皆さんこんにちは。河上 純二 a.k.a JJです。

世界を変えるスタートアップ企業にフォーカスした最新レポートをお届けします。第12回目は、農作業を”AI”と”ロボティクス”でサポートすることで、人手不足や農業経営の課題を解決。人工知能を使った自動野菜収穫ロボットをサービス(RaaS)として提供している「inaho株式会社」にお話を伺います。


農業の自動化がやってくる未来は近い

我々が提供しているものは、人が目視で収穫適期かどうかを確認して手で収穫する野菜を対象とした自動野菜収穫ロボットです。しかも販売ではなく、農家さんに無料で貸し出して、収穫量に応じて料金をいただくRaaS型(Robot as a Service)のサービスとして提供しています。

この事業をはじめたきっかけは、AIを5年前から学んでいて何か社会のために活用できないか?と考えたときに「農業」というテーマを思いつきました。全国の農家さんにお話を聞いて、人の手でやっている事をなんとか自動化できないか?というニーズがあることがわかったので始めたのが最初です。

近い将来、ロボットが野菜を収穫する未来が必ずやって来ると確信はしていましたが、僕自身、ITも農業の経験もありませんでした。
ましてやロボティクスなんか、一切経験も知見もない中で始めました。今考えるとかなりの挑戦だったとおもうのですが、そもそも知見がなかったから今までやれてきたかなと思っています。


スタートアップ、それは「一寸先は闇」です(笑)

こうして取り組んだ初号機は自律走行機能がなく、収穫適期の野菜を認識してロボットのアームで刈り取るというものでした。これを完成させるのに2年かかりました。同じく知見がない共同代表の大山と2人から始まったので何もかも手探り状態、収穫適期の野菜を認識して取るという行為を高めることに苦労しました。

あと、もう1つ思い出深く大変な経験は、資金調達後に当初の予定通りにいかない事態が起きたことです。
例えば、空気圧をつかって制御する設計で開発をすすめていて、それにはコンプレッサーが必要で、そのための電源を確保しようとするととんでもない容量のバッテリーが必要だとわかり、それを実装するとコスト的にも破綻しビジネスにもならないぞ!という事が発覚したりと。
そんな会社のピンチを、エンジニアが独自に考案した制御方法で実装して切り抜けたりと、かなり大変でした。エンジニアの彼がいなかったら今の状況には至っていませんでした(笑)。


アグリテックのショウケース、オランダで事業展開したい。

今後の展開としては、やはり海外を見据えるべきだと考え、2020年にはオランダに支店を出そうと考えています。
理由として、オランダはアグリテックでは世界で一番進んでいる市場で、アグリテックに関する世界のショウケースになっています。そこで勝てるプロダクトを作りたいと思っています。
あと、現地の農家さんからも強い引き合いがあって、これはチャンスと感じているので、1日でも早く実現させたいです。


最大の強みは3次元空間の認識

他の誰にも出来てない僕たち強みは、日中の強い太陽光が出ている環境下でも、正確に収穫適期の野菜を認識出来るという事です。
また最初にお話したとおり、RaaS型のビジネスモデルで、ロボットが収穫した分だけユーザーに課金するというモデル。これは世に出したらビジネスとして成功する自信もあるので、早く世界中に私たちのロボットを導入したいです。
今後はオランダをきっかけとして、アメリカなどの国も含めてグローバルの展開し、他の野菜やフルーツなども収穫できるよう、ロボットの対応作物と機能を拡張していきたいと考えています。


実際に以前に制作されたプロトタイプと記念撮影。*現在のバージョンとは異なるものになります。


本社オフィスは自然あふれる鎌倉にあります。


材木座海岸の風景が素敵でした。




「僕たちの自動野菜収穫ロボットを世界中の農家に導入したいです。」
Inaho株式会社
代表取締役CEO 菱木 豊

https://inaho.co/


■河上 純二 a.k.a JJプロフィール

ビジネスプロデューサー/パーソナリティ/モデレータ
河上 純二 a.k.a JJ
Facebook:https://www.facebook.com/junjikawakami