2019年春に登場した「arrows hello AT01(アローズ ハロー)」。富士通コネクテッドテクノロジーズ製品初となるマルチ翻訳機です。“世界と「話す」「聞く」「読む」が自由自在。”というキャッチコピーで、Wi-Fi接続により28もの言語を双方向翻訳できるスグレモノです。

ただ、こうやって聞くと「スマホアプリでも良くないこれ」と思う方、いらっしゃるでしょう。たしかに似たようなアプリ、ありますよね。高いお金を出して翻訳機を買うなら、無料アプリで済ませておこうという気持ち、分かります。でも、「arrows hello」には、スマホアプリではなかなか得られないメリットが目白押しなのです。今回は、その魅力をたっぷりとお伝えします。

オフライン翻訳にも対応!

百聞は一見に如かずということで、まずは音声翻訳機能を使ってみましょう。

「今年こそは海外旅行デビューしたい!」と意気込むUbergizmo JAPAN編集部員が、慣れ親しんだ日本語&カタコト英語を駆使して試してみることに。画面をタップして翻訳言語を「日本語&英語」に設定。翻訳キーを押しながら日本語で話しかけてみると……。

わずか2〜3秒ほどで、しゃべった内容が英語に翻訳されました! この反応速度なら、会話のテンポが悪くなることもなく、自然なペースでコミュニケーションできそうですね。

翻訳内容に機械的な印象はなく、日本語独特な敬語表現もしっかり反映されています。精度はかなりの高さ。専用ノイズキャンセルマイクを採用しているためか、わざわざ口元に近づけたり、相手に翻訳機を渡したりしなくても、きちんと聞き取ってくれます。スマホにはない、翻訳に特化したデバイスならではの利点と言えそうです。翻訳を「聴きそびれた……」というときは、リピートボタンを押せばOK。何度でも音声を聴きなおせます。

ウェブサイトの翻訳機能などを利用するときに困りがちなのは、電波の問題です。海外旅行の際に、いつでもどこでもWi-Fiが使えるとは限らないですよね。「arrows hello」なら、オフライン状態でも「日本語⇔英語」「日本語⇔中国語」の双方向翻訳が可能に。「電波の届かないビーチで、ナンパにトライ」という編集部員の夢も、これなら安心です。

iPhoneとサイズ比較
iPhoneとサイズ比較

本体サイズは、約118×50×13mmと非常にコンパクト。大人の手のひらであれば、すっぽり収まるサイズ感です。iPhone XSと比較してみると、そのコンパクトさがお分かりいただけるでしょう。

USB Type-Cケーブルで充電できるため、スマホやタブレット用のケーブルを使い回せる点も魅力的です。ただでさえ荷物が多くなりがちな海外旅行。場所を取らないのも嬉しいポイントといえますね。

ユニークなカメラ翻訳機能

ここまで述べた通り、「arrows hello」には便利な機能が盛りだくさん……ですが、他の翻訳機に似たような利点があるのもまた事実です。中には、翻訳できる言語の数/価格/知名度etc. 「arrows hello」より優れたポイントを持つ製品もありますよね。

ただ、「arrows hello」には、まだご紹介できていない、とっておきの機能があるのです。冒頭で触れた通り、「arrows hello」は世界と「話す」「聞く」&「読む」が自由自在。そう、内蔵カメラを利用して、文章を読み取り&翻訳できるのです。

観光パンフを訳してみる
観光パンフを訳してみる

新宿駅の近くでゲットした、外国人観光客向けの観光パンフレットをスキャンしてみましょう。読み取り手順は簡単です。タッチパネルから「カメラ翻訳」を選んで、起動したカメラを使って文章や単語を撮影すればOK。その際、ディスプレイに表示される罫線に沿って対象となる文字を撮るのが、読み取りのコツです。

翻訳成功!
翻訳成功!

訳してみた結果がこちら。少々長めの文章でも、平易な日本語に翻訳してくれました。

翻訳を続けていくと、どうやら得手不得手があることも判明。ガイドマップなどの“かっちり系”な文章はきちんと翻訳できますが、文学のように抽象的な文章を訳すのは少しニガテみたいです。とはいえ、レストランのメニューを訳す/ホテルの料金プランを比較するetc. 旅行先で使用するのであれば、大きな問題もないでしょう。

カメラ翻訳はオンライン21ヵ国語に対応するほか、音声翻訳と同様、オフライン状態で「日本語⇔英語」「日本語⇔中国語」の翻訳を行えます。

Tシャツ撮ってみよう

カメラ翻訳をもっと試すべく、何かいいサンプルはないか……ということで思いついたのが、「英字Tシャツ」。よく変な日本語のTシャツを着ている外国人の方を見かけますが、自分自身、普段あまり言葉の意味を考えずに英字がプリントされたTシャツを着ているなと。

というわけで、某密林系通販サイトで「英字Tシャツ」をいくつか購入。翻訳してみたいと思います……が。そもそも“人が着た状態”の英字を「arrows hello」は翻訳できるのでしょうか。

早速検証してみましょう。

DropoutなTシャツ
DropoutなTシャツ

まずはこちらのTシャツから。爽やかな白地に、“Dropout”とだけ、英語のメッセージがプリントされています。Tシャツがヨレると読み取りが上手くいかないので、気を付けて撮影。

翻訳結果は……。

中退
中退

「中退」。

英語圏の人が見たらどう感じるのでしょうか、これ。私たちが、変なことわざ日本語Tシャツを着た外国人観光客を見かけたときの、あの感じですかね。

補足すると、dropoutには“脱落(者)”という意味もある模様。アウトロー気分で街を歩きたい方に、ぜひ着こなしてほしい1枚ですね。何はともあれ、「arrows hello」はTシャツにプリントされた英語でもしっかり読み取れましたね。

INDIRECT FREE KICKとは?
INDIRECT FREE KICKとは?

続いて、はこちらのTシャツ。早速訳してみましょう。中退Tシャツとは違って、一般的なフォントではないのが気になります。デザインされているフォントですが、きちんと訳せるでしょうか。結果は……。

間接フリーキック
間接フリーキック

訳せました。はい、「間接フリーキック」。直接ゴールを狙ってはいけません。サッカー観戦に着ていけば、英語圏の人々から怪訝な顔をされそうです。

I am not Perfect. But I am LIMITED EDITIONって?
I am not Perfect. But I am LIMITED EDITIONって?

最後の1枚はこちら。これまでの2枚と違い、長文です。途中に「LIMITED」という赤地に黒字の反転文字もまざっています。改行されたこの5行で1つの文章。果たして「arrows hello」はこの英文を読み取れるでしょうか?

完璧じゃないが限定版だ
完璧じゃないが限定版だ

結果がこちら。長文も改行もなんのその。バッチリ読み取ってくれました。意味は、「完璧じゃないが限定版だ」。「ナンバーワンよりオンリーワン」的なメッセージなのかな……。ちょっと中二病的ですね。「どういうつもりで着ているの?」と英語圏の人に突っ込まれたら、私なら赤面&どもりますね。

カメラ翻訳、かなり使えます

洋書の長文にチャレンジ
洋書の長文にチャレンジ

最後にこちらの洋書でさらなる長文を訳すことに挑戦してみます。

安藤忠雄さんのページ
安藤忠雄さんのページ

世界各国の著名な建築家&建造物にフィーチャーしたこちらの本。日本を代表する建築家、安藤忠雄さんを紹介しているページの英語を読み取ってみましょう。

洋書の長文もしっかり翻訳されました
洋書の長文もしっかり翻訳されました

ご覧の通り、スムーズな日本語に翻訳してくれました。長文、全然いけます。

正直、カメラ翻訳はかなり便利という実感です。海外旅行に持っていけば、レストランのメニューやツーリストガイドを読むのに大きく役立ってくれそうです。逆に、日本で使うなら、飲食店オーナーの方にオススメだなと思いました。紙のメニューが日本語しかなくても、「arrows hello」を渡せば、カメラ翻訳で確認してもらえそう。外国人とのコミュニケーションも、これ一台で積極的になれますね。

※検証内容・感想はUberGizmo編集部の感想です。