Google Pixel 7 Proは、ファンの期待に応え、段階的な改良を加えた優れたアップデートを提供します。

良い点 悪い点 評価
12GB RAMと優れたパフォーマンス 非常に滑りやすい本体 8.6/10
120Hzの素晴らしいディスプレイ パフォーマンス向上の幅が小さい 価格
大容量バッテリー バッテリー持ちは改善の余地あり 899ドル〜
高いカメラ性能 124,300円〜

 

Googleの新しい「Pixel 7 Pro」は、成功したPixel 6 Proを改良するために再設計されたもので、特にカメラハードウェアの面で大きな変化をもたらしました。今回のPixel 7 Proは画期的なものというわけではなく、Googleはデザインとエクスペリエンスのいくつかの側面で、段階的に改善をしていくことを選択しました。

今回レビューに使用しているのはAT&TのPixel 7 Proで、5Gネットワーク用に最適化されていると同時に、ローミングが必要な場合に世界中の様々な通信キャリアと互換性があります。また、AT&T Cloud、Call Protect、myAT&Tポータルアプリ等の独自アプリもプリインストールされています。

デザイン


全体的なデザインはPixel 6 Proを踏襲していますが、GoogleはPixel 7 Proがより”プレミアム”に見えるように素晴らしい見直しを行いました。カメラバーの色のアクセントと金属の質感により、前モデルよりも高級感のある見た目に仕上がっています。

従来モデルよりも高級感のある外観

今回の改良点は、”デザイン”が、製品にすぐに価値をもたらすことが出来る方法として優れた例であることを表しており、スマートフォンのアイデンティティとマーケティングにおいてデザインが非常に重要なのはそのためです。純粋なビルドクオリティの観点から見ると、Samsung Galaxy S23 Ultra等の他のスマートフォンの方がより豪華に見えますが、価格もかなり高くなります。

Pixel 7 Proのカメラバーは、過去にいくつかの議論や批判を巻き起こしました。ただし、個人的には何も気になりません。これによって、最近のPixelスマートフォンに、認識可能な独自のアイデンティティが与えられています。カメラバーが写真品質の向上に貢献する理由については後述します。

Pixel 7 Proは、筆者の手に良く馴染み、心地良いサイズです。丸みを帯びたエッジが嫌いな方もいますが、そこは個人の好みでしょう。電源ボタンと音量ボタンは本体右側面にありますが、電源ボタンは上側に位置しており、Samsung等の他社とは異なります。

今回のテスト中、このスマートフォンは非常に滑りやすいことに気付きました。キーボード入力によって引き起こされるわずかではあるが継続的な振動のために、滑ってテーブルから落ちやすい可能性がありそうです。本体がカーブしたスマートフォンによく見られるもので、Pixel 7 Proもその1つとなっています。

このスマートフォンを水中に落とした場合でも、IP68防水のおかげで問題ありませんが、長時間の放置にはお気を付け下さい

音質
このスマートフォンのスピーカーは音質が良く、間違いなく音楽を楽しむ事が出来ます。iPhone 14 Proのような他の”有名”なスマートフォンと比較すると、力強さと低音がわずかに不足しています。この点については改良の余地がありそうですが、それ以外のエクスペリエンスには満足しています。

ディスプレイ


Pixel 7 Proは、美しい6.71インチのOLEDディスプレイを備えています。そのサイズと3120×1440の解像度により、S23 UltraとiPhone 14 Pro Maxよりわずかに高解像度な512PPIで、最も鮮明なモバイルディスプレイの1つとなっています。

理論上のピーク輝度は1400ニトで、非常に明るい屋外でもディスプレイは見やすくなっています。これは、Pixel 6 Proよりも25%も明るいということになります。テストでは1040ニトまで容易に到達しましたが、これはあらゆる条件下でディスプレイを見やすくするのに十分過ぎる数値です。

購入時の状態では、1080Pの解像度で表示するように設定されており、最大のシャープネスが必要な場合には設定を変更して下さい。写真を見るには、その方が良いでしょう。

6.71インチ、120Hzの素晴らしい有機ELディスプレイ

ディスプレイのリフレッシュレートは120Hzで、LTPOテクノロジーを使用しているため、10〜120Hzの間で変動するので消費電力が少なくなります。

ディスプレイの下に光学指紋リーダーがあり、超音波リーダーほど高性能で目立たないものではありませんが、非常に上手く機能します。もしくは、指紋ほどは安全ではありませんが、顔認証を使用することも可能です。決済アプリには、指紋認証が必要になります。

カメラ


Pixel 7 Proには、次のように3つの背面カメラと1つの前面カメラがあります。

【カメラ仕様】
メインカメラ(ワイド): 24mm、50 MP、f/1.85 (OIS付き)
ウルトラワイド: 13mm 12 MP f/2.2
望遠(5倍): 117mm、48 MP f/3.5 (OIS付き)
セルフィー: 21mm、10.8 MP f/2.2

カメラバーは、高性能なカメラモジュールに対応するために厚みを追加するのに不可欠です。Pixel 5のカメラに関するレビューで指摘したように、より大きなセンサーには通常、より多くの深さが必要であり、GoogleがPixel 5のカメラハードウェアを緊急にアップグレードする必要があることは明らかでした。

多くの業界関係者の主張とは異なり、UbergizmoのCAMERA HWで捉えられているように、あらゆるメーカーにおける客観的な画質の向上は、主にカメラハードウェアの向上によって促進されています。SamsungとHuaweiの10年以上にわたるカメラデータを調べて、それを証明しています。

Pixel 6 Proのカメラハードウェアが大幅にアップグレードされたため、Googleは重要なプレーヤーとして復活しました。

Pixel 6 Proとほぼ同等のカメラ

昼夜を問わず、Pixel 7 Proのメインカメラは、目に見えるものを忠実に捉えた非常に優れた写真を撮影することが出来ます。Googleには、色やコントラストの調整に関して”独自のスタイル”があり、多くの人はそれを気に入っていますが、ニュートラルな(あまり手を加えられていない)写真を好む人もいます。美学は客観的な画質とは異なります。

全体として、Pixel 7 ProのカメラはPixel 6 Proにほぼ匹敵しており、主要なカメラモジュールは同一です。ただし、特筆するべき根本的な違いがあります。

Pixel 7 Pro メインカメラ(ワイド)、日中、ハイダイナミックレンジ
Pixel 7 Pro メインカメラ(ワイド)、夜間、ハイダイナミックレンジ

Pixel 7 Proの117mm望遠カメラは、6Proの104mm望遠カメラと比べてわずかに優れています。この2つの望遠カメラの違いは、アップグレードとは言えないくらいの差にしか感じられませんが、ズーム写真はわずかに良くなります。

Pixel 7 Proのウルトラワイドカメラはまともですが、他のメーカーはより優れたウルトラワイドカメラにさらに投資することを決定したことを認識するのは重要なことです。OnePlus 11はその良い例であり、現在、ソフトウェア、AI、または処理の量でその差を埋めることは出来ません。

Pixel 6 Proの16mmウルトラワイドカメラは、Pixel 7 Proの13mmウルトラワイドカメラよりも高い画質(及び低ノイズ)を提供します。角度が”広い”ほど画質が低下するため、この違いは典型的なトレードオフです(センサーのサイズやタイプ、他の全てが同じ場合)。その見返りとして、はるかに広い視野を捉えることが出来ます。

これらの違いは、Pixel 7 ProのCAMERA HWスコアがPixel 6 Proよりもわずかに劣る理由を説明しています。それらは非常に小さな違いですが、それでも差があることに違いありません。

Pixelスマートフォンのファンは、Googleが得意とする画像調整を含む、全体的な高品質のカメラエクスペリエンスを高く評価するでしょう。通常、ユーザーはオートモードの設定に満足しており、Googleが彩度とコントラストを追加し、写真の見栄えを良くする方法でHDRを処理しているように感じています。

全てのカメラで4K/60Hzのビデオ撮影がサポートされていますが、特に夕日等のコントラストの高い状況では、4K/30HzのHDR録画を使用することをお勧めします。また、フォーカスを変更出来る、人工的な背景ボカシを使用した24FPSシネマティックビデオモードもあります。

パフォーマンス


Pixel 7 Proには、5nmの半導体プロセスを使用して製造されたGoogle製のSoC「Tensor G2」が搭載されています。

ベンチマークからわかるように、TensorチップにおけるGoogleの優先事項は純粋な処理速度ではなく、”スマートフォンが世界を理解する必要がある”ということであり、Googleはチップ内のカスタムAIサブユニットでそれを達成したいと考えているようです。

CPUとグラフィックスのどちらのベンチマークからも、競合他社が純粋なCPU処理性能やゲームベンチマークでPixel 7 Proを容易に追い越すことが出来ることを明確に示しています。もっと高性能に出来た可能性もありますが、ほとんどのユーザーは絶対的な最高のパフォーマンスは必要としないため、あくまで比較のための数値として解釈して下さい。

おそらく重要なのは、Pixel 7 Proの性能と価格の比率が、S23 Ultra等の他社デバイスと比較した場合、少なくともCPU速度に関しては非常に妥当であるということです。ただし、他のハードウェアプラットフォームのグラフィックスは大幅に高速であるため、速度重視のスマートフォンの方が(ゲーム等においては)より高い価値を提供すると考えられます。

その点では、通常モデルのPixel 7は驚くべき価値を提供しますが、それは別のレビューとなりますので割愛します。ゲーム志向のOnePlus 10T、または最新のOnePlus 11も同様です。

ヘビーユーザー向けに、Googleは12GBのRAMを搭載しており、そのメモリによって、大量のアプリを使用したい場合でもスムーズに操作し続けることが可能になります。多くのアプリをインストールする場合、これはプロセッサ速度よりもさらに重要なポイントです。

バッテリー


GoogleのTensor G2プロセッサのセールスポイントの1つは、その電力効率です。5000mAhのバッテリーと組み合わせると、並外れたバッテリー寿命が得られるのではないかと期待しました。

しかし、残念ながら、実際のバッテリー寿命はそれほど驚くべきものではありませんでした。ほとんどのユーザーが終日バッテリーを維持出来ると思いますが、バッテリー設定とディスプレイの解像度を微調整しない限り、”24時間以上のバッテリー持ち”を実現する可能性はほとんどありません。

どこに電力が消費されているのかは、よくわかりませんが、無線通信、ディスプレイ表示、または電力管理が最適ではない可能性があります。上手く行けば、OTAアップデートで改善される可能性もあります。

充電する時は、Google純正の30W充電器を使用することで、サポートされている23Wの最大出力に確実に到達することが出来ます。今回は持っていなかったので、EZQuest UltimatePower 90W 充電器を使用しました。

テスト中に、充電がピークの22Wに達し、20Wから22Wの間で推移していることが確認出来ました。30分でバッテリーは39%まで充電されました。純正の30W充電器を使用すると、30分で0%から50%まで充電出来ると説明されていますが、これは理に適っているようです。

例えば、これはiPhone 14よりもはるかに高速な充電(mAh/分単位)ですが、Androidの標準ではそれほど画期的ではなく、OnePlus 10T等のスマートフォンは4.5倍速く充電されます。

結論


Pixel 7 Proは、Pixel 6 Proを段階的に改善したアップデートを提供することで、ファンの期待に応えています。既にPixel 6 Proをお持ちの場合、明らかな改良点は無いので待つことをお勧めしますが、Pixel 6a、Pixel 5、及びそれ以前の機種をお持ちで、市場で最高のPixelスマートフォンが必要な場合は、買い替えを強くお勧めします。

カメラの観点から、Pixel 6 Pro以降のハードウェアのアップグレードにおけるGoogleの多大な努力に本当に感謝しています。これは、この価格帯で最高のカメラを持つスマートフォンの1つです。予算に余裕がある場合には、Galaxy S23 UltraやiPhone 14 Pro等のさらに強力な選択肢もあります。

漸進的な改善を伴う良いアップデート

結論として、Pixel 7 Proは非常に優れたAndroidスマートフォンであり、Googleのソフトウェア機能とカメラチューニングを楽しむユーザーにとって、魅力的なはずです。それ以外のユーザーには、Xiaomi、OnePlus、Samsung等の十分な選択肢が存在します。

割引やプロモーションについては、Googleの公式ストアをご確認下さい。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

原文はこちら