Yamaha は 2025年、オーディオ愛好家をターゲットにしたプレミアムヘッドホン2モデルを公開した。「YH-C3000」と「YH-4000」である。長年の音響技術と素材選定の経験を活かし、高忠実度(ハイファイ)再生を追求するリスナーに向けて設計されている。

🛠 YH-C3000:閉鎖型の自然な響きと素材のこだわり
•YH-C3000 はクローズドバック構造を採用。外部ノイズを遮断しながら、音の密度・低音レスポンス・空間の表現力を高める設計。
•ドライバーには新開発の “Armodynamic” 技術を用いた3層振動板を装備。紙(ペーパー)・樹脂・そして Yamaha のリファレンススピーカーでも使われる合成素材である ZYLON の組み合わせ。これにより軽量かつ剛性のある振動板が得られ、歪みの少ない音を実現する狙いがある。
•ハウジング(筐体)はヤマハのグランドピアノにも使われるビーチ材を採用。軽くて硬いため、響きに暖かさと自然なリゾナンス(共鳴)を付与。



🌌 YH-4000:開放型で軽量、長時間リスニング対応
•YH-4000 はオープンバック構造。空気の流れや開放感を活かし、空間表現と定位感に優れたサウンドを目指す。
•ドライバーは orthodynamic(オーソダイナミック)タイプを採用し、ボディには軽量なマグネシウムを用いて設計。質量を抑えて装着時の疲労を軽減。
•遮音材・吸音材を減らし、音響プロファイルを微調整することで「応答性」「自然さ」「精密さ」を重視。重量は約 320グラム と、クラス内で比較的軽く、長時間のリスニングにも適する。



🤝 共通の機能と快適性への配慮
•両モデルとも、YH-5000SE にインスパイアされたデザイン原則を共有する。例えば、耳あてパッドには viscoelastic(粘弾性)素材を使い、密閉感と快適さを両立。
•ヘッドバンドの調整システムを連続タイプにしてフィット感を向上。耳との密着・締め付け具合を微調整できる仕様。

技術仕様と市場展開
•YH-C3000 のスペック例として、周波数特性 5Hz ~ 55kHz、インピーダンス 34Ω というレンジを備える。これは高解像度・高忠実度を重視するユーザーに響く仕様。
•組立はヤマハが誇る静岡県掛川で行われており、同地は長年ピアノ製造で名高い拠点。伝統とクラフトマンシップが製品に込められていることを示す。
•プライシングはプレミアムレンジ。YH-C3000 が 1,699ドル、YH-4000 は 2,499ドル。世界的に限られた数量のみリリースされ、2025年末までに出荷予定。

✅ 総評:Yamaha のオーディオ愛好家への新しい提案
YH-C3000 と YH-4000 は、素材・ドライバー設計・構造(開放/閉鎖型)を巧みに使い分け、高忠実度音響を求める層に向けた明確なモデルである。閉鎖型で暖かさとノイズ隔離を追求する者には C3000、定位感・開放感・精度を重視するリスニング体験には 4000 が適する。
価格は決して安くはないが、ヤマハの長い歴史とクラフトマンシップ、細部へのこだわりが感じられる製品。オーディオガジェット好きにとって、今後のレビュー・比較試聴・仕様の実用性を確かめたいモデルと言えよう。