Qualcommは先日、新型プラットフォーム「Snapdragon 8 Gen 2」を発表しており、先日の記事では、主要な特徴と新たな機能をご紹介しています。

また、Qualcommとそのパートナーがソフトウェア構築のために使用している開発用デバイスで、ベンチマークを実行する機会を得ることが出来ました。

このようなデバイスは、通常、Mobile Development Platform(MDP)と呼ばれ、明確にベンチマーク用に設計されているわけではありません。それでも、実際試してみた経験に基づくと、今後登場するであろう次世代ハイエンドスマートフォンに期待出来る性能を垣間見ることが出来ます。

GeekbenchやGFXBench等のよく知られたベンチマークを使用して、CPUとグラフィックスのパフォーマンスを調べましたが、他のベンチマーク結果は、CPUとGPUの速度に関してこれら2つとほぼ相関しています。

ほとんどの消費者と同じように、私達も新しいSnapdragon 8 Gen 2が限界を押し広げる様を見てみたいと考えており、CPUとグラフィックスは性能を測る良い指標となります。ただ、ベンチマーク結果は参考程度に捉えたほうが良いでしょう。

以下に掲載するデータには、AIベンチマークも含まれています。興味がある方にとって、これは非常に面白い内容となっています。ただし、AIのメリットは、AIベンチマークには直接反映されていません。このようなベンチマークは興味深いですが、まだスマートフォンには普及していません。

Samsung Galaxy S22 Ultraは、ハイエンド市場を席巻した昨年のプラットフォーム「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載しています。OnePlus 10Tは、Snapdragon 8 Gen 1よりもわずかに高速化された改良版「Snapdragon 8+ Gen 1」を備えています。

シングルスレッドのGeekbench 5は最速のCPUコアのみを使用し、前世代のプラットフォームよりも大幅に性能が向上していることを示しています。

さらに重要なのは、全てのコアが限界まで使用された場合、新しいSnapdragon 8 Gen 2は前世代よりもはるかに優れたパフォーマンスを発揮するということであり、それは高いCPU処理能力を必要とする全てのアプリで顕著に見られるはずです。

このようなCPU性能は、日々の使用中でも、アプリ初期化の高速化や様々なタスクの待機時間短縮に繋がります。多くの人が明らかな違いは無いと言っていますが、1〜2年前のスマートフォンを使ってみればその差を感じることが出来るでしょう。新しいテクノロジーを受け入れるほうが、はるかに簡単です。

特定のベンチマークでは、AppleのA15 BionicとA16 Bionicが引き続き優位に立っていることは、注目に値します。

Snapdragon 8 Gen 2のグラフィックス性能も印象的で、ベンチマークが大幅に向上しています。優秀なOnePlus 10Tをゲーム用途に使用すれば、Qualcommの新型プラットフォームがいかに高速であるかがわかります。

確かに、200FPSでプレイしたいわけではないかもしれませんが、レイトレースされた反射や影等の高度な機能を使用するものを含め、モバイルでプレイ可能な最も複雑なゲームを処理することが可能です。これは、FPSの向上だけでなく、パフォーマンス向上に関するより重要な副産物です。

GFXBench Aztec Ruins等の最新グラフィックスベンチマークでは、パフォーマンスの飛躍はさらに顕著です。

GFXBench等のグラフィクスベンチマークでは、QualcommのSnapdragon 8 Gen 2が、競合であるApple A15およびA16を圧倒しており、QualcommのGPU設計とドライバーが非常に高度であることを示しています。

また、GFXBench Manhattan 3.1 OpenGL(Android)対Metal(iPhone)のように、当然Appleに有利なベンチマークを使用する場合にも当てはまります。MetalグラフィックスAPIは、AndroidのVulkanと比較するのが最適です。ドライバーのCPUオーバーヘッドが低く、OpenGLよりもスコアが高くなる傾向があります。それでも、Qualcommがまだ勝っています。

ニューラル処理や人工知能に関しては、新しいSnapdragonプラットフォームのスコアが、比較するベンチマークによっては最大25%も高くなります。どれも完璧ではありませんが、2世代のチップ間でMLPerfのようなものを比較すると、良い指標を得ることが出来ます。

繰り返しになりますが、AIの作業負荷のほとんどは持続的ではなく、音声コマンドや顔検出、写真撮影等が時々発生します。おそらく1秒あたりに20〜60回というはるかに高い頻度で処理を要求される可能性のある動画撮影に関しては、さらに興味深いものになります。

いずれにせよ、動画を撮影し、AIを使用して背景をボカしたりすると、ユーザーが”作業をより早く終わらせる”ことは難しくなります。これらの生産性を数値化することは、より困難です。

結論として、Snapdragon 8 Gen 2プラットフォームは、期待した通りの優れた性能を発揮してくれました。グラフィックス性能の向上は注目に値するものであり、今後のゲームやXRアプリケーションにとって良い兆候となります。

イメージプロセッサとニューラルプロセッサの間の見事な連携を含むベンチマークはまだ測定されていませんが、これまで以上に複雑にする必要もありません。これらの重要な詳細をよりよく理解するためには、Snapdragon 8 Gen 2の機能についての記事をご覧下さい。

この新型SoCを搭載した市販のデバイスを使用して、そのパフォーマンスを記事に出来る日が来ることを楽しみにしています。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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