2005年に創業し、東京都心を中心に、自社ブランドマンションをはじめとする投資用マンションの企画・開発・販売・管理等を行う株式会社グローバル・リンク・マネジメント。
同社は、創業から12年後の2017年12月に東証マザーズ市場に上場し、さらに規定最短日数である1年後(365日後)の2018年12月に東証一部市場に上場を果たしました。現在も「売上高」「利益」「販売戸数」ともに更新し続けている株式会社グローバル・リンク・マネジメント代表取締役 金 大仲(きむ てじゅん) 氏にお話を伺いました。
―――経営者として尊敬している方はいらっしゃいますか?
国内では孫正義氏を尊敬しています。
創業から今の規模まで伸ばしてきて、後継者含めて、これからどの様に継続的に伸ばしていくのかを、物凄く突き詰めて考え戦略作られているな、と感じます。事業拡大をし続ける姿には尊敬せずにいられません。色々とビジネス業態が変わってきて、投資家として大きくなってきた、と言われていますが、社会的インフラ事業をやってきたのも忘れてはいけません。生き様、姿勢を、尊敬しています。
―――グローバル・リンク・マネジメントの創業の経緯を教えてください
創業のきっかけは、小さい頃から事業家になると思ってきたことが大きく影響しています。先に述べさせていただいた、孫さんは在日コリアンなので、勉強して医者、経営者、弁護士になるか、ということを考えてきたということを本で読みましたが、在日コリアン3世である私も同様に弁護士、兄は医者になることを考えていました。
しかし、私の大学時代の恩師に、『弁護士は素晴らしいが、あなたはそれより経営者になり世の中を変えられるようなことをやったほうがいいのではないか』とアドバイスをもらったのが契機となり、起業家を目指すことにしました。衣食住の中でも、実家の生活のベースに不動産の家賃収入があった影響もあり、特に不動産に興味がありました。
不動産は住むだけではなくて、土地にも価値があるため、さらに資産を増やす根底になると考えています。現金や債権だけではない、不動産を使ったポートフォリオを作り上げたいと思いました。将来、不動産関係で起業をするために、新卒では金融機関に入って不動産の貸付や仕組みを学び、30歳でグローバル・リンク・マネジメントを起業しました。
創業してから、様々な苦労もありましたが、2018年に東証1部に上場させていただき、より事業拡大をしていくためのスタートラインに立つことができたと感じています。
今後は、海外投資家の売上をより伸ばしていきたいと考えており、そのために留学生用のマンションも作っています。日本の人口が減っていく中で、日本政府の政策でも留学生を多く受け入れる方針を出しており、外国人学校は増えていますが留学生への賃貸を渋るオーナーさんが多く、留学生が安心して暮らすことができるような住居は増えていません。
弊社では住居を含めた団扇(UCHIWA)というサービスを2019年に開始し、留学生向けに大学、就職、オンライン、オフライン、のコミュニティサービスを展開し、留学生の方々が安心して日本で生活し学びに集中できるような環境を提供しています。
―――仕事をするうえで大事にしていることはありますか
“儲ける”だけでなく、“社会的意義のある”ことをやろうと思っています。事業が大きくなってくると、目の前のお客様だったり、収益をあげる構造だったり、いろいろなものが見えてくるのと同時に、会社の社会性、社会的意義が見えてきて、日本の抱える空き家問題、土地の問題なども見えてきました。街を歩くと、東京は意外と古い建物が多く、倒壊する恐れがあるものも見受けられます。
家やビル所有者の方が亡くなって、相続したご遺族が不動産を放置して住んでいないという空き家もたくさんあります。建物が旧耐震基準であり安全性が保たれていないことも、社会問題・課題と考えています。団塊の世代が相続フェイズに入った場合、街のバリュー・安全性を高めるプレイヤーが必要になってきます。まさに今、これらの課題に取り組むことで社会問題を解決していきたいと考えています。
また、ビジネスを行う上でコンプライアンス意識を高くもっています。当社はデベロッパーから管理までワンストップ体制でやっており、そのような企業は都内では20社あるかないかと言われています。売上を追い求めることだけを意識することなく、お客様をはじめ取引先など、弊社のステークホルダーの方に誠実に、正直に向き合うことを大切にしています。
―――投資用不動産は東京というイメージがありますが、何故都内に多いのでしょうか?
私たちが開発する物件は、ほぼ東京に限っております。なぜ東京なのかと言われれば、圧倒的に経済の中心地だからです。人が集まり、物も集まるというのは優位性が高いです。それに他の都市と比べて規模が全然違いますので、我々の商品も東京を中心に展開しています。
東京圏への転入は1996年以降23年連続で超過しており、2018年も13万人以上増えていますが、首都圏におけるワンルームマンションの供給戸数は年間8,000戸と少ししか増えていません。そのため不動産を作ることで、より東京に人が入ってきて、今まで以上に家賃が安定します。
東京の経済力はオリンピック以降もさらに高まると考えています。先進国は都心に人口や経済が集中していく傾向があるため、当社もレジデンス以外の商業ビル、ホテルなども展開していく方針です。
―――不動産Techの今後についてどうお考えでしょうか?
リアルとネット、ネットとリアルを相互に連携させることで、より多くの人に不動産取引を身近で分かりやすい物として認識してもらい、仕入~企画~販売~管理までの効率化を図って不動産業を変革させていきたいです。
―――社員に対して意識して伝えていることはありますか
いつも社員には主体的に考えてほしいと伝えています。
不動産価格上昇期である今は特に、金融機関も含めて、主体的に情報を集め、得た情報を分析し、それがお客様・社会に必要とされるものなのかを考えることが重要だと考えています。そのためにも、一人一人考えて行動していかないといけません。そして、誠実に、正直であってほしいと伝えています。できないことはできないというべきです。そうでなければ、信頼関係は継続しません。
事業としては、見せかけや表面だけの利益ではなくて、周りの人々が幸せになれるような、豊かになるものを目指していきたいと思っています。
―――人生に影響を受けたことはありますか?
私は在日コリアン三世なのですが、今までの人生は生い立ちによる影響が大きいです。「自信を持って主体的に生きる」というのが自分のテーマです。
小さい頃からの環境の中で、本名(韓国名)では上場出来ないと周囲の人から言われていましたが、日本の株式市場は素晴らしく公平で、韓国名で上場できました。
私の人生において、社会的に意味のあること・価値あることに取り組み、まわりの人々を幸せにする。それが私の使命であり、天命だと思っています。我々の不動産の仕事によって、住まう人や不動産を保有する人の豊かさに貢献している、と考えると嬉しくなります。
―――上場してよかったことはありますか?
やろうと思っていたことが、より加速して実行でき、他からの信用性が高まるのは良かったです。社員の人材確保の面で言えば、優秀なスタッフが今までの比ではなく増えました。そうすると、ビジョンや理念などから共感してくれる人も増え、結果的に事業も加速して、会社も拡大していきます。
2017年に東証マザーズに上場し、現在は一部です。今後の展開でいうと、M&Aや建設の内製化していく部分も含めて、事業拡大も考えています。上場をしていると、事業拡大を推進する面でもとても助かります。今後も不動産ソリューション事業を作り上げ、成長していきたいです。