JPモルガンは、キャッシュフロー管理を目的とした人工知能(AI)搭載のソリューション「キャッシュフロー・インテリジェンス・ツール」を発表した。このツールの導入により、人間の作業量は90%大幅に削減され、金融大手はAIを活用したサービスをワークフォース管理の将来像として見込んでいることを示している。
2023年のサービス開始以来、キャッシュフロー・インテリジェンス・ツールは高い効率性を発揮し、2500社の顧客企業において人的資源の必要性を大幅に減少させている。現在は無料のサービスとして提供されているが、ブルームバーグの報道によると、JPモルガンはこのツールの継続的な成功と生産性を活用し、収益化を目指している。
このAIツールは、従来は経験豊富な担当者が行っていた労働集約的な作業であったキャッシュフロー予測や分析の作成を支援する。
JPモルガンのホールセール決済部門のデータ・アナリティクス責任者であるトニー・ウィマー氏は、キャッシュフロー予測の複雑さを強調し、機械が効率を高める一方で、人間の判断が不可欠であることに変わりはないと指摘した。AIツールの有望な機能にもかかわらず、特に流動性資金の管理においては、人間の判断が極めて重要であることに変わりはない。
とはいえ、ウィマー氏はAIを含むツールの将来について楽観的な見方を崩さず、同社がこのソリューションに継続的に投資する姿勢を示している。
注目すべきは、JPMorganの高度なキャッシュフローツールは、他の金融機関も同様のサービスを提供しており、市場での競争に直面していることだ。例えば、バンク・オブ・アメリカのキャッシュプロは無料でキャッシュフローを追跡できる。
JPモルガンのジェイミー・ディクソン最高経営責任者(CEO)は、将来的に人間の従業員の労働時間が短縮されることを想定しており、この変革はAIの統合によるものだとしている。同氏は、今後数十年のうちに週3.5日勤務に短縮されると予想している。この金融大手は、社内におけるAIの収益性について野心的な目標を掲げており、前年度の事業価値を15億ドルと予測している。