Audi は、中国市場向けに新たな “AUDI(大文字表記)” ブランドを立ち上げ、その初号モデルとして E5 Sportback を公開しました。SAIC(上海汽車)との提携で共同開発されたこの完全電気車は、未来感あふれるデザイン、デジタル技術の融合、高性能仕様を兼ね備えたモデルとして位置づけられています。価格帯は約 235,900 ~ 319,900 元(約 30,000 ~ 41,000 米ドル相当)。
🖥 外観とデジタルミラー:先進性を体現するスタイル
E5 Sportback は伝統的なサイドミラーを廃し、デジタルミラー(カメラ & モニタ表示) を採用。これにより死角警報(BSD)、ドア開放警告(DOW)、後方横断車両監視(RCTA)などの機能と統合が図られています。 
外観デザインには、TT の丸みあるホイールアーチ、RSQ のクリーンライン、RS6 のワイドスタンスといった要素を引用。環状ヘッドライト、閉じたグリル埋込み照明、光る AUDI ロゴ など、アイキャッチ性を重視したパーツが多数設けられています。後部には三角 LED を約2,000 個使用した連続ライトバー、ドアハンドルは収納式と、モダンな意匠が徹底。 
🛋 インテリアと OS:統合ディスプレイ+AI 音声アシスタント
室内には、運転計器・マルチメディア・助手席表示を一体化した ウルトラワイド・デジタルパネル を備え、両端にデジタルミラー表示も配置。プラットフォームには Qualcomm Snapdragon 8295 を搭載し、車内 OS(Audi OS)が動作します。 
音声操作や文脈理解を可能とする AI アシスタントには、中国向け大規模言語モデル “Douban” を用い、車両機能との深い連携を図る設計です。

🔧 駆動システム・性能・支援機能
屋根に備えた LiDAR、車体周囲に配置された 27 のセンサーと 11 台のカメラを統合し、都市道路・高速道路での先進運転支援(ADAS)を提供。処理基盤には Nvidia Orin-X を採用。 
動力系はシングルモーターおよびデュアルモーター仕様。出力範囲は 299 馬力から 787 馬力まで多様で、Quattro(四輪駆動)対応モデルも用意。最上位グレードは 0-100km/h 加速 3.4 秒 を実現。空気圧制御サスペンション、可変ダンパーも採用され、乗り味と性能のバランスが追求されています。 
🔋 バッテリー・航続距離・充電性能
バッテリー容量オプションとして 76 kWh ~ 100 kWh が用意され、航続距離は 618 km ~ 773 km(CLTC基準)。超急速充電機能により、10 分充電で 370 km 相当の航続距離回復も可能とされています。 
✳ 市場反応・展望
この中国専用 “AUDI” モデルは、発表直後に予約が殺到し、30 分で 10,000 件を超える受注を記録したという報告もあります。 
環境性能、価格、性能のバランス、デジタル技術の融合という点で、中国の EV 市場で競合モデル(Zeekr 007GT、Nio ET5T など)との対抗力を意図した戦略車種と位置づけられます。 
✅ 総評:未来感と実用性を兼ね備えた EV の挑戦
Audi E5 Sportback は、伝統的な AUDI ブランドとは異なる新ブランド “AUDI” の象徴として、未来的な電気自動車の方向性を示すモデルです。デザイン・演出・性能・デジタル体験すべてを高次元で融合しつつ、比較的手が届く価格帯で提供される点も注目されるポイント。