デスクトップワークステーションは、最大の性能と拡張性のみに最適化されているため、かさばり、重くなってしまうのが一般的です。「ThinkStation P360 Ultra」は、それとは正反対のコンセプトで作られており、省スペース設計となっています。Lenovoは、4リットル以下のスペースに、可能な限り多くの計算能力を詰め込もうと試みました。

このコンピューターは、省スペース型(SFF)ワークステーションで競合製品よりも15%小さいと説明されており、ENERGY STARやEPEAT Goldといったエネルギー効率に関する重要な認定基準にも適合しています。22x20x8.6(センチ)というサイズは、IntelのNUC 12 Extremeの35.7×18.9×12(センチ)よりもコンパクトに仕上げられています。

内部には、Intelの第12世代CPU(最大16コア)と最高でRTX A5000(16GB VRAM)を搭載します。このGPUは、ラップトップ向けのRTX 3080と非常に似た製品です。モバイルに適したGPUということは、こういった小型コンピューターで実現可能な限られた冷却性能や電力効率に上手く合致しています。

ただし、このグラフィックボードは、マザーボードと専用コネクタで接続されているという点には注意が必要です。つまり、GPUのアップグレードはLenovo側でしか行えないということです。とは言え、ラップトップユーザーのように、購入者がGPUをアップグレードしない可能性も考えられます。

小型ワークステーションに興味のあるほとんどの人にとって、メインシステム用に4つのDDR5 RAMスロットがあれば十分でしょう。64GBのRAMを構成するのも、簡単です。

省スペース設計の他社製品と同じように、300Wの電源ユニットは外付なので、最高構成のCPUやGPUオプションの性能が電源によって制限されないのか気になるところです。ただ、処理速度や性能が上がれば、その分発熱も多くなります。このワークステーションは、以前レビューした「ThinkPad P15 Gen2」のようなラップトップワークステーションよりは冷却性能が優れている、という程度に考えるのが妥当でしょう。

ThinkStation P360 Ultraは、多くのポートを備えています。また、似たような価格帯のThinkPadワークステーションよりも、かなりお手頃(さらに高性能)となっています。それと同時に、例えば「ThinkVision M15」のようなモバイルディスプレイと組み合わせれば、移動も比較的容易になります。ただ、USB-C/Thunderbolt 4のポートがもう1、2個多いほうが良かったと思います。

Thunderbolt 4ドックを使えば、固定された状態でも接続性を簡単に拡張し、外部ストレージやアクセサリにアクセス出来るようになります。頻繁に抜き差しをするなら、ケーブル1本で接続出来るという環境は非常に快適です。

結論として、このワークステーションの小型性とお手頃な価格は、高く評価されそうです。どんなデスクの上でも見栄えが良く、スッキリした環境を簡単に構築でき、ある程度の機動性もあります。とは言うものの、従来のワークステーションユーザーよりも、コンパクトさを好む大衆向けの製品なので、実際の性能がどの程度のものなのか気になります。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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