Nothing は 2025年9月、Nothing Ear (3) を正式発表しました。従来モデルからの進化点として、充電ケース自体を外部マイクとして使える「Super Mic」機能を新たに搭載。加えて、より強力なドライバー、音質調整、デザイン素材なども刷新されており、価格は米国で 179ドル。日本を含むグローバル展開が順次始まります。

🔍 主な新機能と仕様
Super Mic:ケースがマイクになる革新
充電ケースには 2つの専用マイク と「Talk」ボタンを備えており、通話時にこのボタンを押すと、ケースを口元に近づけて使用できるようになります。これにより音声の明瞭性を高め、最大 95dB のバックグラウンドノイズ抑制を実現するとのこと。Wh​​atsApp や Zoom 等の一般的な通信アプリで利用可能ですが、音声メッセージ録音やカメラ録画との互換性には制限がある可能性があります。

音質とドライバー:重低音傾向の変化
•ドライバーは 12mm に拡大 され、従来よりも重低音寄りのチューニングを意図。バスブースト系のサウンド傾向が強くなっている点が目立ちます。 
•デザイン面では透明素材と金属アクセントの併用、ケースの底部にはリサイクル金属を採用するなど、素材のクオリティにも配慮されています。 

バッテリー・充電性能
•アクティブノイズキャンセリング(ANC)使用時の再生時間は 5.5時間。ANC オフなら最大 10時間再生可能とされています。 
•充電ケースを含めると、ANC 使用時で 22時間、ANC 無効時で 38時間 の総再生時間。ケースの充電は USB-C で約 70分、ワイヤレス充電にも対応。 
•5分間の急速充電で ANC オフ時に最大 10時間の再生が可能という仕様も確認されています。 

接続・ノイズキャンセリング・アプリ
•Bluetooth 5.4 を採用し、マルチペアリング・Fast Pair(Android)・Swift Pair(Windows)に対応。LDAC コーデックもサポート。 
•ノイズキャンセリングは最大で 45dB 抑制を謳う(同社試験値)設定。レビューでは低域で 35dB 程度の抑制が確認されたとの報告も。 
•Companion アプリ「Nothing X」によって、EQ・個人音響プロファイル・Bass Enhance・フィットテストなどを調整可能。

🎯 評価と課題:進化と揺れるバランス感
ポジティブ点

•ケースをマイクに使う発想はユニークで、雑音ある場所での通話明瞭性を強化できる可能性。
•重低音強化と拡張ドライバーによって、より迫力あるサウンド表現が得意になった。
•アプリによるカスタマイズ性が高く、ユーザーが音質・動作を細かく調整できる点が評価されている。

改善の余地・批評点
•ケースマイク「Super Mic」は構想として興味深いものの、実際の通話音質で“スーパーマイク”と呼べる水準であるかには賛否が出ています。 
•ノイズキャンセリングやトランスペアレンシーモードは改善されたとはいえ、風切り音や高域雑音の抑制には課題ありとのレビューもあります。 
•音質傾向が “V 字型チューニング” に寄る設計である点は、人によって好みが分かれる可能性あり。高音が刺さりやすい印象を受けるという意見も。 
•バッテリー性能は向上したものの、ANC 使用時の再生時間は競合モデルと比べてやや控えめとの声もあります。 

✅ 総評:斬新機能と既存技術の統合が鍵になるイヤホン
Nothing Ear (3) は、「ケースをマイクとして使う」という大胆なアイデアを搭載しつつ、音質・ノイズキャンセリング・接続性・カスタマイズ性といったイヤホン本来の要素も着実にブラッシュアップしたモデルです。特に、通話用途や雑音環境下での使い勝手を重視したい人には刺さる設計でしょう。

ただし、「Super Mic がすべてを解決するわけではない」点や、従来モデルからの違いが十分かという疑問も残ります。すでに Nothing 製品を使っているユーザーがアップグレードするかどうかは、見た目・通話性能・ノイズ抑制のバランスをどう評価するかによって変わるでしょう。