MYTHS(My Total Healthcare Solution)は、デサン・ウェライフ(Daesang Wellife)が開発した、断片化している健康情報をひとつにまとめるプラットフォームです。年次健康診断・専門医の検査結果・処方履歴・ウェアラブルやスマホなどのライフスタイルデータを含む20種類以上のデータを統合し、「正確(Exact)」「迅速(Fast)」「簡単(Easy)」「楽しい(Engaging)」という四つの価値を軸に設計されています。情報のサイロ化を破り、患者にも医療プロバイダにも“見える健康像”を提供することが目標です。
技術構成:データ統合と AI による指導
•MYTHS は国の健康診断データ(韓国)だけでなく、民間の臨床検査、処方歴、IoT/ウェアラブル機器からの心拍数・血中酸素濃度等のリアルタイム信号も取り込みます。これら異なる形式・精度のデータを自社の「互換レイヤー」で正規化し、機種・デバイスを問わず統一した“健康ストーリー”として提示できる仕様です。 
•重要な機能に「AI TAILOR」というエンジンがあります。従来の表示重視アプリとは異なり、ユーザー全体のデータを解析し、最も適切な「次に取るべき行動」を1秒以内に提案します。たとえば、食事の改善・服薬リマインダー・呼吸運動など、ユーザーの状態に応じたアクションが示され、意思決定疲労を軽減する狙いがあります。 
ユーザー体験:ダッシュボードと可視化の工夫
•インターフェースはシンプルで視覚的:健康スコア・薬のリマインダー・臓器健康指標などを色分けされたグラフィックスで表示。複雑なメニュー構造を避け、高齢者や技術に不慣れなユーザーにも使いやすく配慮されています。 
•可視化機能では、3D 臓器モデルや色階層システムを採用し、医学報告書にありがちな専門用語を減らし、インタラクティブに自身の健康状態を探索できるようなデザインになっています。リスクレベルは色で示され、一目で理解できるような“共通言語”が目指されているのが特徴です。 
予測機能と行動の循環
•過去の医療記録と日常データを組み合わせて、将来の健康傾向を予測する機能があります。これは確定診断ではなく確率的見通しですが、予防・長期計画を立てるツールとして価値があります。 
•また、医療機関由来データ・デバイスデータ・そして社会的・家族的サポートネットワークを組み込むフィードバックループを構築。ユーザーの同意があれば家族や友人がサポート対象に含まれ、特に年齢の高いユーザーの継続使用を促す設計がなされています。 
規模とセキュリティ、国際展開
•ベースとなる企業デサン・ウェライフは、健康食品分野で長い歴史と大きな売上を持ち、韓国における医療/栄養健康分野のエコシステムに深く関わっています。そのため MYTHS は既存の信頼基盤を活かしてサービスを拡大する形をとっています。 
•プライバシーとセキュリティについては、韓国の ISMS-P 標準に準拠。健康記録・ライフスタイルデータ・デバイスからの信号は暗号化され専用クラウドに保存されます。国家データベースが整っていない国向けには、個人のインプットや既存データから基準値を推定する方式も採用しています。 
•国際展開の見込みもあり、ベトナムやアメリカなど、健康データインフラが異なる地域をターゲットとしています。ただしデータの標準化や制度対応が地域ごとに異なるため、各国での導入には調整が必要です。 
✅ 総括:断片化された健康情報を「意味あるストーリー」にする
MYTHS は、様々な健康・生活データを統合し、リアルタイム指導・予測可視化を通じてユーザーと医療双方に価値をもたらすプラットフォームです。技術的な複雑さを背景に持ちながらも、ユーザー体験への配慮と実用性を重視しており、医療アプリの「見せるだけ」モデルから踏み出した「行動を促す」モデルとしての可能性を示しています。
課題としては、どの国でも同じように機能するためのデータ相互運用性・規制・プライバシー保護などがありますが、既存の信頼・実績・技術設計を基に、グローバル展開のポテンシャルは高いと言えるでしょう。技術と健康管理の融合が進む中、MYTHS はその代表候補のひとつとして注目に値します。