”15.6インチの競合機種と比較することの出来ない、唯一無二の存在”
良い点 | 悪い点 | 評価 |
革新的なデュアルディスプレイ設計 | ポート類はもう少し多いほうが良かった | 8.8/10 |
17.3インチの大型ウルトラワイドディスプレイ | SSDスロットは1つのみ | |
重量は2kg未満 | 交換不可なRAM | 価格 |
良好なパフォーマンス | 1920ドル〜 |
新しい「Lenovo ThinkBook Plus Gen 3(別名:ThinkBook Plus G3 IAP)」は、「最高のマルチタスカー」としてLenovoから売り出されています。2つのディスプレイとe-Penが特徴で、2022年で最も革新的なラップトップの1つとなっています。このデザインによって、出張は多いが、主にデスクやホテルの部屋(外部モニターは無し)、またはクライアントの施設で働くという人なら恩恵を受けることが出来る可能性があります。
仕様
今回のレビュー機は、Intel i5-12500H(16コア)、16GB LPDDR5-4800 RAM、512GB SSDを搭載しています。そのため、Lenovoの公式サイトで1,927ドルから販売される、より手頃な製品の1つとなっています。
CPUの上位オプションにはIntel Core i7-12700H(20コア)が用意されており、どちらの場合でも32GBまでRAMを増量することが可能です。メモリはマザーボード一体型のため、注文時に容量を決める必要があります。どちらにしようか迷っている人は、特にCPUをフルパワーで使うような作業を行わない場合は、CPUよりもRAMのアップグレードを優先することをお勧めします。16GBでも十分ですが、万全とは言えません。
注文時のSSDの最大容量は1TBで、スロット(M.2 2280 PCIe 4.0 x4)は1つしかありません。背面カバーを開けて確認したわけではありませんが、Lenovoは通常、SSDを後で交換したい場合に備えて、可能な限りアクセス出来るようにしています。
製品デザイン
ThinkBook Plus Gen 3のウルトラワイドなフォームファクタは、新しい可能性を開きます。Lenovoは今回、メインディスプレイに17.3インチのウルトラワイド、サブとしてキーボード右側に8インチディスプレイという、生産性を高める2つの優れた特徴を取り入れています。両方のディスプレイの詳細については後述しますが、まずは他の筐体デザインを見ていきましょう。
このラップトップは、アルミ削り出しで作られたようなユニボディタイプのデザインとなっています。そのため、開いた時も閉じた時も非常にしっかりした作りに感じます。ディスプレイのたわみもほとんど無く、デザイン全体の”高級感”が気に入っています。
また、このラップトップはそれなりに頑丈で、ほとんどのラップトップが試すことさえない軍用輸送耐久テスト「MIL-STD-810H」の一連の試験にも耐えうることが認定されています。その点で、キーボードは防滴性もあるので、デスクでコーヒーを飲む人にとっては嬉しいポイントです。
底面カバーは修理が簡単に出来るよう取り外し可能で、冷たい空気を取り入れるためのメッシュ領域を備えています。熱気は大きな排気口を介して背面から排出され、全体的な冷却は非常に効率的に見えるため、コンピューターの騒音も少なくなります。大抵の場合、ファンは無音のままです。
電源ボタンはF7キーの上部に配置され、指紋認証機能も搭載されています。専用のスタイラスペンはラップトップ背面に完全に収納され、そこで充電も行われます。つまり、ペンは常に充電された状態で、いつでも使用可能だということです。たくさん絵を描く場合、オプションとしてより大きく、人間工学に基づいた「Lenovo Pen」を購入することも出来ますが、付属のスタイラスペンも普段の使用には十分快適です。
最後に、2kgを下回る重量は、デュアルディスプレイ(17.3インチ+8インチ)のラップトップにとって最適です。これまでのところ、このラップトップは、多くのユーザーにとって大きな問題である”重量あたりの生産性”という指標で見た場合、最高の構成と言えます。
キーボードとトラックパッド
キーボードは、Lenovoがハイエンドの消費者向けラップトップで使用しているものを彷彿とさせます。最近レビューした「Lenovo Slim 7i Pro X」と、外観や打鍵感は似ています。もう少し古い機種だと、Lenovo Yoga 9i等が近いかもしれません。
打ち心地は素晴らしく、しっかりしたキーの触覚フィードバックが気に入っています。ただし、ThinkPadのキーボードとは大きく異なるという点にはご注意下さい。ThinkPadのキーボードは通常、キーの移動がわずかに深く、キー表面(塗装)が柔らかくなっています。筆者は、両方とも頻繁に使用していますが、ThinkBookのキーボードは、おそらくLenovo以外のハイエンドラップトップに見られるキーボードに近いものです。ThinkPadのキーボードは、今でも他には無い存在のままです。
ポート類
本体サイズが大きいにも関わらず、ポートの数は思ったほど多くはありません。USB-Cを2基(Thunderbolt 4及びUSB 3.2 Gen 2)、USB-Aを2基(USB 3.2 Gen 1及びUSB 3.2 Gen 2)、HDMIを1基、そして3.5mm オーディオジャックを搭載しています。ほとんどのポートはラップトップの背面に収納されており、これは素晴らしい配置です。
本体下部の相対的な薄さが、ポート数が多くないことを示しているでしょう。底部に傾斜がついた左右側面は、フルサイズのポートには薄過ぎます。外観は美しいですが、傾斜を無くした部分にSDカードリーダー(有線LANポートもあると便利です)を配置することを、Lenovoにはお勧めします。
サウンド
ThinkBook Plus Gen 3のデュアルスピーカーシステムは、映画鑑賞やビデオ会議に適したサウンドを提供します。ただし、サウンドバーやクアッドスピーカーを搭載した、Lenovoラップトップの中で最高レベルのサウンドシステムには及びません。
2基のスピーカーは底部で鳴るため、一部の音は失われてしまいます。Dolby Atmosのソフトウェアは空間オーディオで良い仕事をしていますが、全体として、より高価なスピーカー構成にしていれば、音質はさらに良いものになっていた可能性があります。
それでも、特にディスプレイがほぼ180度にリクライニングするこのラップトップは、机や膝の上で映画を観るのに最適です。
ディスプレイ
ディスプレイは、ThinkBook Plus Gen 3を代表する特徴であり、まずは17.3インチのメインディスプレイから見ていきましょう。解像度は3K(3072×1440)で、ピクセル密度とバッテリー寿命のバランスが優れています。DCI-P3色域を99%カバーしているので、色に敏感なクリエイティブな作業に最適です。
ほとんどの人にとって、ラップトップで4Kはやり過ぎと言えます。4Kが必要な場合は、その理由を正確に理解し、その選択に伴うバッテリー寿命のトレードオフを受け入れる必要があります。3Kオプションは、他の全ての人にとって、1080p相当のディスプレイよりも明確に美しく表示されることがわかるでしょう。その恩恵ははっきりしており、価格も相応だと理解出来るはずです。
画面は、左右2画面に分割するのに十分なほど大きく、メール画面を片側に開きながら、リサーチや書類の作成といった作業を効率的に行うことが出来ます。組み合わせは無限大ですが、完全に機能するウィンドウが2つ横並びになっていると考えて頂ければ、その利便性がわかるでしょう。
8インチのサブディスプレイは、2台目のモニターのように見えます。他の”外部”モニターと同じようにセットアップ出来るので、全てのWindowsアプリと互換性があります。どう使うかはあなた次第ですが、スタイラスペン対応なので(メインディスプレイは非対応)、例えばそこでメモを取ることも出来ます。
筆者は、電卓、メモ帳、YouTube、Visual Studio Codeの出力等にセカンドモニターを使用しています。会計士の方なら、アプリで10キーを使えるようにするはずです。
唯一の制限は、フォントサイズが比較的小さいということですが、Windowsの設定でPPIスケールを変更することが出来ます。個人的には、集中する必要はないかもしれないが、頻繁にチェックするものを表示するのに優れたディスプレイとなっています。
ほとんどのユーザーにとって、クリエイティブ向けラップトップのキーボード上部にある細長いセカンダリディスプレイよりもはるかに用途が広いと考えられます。そういったものは動画編集のタイムラインには最適ですが、Lenovoのポートレートモードは、多くの場合、より多くの人にとって本当に役に立つものとなっています。
外部ディスプレイに関しては、このコンピューターはHDMI、USB-C、およびThunderboltを介して3つの外部モニターに接続可能です。
HDMI: 最大 3840×2160(60Hz)
USB-C: 最大 5120×3200(60Hz)
Thunderbolt: 最大5120×3200(60Hz)
Webカメラ
2メガピクセルのカメラは広角で、隣り合って座っている数人がフレーム内に入るようなビデオ通話に適しています。ビデオ通話ソフトによっては、さらに広く画面内に収めることが出来るかもしれません。
そのカメラは、一般的に使われている0.7メガピクセルのWebカメラよりも著しく優れていますが、ほとんどのミッドレンジスマートフォンのセルフィーカメラよりもはるかに劣っています。それがラップトップ業界の現状です。
顔検出アルゴリズムを使用して、ラップトップのロックを安全に解除するための赤外線センサーもあり、指紋リーダーに加えてそれを設定するとさらにセキュリティを強化出来ます。物理的なカメラシャッターも備えており、これは嬉しいポイントです。
性能
Geekbench、Cinebench R23、3DMark、GFXBenchといった主要なベンチマークを実行したところ、GeekbenchとCinebenchで非常に優れたCPUパフォーマンスが実証され、ThinkBook Plus Gen 3が生産性に優れたラップトップであることが示されています。
Lenovo Slim 7i Pro Xとの比較は、CPUにi5の代わりにi7-12700Hを選択した場合の数値の参考となります。
グラフィックスの観点から見ると、パフォーマンスはまともですが、専用GPUオプションが無いため、このコンピューターはゲームマシンや、負荷の高いビデオ処理等のGPUアクセラレーションワークロード向けに最適化されたシステムにはなりません。
このフォームファクタはビデオ編集に最適なので残念ですが、Lenovoには専用GPUオプションを備えた17インチラップトップもあります。事務作業、軽いクリエイティブ作業、開発などには、このレベルの性能で十分です。
SSDに関しては、読み取り速度はX1 Carbon Gen 10等の他のハイエンドラップトップに匹敵しますが、書き込み速度はわずかに遅いことがわかりました。ほとんどのユーザーは気付かないでしょうが、大量にディスクの書き込みが必要な作業を行っているかどうか把握しておいた方が良いでしょう。
バッテリー寿命
69Whというバッテリー容量は十分ですが、99Whのバッテリーを搭載した同サイズのラップトップも存在します。とはいえ、ラップトップの重量を2kg未満に抑えるように容量が調整されているのだと思われます。ここも重要なポイントです。
ディスプレイサイズと、2つのディスプレイを搭載しているという事実から、非常に長いバッテリー寿命には最適化されていません。ただし、このバッテリーは、画面の明るさにもよりますが、5〜6時間の事務作業に使用することが出来ます。
理論的には、ローカルファイルの動画再生で、最大7〜8時間使用することが出来る可能性があります。
バッテリーの充電には、Lenovoの高速充電を使用することになります。100W電源アダプタ(USB-C)により、X1 Carbonに付属する65W充電器よりも高速にラップトップを充電出来るようです。コンセントが容易に確保出来る場合には、バッテリー容量よりも充電速度が重要になる可能性があります。スマートフォン市場がそれを証明しており、同じ論理がラップトップにも当てはまります。
まとめ
Lenovo ThinkBook Plus Gen 3は、優れた本体設計とデュアルディスプレイ構成が特徴となっています。Google検索のデータを見ると、他の15.6インチの競合機と比較すらされていないことが明らかです。
問題は、それがあなたの仕事に十分な速度を発揮し、その快適さにそれだけの価値があるかどうかということです。この記事で性能に関する情報を十分に提供出来ているなら、ほとんどのユーザーはその性能レベルに満足することでしょう。
このラップトップは、外付けモニターに簡単にアクセス出来ないデスクで作業する傾向があるモバイルワーカーの日常生活を改善します。メインディスプレイだけでも、2つの13.3インチディスプレイを並べた状態に匹敵します。追加の8インチモニターによって、常にSlackを使用する必要がある場合や、仮想10キーが必要な場合に、作業効率を上げることが出来ます。
コンピューター1台で長時間の旅行をしなければならないとしたら、このラップトップを選ぶでしょう。2kgを切ることで重さが気にならないほど十分に軽量であり、生産性の向上は間違いありません。最後に、認定されたMIL-STDの耐久性と防滴キーボードにより、旅行中でも仕事が捗りそうです。
この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
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