MediaTekは、先日開催されたExecutive Summitで、世界初のWiFi 7プラットフォーム「Filogic 880」と「Filogic 380」について説明を行いました(2023年5月に発表済み)。さらに重要なこととして、ルーター側とクライアント側の両方のライブデモンストレーションを披露しました。デモの1つでは、2つのWiFi 7対応デバイス間で、13Gbpsという驚異的な速度を見せています。

これら2つのプラットフォームについてご存知無い方もいるかもしれませんが、Filogic 880はルーター向けに、Filogic 380はコンピューターやスマートTV向けにそれぞれWiFi 7を導入するためのソリューションです。

これらのデモでは最良のシナリオが想定されていますが、それでもなおその技術力は素晴らしく、一般消費者レベルのワイヤレス通信がまた一歩未来に進んでいることを示しています。

今回の例では、2台のWiFi 7対応ルーターデバイスが互いに近くにあり、デモ用ラップトップには外部アンテナが搭載されていました。想定される実際の使用状況とは異なりますが、ラップトップのデモでは、最終的なWiFi 7の速度がチップセットではなくアンテナの設計によって制限される可能性があることが示唆されています。このことから、ワイヤレスネットワークの課題の多くが、アナログな領域にも存在することがわかります。

Filogic 880は複数のWiFi 7デバイスと同時に通信することが想定されており、理論上の最大帯域幅は36Gbpsとなっています。これは、高速機器を実装しているユーザーにとっても、印象的な数字です。筆者は、信頼性と低遅延のために有線LANを今でも使用していますが、これらのデモを見て、メインPCでワイヤレス通信をもう一度試してみたいと思いました。

Filogic 880には、VPNアクセラレータ(トンネリングオフロードエンジン)やそのハードウェア暗号化エンジン等の重要な機能が備わっています。在宅勤務の従業員の増加のおかげで、これまで以上に多くの人々がこれらの機能を必要としています。

最も要求が高い顧客向けに、Filogic 880には2つの10Gbps有線イーサネットポートが搭載されています。これは、ローカルネットワーク上の2つのワークステーション間でファイルを転送するのに非常に便利です。これは、そのようなコンピューターが10Gbpsイーサネットに対応していることを前提としており、残念ながら(100〜300ドルで販売されている)アダプターを購入するのが一般的です。安くはありませんが、中小企業やヘビーユーザーならこのオプションを評価するでしょう。

これらの速度は全て、複数の周波数(MLO-Multiple Link Operation)の操作や、可能な全てのWiFiバンドのサポート、高度なビームフォーミング、高度な並列処理等、最も高度で最先端の無線及び信号処理テクノロジーによって可能となっています。

Filogic 380はクライアント側のWiFi 7チップで、通常は最大6.5Gbpsの速度で1つのルーターデバイスまたはメッシュルーターと通信します。バンドやチャネルを同時に使用することで、このような速度が実現されています。WiFi 7のパフォーマンスが、アンテナの設計やWiFI環境、ルーター等の外的要因ではなく、チップによって制限される現実世界の状況は想像出来ませんので、これは長期的に見て良い投資のようです。

ここ数年は、メッシュWiFiネットワークやWiFi 6、それに続くWiFi 6Eの登場により、WiFiテクノロジーにとって激動の期間となっています。MediaTekによる堅実なデモが公開されたように、WiFi 7の導入は順調に進んでいるように見えます。これによって、各メーカーは優れた通信プラットフォームを構築出来るようになり、他社を含む様々なデバイスを組み合わせるのではなく、MediaTekを全体的なプラットフォーム(SoCを含む)として使用する大きな動機になります。おそらく、製品の発表と合わせて、来年のCES 2023でさらに多くのデモが行われるでしょう。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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