みなさま。バケーションの季節、いかがお過ごしでしたか? なるほど、夏を満喫したと。良いですね。露出の多いかわゆいあの子と遊べて、眼福に預かったという殿方も多いでしょう。
先日、(薄着の)女性4人組グループからスマホで撮影を頼まれた男性を、たまたま目撃しました。彼は全身を下から、バストアップは少し上からと角度を変えて撮影するという見事な働きぶり。こんな連載をしていることもあり、私はいたく感動して、思わず連絡先を交換しようと思うほどでした(大真面目に交換しようとして、ツレに止められた)。
彼は何者だったのか…。この連載でも説明した通り、女性をスマホで美しく撮るなら「立ちポーズは下から足長に、顔面は上から目を大きく!」が基本です。
「あれ。そうだっけ?」という人は、スマホレンズの特性について説明したこちらの記事、参考にしてくださいね。
閑話休題。最近はプロジェクションマッピングや照明効果を使った施設が流行っています。ただ、そうした施設では「ストロボ・三脚禁止」で、自撮り棒すら使用不可のところ、多いです。
光の演出が肝心な施設だから仕方ありませんし、混雑した中で三脚や長く伸ばした自撮り棒を使うのは、迷惑どころか危険な行為。多少撮影に不自由するのはやむを得ないわけですが…。となれば、頼るべきは人間! そう、あなたの出番です。
撮影の難所!フラッシュ禁止で暗い場所
「わー素敵! 私、ここで写真撮ってほしいな。光がいい感じだね」
またまた難しいシチュエーションに出くわしました。「光がいい感じ」というなんとも抽象的な一言に戸惑いつつ、「いい感じ」に撮らねばとプレッシャーを感じるあなたは、HDR機能に運命を委ねることにします。
HDR(ハイダイナミックレンジ)機能、覚えていますか? 前回の記事で紹介した通り、「明暗差が広い!」とスマホが判断した際、自動的にいろいろな明るさで撮影したものを合成してくれるという、アレです。
HDRがない場合は明暗くっきりで白飛び黒つぶれが起こり、HDRが機能している場合は、はっきりしないながらも全体像がうっすら写りましたが、さて今回は…。
あれ? なんかHDRなしの方がくっきりはっきりいい感じに。
全くいい感じにならない! 肌の色が妖怪人間! 目で見るととても感動的な照明効果も、写真では人間にあらざる異様な肌色の元凶となります。
「これはやばい」と、変色したかわゆいあの子の顔面に気をとられていたあなたですが、ふと背景の違いに気づきました。そう、HDRで撮影した写真の方が、後ろのモチーフまでしっかり写っているのです。
色とりどりの照明が移り変わる中で、必死に考えます。「とにかく顔面は、顔面だけは、人間の色じゃないとダメだ!!」と。このままだと、写真の中のあの子は“妖怪人間”です。
ということで、施設内を右往左往して見つけた、「普通の色の照明」で照らされたモチーフの前に座ってもらいました。
HDRありの方を見てください。背景はしっかり映っています。HDRが仕事してくれている証拠です。
撮影した写真を見比べながら試行錯誤を続けるあなた。その横で、「うーん、目で見てるように撮れないなあ」とぶつぶつ言いながら、インスタ用の写真をパシャパシャ撮っているかわゆいあの子。
「そう、難しいんだよぉおお!」と言いたい気持ちをぐっとこらえつつ、彼女の写真を見てみると…。
やはり、HDR機能がオンの写真は、明るい中にあるモチーフも全て写っています。これで、なんとなくの正解をあなたは得たでしょう。整理すると…。
①顔面に白っぽい普通の光があたる場所を探す
②背景も写すならHDRで撮る
ということになりますね。あとはこの2点を念頭に置いて、ベストポジションを探せばいいわけです。というわけで、①の該当場所でハイチーズ!
あ、れ…? HDRを使わないない方がくっきりしてるような…。けど、どっちもまあまあキレイとえいばキレイ。 うーん、でもやっぱり顔面にあたる光がほしい。つまり、フラッシュ!! 欲しい!! でもそればかりは仕方なしと、若干の敗北感を味わいながら、「すぐにインスタへアップしたい」とわがままをいうあの子に写真を送ります(もちろん顔面が人間の色をしているものだけ)。
「ん? これ同じ写真が2枚ずつあるよ?」
そう、今回もあなたは苦しい撮影条件の中で良い方法をとりました。HDR有り無し2枚同時保存の設定で撮影していたのです。
こちらをみるとわかるように、パっと見はくっきりコントラストのついたHDR無しのものが目を惹きます。しかしHDRありの方をみると、下の石から魚の鱗まではっきり写っているのがわかるでしょう。これこそがHDRありの良さです。撮影場所のシチュエーション、被写体、さらには「何を写したいのか」によって、HDRがいい働きをすることもあればしないこともあるわけです。
さらにいうと、この連載で繰り返し触れている通り、“写真はアプリで加工”が当たり前の現代。となれば、ぱっと見ダメな色味でも後加工やフィルターでいい感じの写真に仕上げやすいかどうか、つまりは「元画像としての良しあし」もまた、撮影のポイントになってきます。
そう考えると、HDR有り無しどちらでも撮影しておいていい方を選んで貰うのが、撮影者としてのベターな判断といえるでしょう。
これは、加工アプリ「B612」で、ほうれい線、キラ目、色調整のシャドウとハイライトを操作した例です。HDR有り無し関係なく、ほぼ差のない仕上がりになりました。
そもそもでいうと、顔面にしっかり光が当たっているか否か。これこそが「加工しやすい元画像」の条件といえるでしょう。暗めのところで、しかも背景を映しつつ、人間をスマホで撮るのって、すっごく難しいのです(でももう少ししたらイルミネーションの季節ですね…)。
光が入り乱れる暗い場所、夜祭りシチュエーション
場所は変わり、今夜は浴衣で着飾ったかわゆいあの子たちとお祭りに出かけるあなた。「写真撮るの上手いんだよね?」と、なんとなく認知されてきたようです。というわけで、今回も撮影を頼まれています。
夜祭りですからかなり暗いシチュエーションですが、ここならフラッシュを使えます。しかし念のため、ここでもHDR有る無しで2枚撮っておくことにしました。まずは試し撮り。
フラッシュのあるなしでどちらがいいか、パッと撮り比べたものを見せてかわゆいあの子たちに判断を仰ぎます。
「うーん、顔は明るい方がいいけどさ…。それ以前にこれ、アップ過ぎてお祭り来てるってわかんないよ。これなら別に自撮りでも撮れるし」
…そろそろ人間三脚扱いに怒っても良さそうなものですが、優しいあなたは雰囲気を出すべく、少し離れて撮影することにしました。
やはりフラッシュを焚かないと暗いですね。ちょっと光のある方に顔を向けてもらいましょう。
位置はそのままで街灯の光が少し顔に当たるよう、撮影者が移動して角度を変えたのがこの写真です。後ろの賑やかな雰囲気も一緒に撮ることができました。
しかしやはり、フラッシュを使った方が顔の影が飛んでいい感じになります。ということは、昼間と違って夜は後ろが明るい逆光でもフラッシュ効くのかも…という推論を元に、もう一枚。
フラッシュ無しの方は、背景で色の濃淡が多少出ているものの、遠景だと特に違いは出ていません。やはりフラッシュありの方が、目に光が入って顔面の影が緩和されるなど、良い写真になっています。
さらに、一応ライトの当たる場所でも撮っておこうということで、撮影したのがこちら。
元々明るい光がもらえるシチュエーションならば、フラッシュなしで撮ってもこの美しさです。そう、とにかく光。光が顔面に当たることが大事なのです。
「わーーいい感じ! お祭りっぽい!! ありがとう!! 2杯目(のビール)買ってくるねーー!」
肯定的な反応を見せるかわゆいあの子たちを見て、どっと肩の荷がおりるあなたでした。
さらに後日、あの子からはこんな反応が。
「浴衣の顔面アップとお祭りの感じをインスタに載せようと思って加工したんだけど、やっぱフラッシュある方がいい感じだった! ありがとう!!」
いい感じ。ありがとう。
その言葉を聞くと、苦労が報われた感でいっぱいになりますね。最初はコミュニケーション手段の1つと思って撮り始めたスマホ写真でしたが、「もはやうまく撮る!」という達成感に目覚めつつあるあなたなのでした…。
試行錯誤して複数パターン撮ることの大切さ
さてさて、今回は暗い場所2パターンでしたが、ストロボやレフ板が使えないスマホのみでの撮影では、手段に限りがあります。しかし、人物主体の場合はとにかく顔に光が当たること、これこそが重要です。
今回は加工のやりやすさも考えて、HDR有り無し、フラッシュ有り無し、加えて元々ある照明も利用するなど、撮影者はさまざまなパターンで撮影したわけですが、やはりこの姿勢が大事です。暗くても諦めない。試行錯誤する。何パターンも撮る。そうして“当たり”を探り続けるのが、撮影上達のコツといえるでしょう。
撮影協力:芦屋のりこ
Twitter@asiyanorico
テレジア先生への公開質問
夫婦関係に悩んでいます。最近、どうにも上手くいかないこと多く、些細な事で言い合いになりがちです。このままではいけないと思っていますし、1人になった時は冷静に「もう少し優しくしなければな」とに思えるのですが、顔を見るとまたイライラ…。一緒に住んでいる以上、変な関係にはなりたくないし、うまくやっていきたいとは思うのですが、どうしてもイライラがとまりません。なにか良い方法はないでしょうか? (性別・年齢不明)
だ、だんだん…相談が…重…く…、なってきましたね!真面目な話、専門的なことは専門のカウンセリングに行くことをオススメします。とはいえ、「ちょっと聞いてもらうだけで気分転換になる」という場合もありますから、ここでは私なりの考えをお答えしたいと思います(ひきつった笑顔で)。
相談者さんの環境がさっぱりわからないのでなんとも難しいのですが、“男は〇〇だから”とか“女は〇〇なもんだ”というレッテルをはずして、シンプルに「人間同士のやり取り」としてて考えてみると、悩みの根本はズバリ、【距離感】にあると思います。
正体不明の相談者さんですが、「今後もうまくやっていきたい」という気持ちは明確なご様子で、そこに一筋の光明がありますね。今回は“夫婦”という関係性ですが、【距離感】はどんな関係性にも重要です。親子、職場の同僚、友達、恋人…。この距離感が、相手と自分で違う場合にストレスを感じるというケースは多いでしょう。
わかりやすくいうと、気持ちの温度差ですね。付き合いたての恋人同士が、最初は同じくらいの“熱さ”でお互いを思いやっていたのに、3か月たったらその“熱さ”に差ができていた…という場合、2人は別れる可能性大です。2人とも適度に冷めていたら、意外と別れなかったりするのだから、人間って不思議だなと思わずにいられません。
厄介なことにこの温度差は、日々のいろいろな出来事や外的要因、自身のメンタル状態でも変わりがちです。一緒にいるだけであんなに楽しかったのに、ワクワクしたのに…。その気持ちはどこへやら。すっかり気持ちが冷めてしまったけれど、相手は何も変わっていないという場合、それはあなたが相手に“飽きた”というだけでなく、何か他の要因、日々のストレスから受けた影響等に、問題が起因しているかもしれません。
とはいえ、冷めてしまった気持ちに対して、自ら意図的に火をともすというのは、不可能に近いでしょう。一度こうなってしまったら、双方が納得した上で「別の時間を過ごす」というのが、ベストな対応だと思えいます。お互いにとって快適な状態になるはずです。
しかし、相手と温度差がある場合、面と向かって「1人になりたい」と伝えれば、「そんなに私(俺)と一緒にいたくないの?」と受け取られる可能性が高い。険悪ムードになること、必至です。
ですから、積極的にそうした話し合いを持ちましょうとは言いません。例えば生活サイクルをずらしてみたり、一人で外出する機会を増やしてみるなど、出来る限り自分の時間を作りながら、毎日を過ごしてみて下さい。
「1人になると冷静になれる」というのであれば、1人の時間が相談者さんには足りないのだと思います。新しく趣味を増やす。相手が夜型であれば自分は朝型にする。相手にとっても自然な形で、一緒にいる時間を一時的に減らしてみるのです。
見方を変えると、イライラしたり腹が立つといことは、相談者さんが相手に対して何かを期待しているのかもしれません。それに応えてもらえないから、苛立ちを感じる。期待がなければ、何も感じないはずです。
一度、自分が相手に何を求めているのか、整理してみてはいかがでしょうか。そしてそこに過度の期待や甘えがあるなら、それを諦めてください。「〇〇してるのだから〇〇して当然」みたいな気持ちですね。そっとその甘えや期待をやめてみるのです。これが「心の中で距離をとる」ということ。「嫌いになる」というのとは、また別の心持ちと言えます。
もちろん、本当は気兼ねなく、自分をさらけ出して気楽に話せる夫婦関係が理想でしょう。しかし、それができたら今みたいな状態にはなっていません。心身ともに距離感を模索していくことが、心地よい夫婦関係、人間関係を続けることになるのだと思います。
組織に属していたり、血縁・婚姻関係であったりすると、様々な理由で「なんか嫌だからそこから離れよー」という決断が難しくなったりもしますが、本当にツラければ離れることは可能です。どうしてもツラければ、バッサリ関係を断てばいい。そういう選択肢も入れつつ、まずは一人の時間を増やして考えをまとめられるといいですね。
イライラの対象から離れただけで、案外なんでもなくなること、ありますから。一気に考えると何もかも一度に嫌になってしまうので、ゆっくりと、順番に解決していきましょう。
…それにしてもテーマが重い!! ちょっと塩撒いておこう。もっとこう、「かわゆいあの子の誕生日、何がいいとおもいますか?」みたいなポップでライトな相談お待ちしています!!!
※老若男女問わず、撮影に関する人間関係のお悩みを随時募集! 写真が好き、撮影会が好きな皆さん。ここはあなたの心の保健室。個人が特定できないように配慮いたしますので、私のTwitterアカウント(https://twitter.com/red_theresia)にDMで気軽に質問ください。