ソニーはCEATEC 2025で、首元装着型ウェアラブル空調デバイス「REON POCKET PRO」を披露した。2020年に日本で誕生したREONシリーズの最上位モデルで、旧モデル REON POCKET 5 から性能・駆動時間・ノイズ・デザインのすべてを大幅にアップデートした“プロ仕様”の進化版だ。

本プロジェクトは2019年、ソニーの社内新規事業創出組織「Sony Acceleration Platform(SAP)」からスタート。開発の着想者は元ソニーカメラエンジニアの伊藤健司(※記事内のKenji Itohの誤表記を日本語表記に適合)、屋外の猛暑と屋内の過剰な冷房の落差に悩んだ自らの体験から「持ち運べる快適温度」というコンセプトを立ち上げた。2023年10月にはスピンオフし、伊藤氏がCEOを務める Sony Thermo Technology(ソニーテルモテクノロジー株式会社)として独立。現在は22カ国へ事業展開、個人向けだけでなく企業・産業領域向けにも用途を拡張している。

REON POCKET PRO 最大の特徴は、シリーズ初となる「デュアル独立サーモモジュール」を搭載し、従来の1モジュールから2つへ進化した点だ。力の強弱を交互に切り替えることで、冷却・温熱の効果面積と熱吸収効率、最大動作時間、ファンの送風量がそれぞれ約2倍に向上。また高効率ヒートシンクファンは REON POCKET 5 と比較して2倍の風量を確保しながら、体感ノイズを50%低減、さらに実測では「50%低騒音」で動作する*と説明されている。これにより通勤電車やオフィスでの連続使用に耐える静音性と安定出力を獲得した。

デザイン面でもプロフェッショナル用途に照準を合わせ改良。背骨のカーブに沿う「曲面コンタクトプレート」で密着性を高め、熱をより効率的に伝達。ネックバンドは幅広で柔軟、シリコン製グリップと延長パッドで動作中のズレを抑え、ジャケットや服の下でも目立ちにくいマット仕上げを採用した。防水ではないが「飛沫対応の耐水設計(スプラッシュ耐性)」を備え、突然の雨や軽い汗なら