Huawei(およびSAICとの提携ブランド “Shangjie / SAIC H5”)は、2025年9月に、比較的手ごろな価格帯で先進技術を備えた新型 SUV「H5」を発表しました。米ドル換算で約2万400ドル(中国国内では人民元換算で159,800元など)からの価格帯設定で、EV(バッテリー電気車)および EREV(レンジエクステンダー付き電動車)仕様を用意し、多様なニーズに応える構成となっています。
⚙️ 駆動方式と航続距離の選択肢
H5 は EREV モデルと BEV モデルの双方をラインナップしています。
•EREV モデル は 1.5L ガソリンエンジンを発電用として使い、電気モーターで駆動する形式。32.6 kWh のバッテリーを組み合わせ、電動だけでの航続距離はおよそ 146 マイル(約 235 km)程度になるとされ、ガソリン併用時には 合成レンジ 845 マイル(約 1,360 km 超)という数字が公称値として示されています。 
•BEV モデル は 64.6 kWh または 80 kWh のバッテリーを搭載。出力は 150 kW(約 201 馬力)または 180 kW(約 241 馬力)を選択でき、航続距離(CLTC基準)は、モデルによって 326マイル~407マイル(約 525~655 km)程度とされています。 
こうした方式の組み合わせにより、日常使いの電動走行と長距離移動時の安心感を両立させようという設計意図が見て取れます。
📐 車体仕様と荷室性能
H5 の車体は、SAIC の Roewe ES39 プラットフォームをベースとし、全長約 4,780 mm、全幅約 1,910 mm、全高約 1,664 mm、ホイールベースは 2,840 mm。リア駆動に対応する構造を持ち、比較的ゆとりのある室内・荷室容量を実現しています。 
前部トランク(フロントトランク)は 124 リットル、後部トランクは 601 リットルと発表され、大きな荷物やキャンプ機材なども収納可能なサイズ感です。 
🧠 インテリジェントドライビングと内装/UX
上位モデルには Huawei の運転支援システム「Qiankun ADS 4.0」が搭載され、次のセンサー構成が組み込まれています:
•192 ライン LiDAR(屋根搭載)
•3 基の 4D ミリ波レーダー
•12 個の超音波センサー
•11 台の高解像度カメラ 
これにより、ナビゲーション支援、自動回避、車線維持、周辺監視など多方向制御が可能な能力を目指しており、ハイレベルな安全支援を提供する設計です。 
内装面では、Huawei の HarmonyOS ベースの車載コックピットシステム採用、15.6インチの中央ディスプレイ、デジタルドライバーディスプレイ、ワイヤレス 50W 急速充電、パノラマサンルーフ、大型の快適シート配置、アンビエント照明など、利便性と快適性を両立する装備が整えられています。 
🌐 市場展開と戦略
•発売はまず中国国内で開始され、現在のところ海外展開の具体日程は公表されていません。 
•SAIC と Huawei の提携ブランド「Shangjie(尚界)」として位置づけられており、HIMA(Harmony Intelligent Mobility Alliance)構想の一環とされます。HIMA では、Huawei はソフトウェア・知能運転・プラットフォーム供給を行い、パートナーメーカーが車体製造と流通を担う方式を採用しています。 
•なお、報道によれば、H5 の受注は発表直後に 10,000 件以上を集め、先行予約段階での市場反応も非常に強いとの情報があります。 
✅ 総評:価格性能比と技術注入の戦略車
Huawei-SAIC のH5 SUV は、「手ごろな価格で先端 EV/ハイブリッド技術を体験できる入口モデル」という位置づけが明らかです。EREV/BEV の選択肢、長距離性能と実用性、先進運転支援の装備など、ハード・ソフト双方のバランスが取られた設計と言えます。