TDKは、CES 2025において、固体物質を介して電力とデータを無線で伝送する革新的な技術「Acoustic Data Link(ADL)」を披露しました。 この技術は、2つの圧電ADLリンクを使用し、電気エネルギーを機械的な振動に変換し、再び電力として取り出す仕組みです。さらに、特定の周波数変調を用いることで、データの損失なく伝送が可能です。

伝送可能な電力は約30ミリワットで、Bluetooth、RFID、NFC、IoT、健康モニタリングデバイスなどの低消費電力デバイスの駆動に十分です。データ伝送速度は最大10キロビット/秒で、140文字のテキストメッセージを約1秒で送信できます。この速度は、センサー通信、システムのコマンド&コントロール、小額取引の決済、小規模なファイル転送など、多くの用途に適しています。

ADL技術の主な応用例として、完全に密閉されたシステムのモニタリングが挙げられます。例えば、高圧のガスタンク内の状態を監視する際、従来の有線データ伝送では漏れのリスクがあり、無線通信もタンク内から外部へ信号を送ることが困難でした。ADLを使用することで、これらの課題を解決し、内部システムに長期間電力を供給しつつ、データの送受信が可能になります。

TDKは、この技術が産業製品への応用から始まり、将来的には消費者向け製品にも展開される可能性があると考えています。