜12%も最高クロック数が上がりました。
チップの”物理設計”とは、トランジスタと回路がどのように配置されているかを指しています。同時に、設計の全体的な方向性は初代と同じままになっているので、要するに、組み立てや製造の質が上がっているということになります。
こういった改良によって性能が向上し、CPU性能が10%、GPUクロック数が10%増加し、電力効率(ワット当たりの性能)が大幅に改善されたと説明しています。
同じ世代内でこれらの数値がそれほど大きく跳ね上がることは通常無いので、この製品の電力効率は非常に素晴らしいものだと言えるでしょう。同じ処理をより少ない電力で行うことで、発熱が減り、安定したパフォーマンスが向上します。デバイスの冷却システムも大きく関係してきますが、ゲームやXR等のアプリを使用しても、サーマルスロットリングが発生しづらくなるということです。
実際にQualcommの開発用端末を試してみたところ、宣伝されている高速化に沿った数値がベンチマーク上で確認出来ました。
この新しいプロセッサによって、Qualcommの顧客は、Androidのベストパフォーマンスを発揮し、高い売上を見込める超プレミアム製品を作り上げることが出来るようになります。MotorolaやHonor、Xiaomi、OnePlus等のメーカーが、この新しいSoCを搭載した製品を売り出すことが予想されます(スペックの詳細は公式PDFをご覧下さい)。
それと同時に、Qualcommは新しい「Snapdragon 7 Gen 1」というプラットフォームも発表しており、Snapdragon 8+ Gen 1のターゲットがハイエンド端末市場であるのに対して、こちらはプレミアムスマートフォンの市場を目指しています。
その目標は、多くの人が求めるような、マーケティングの観点から各社が差別化しているゲームやカメラに関するハイエンド機能を、より安い価格帯で導入するというものです。
例えば、Snapdragon 7 Gen 1は、その前モデルにあたるSnapdragon 778Gよりも3D描画を20%高速にレンダリングすることが可能だとQualcommは謳っています。また、この新チップは、従来の66MPに対して最大で200MPまでの写真撮影が出来ます。これらは全て、同様の価格帯では非常に大きなアドバンテージとなります。
最後に、Qualcommはその説明の中で、同社の「Frame Motion Engine」がSnapdragon 7 Gen 1に統合されると発表しました。これは、グラフィックスの演算を相対的に増やすこと無く、より多くのフレームを表示することが出来るフレーム補完機能で、バッテリーの持続時間を引き伸ばす役割も果たします。
この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
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