NTTドコモは、スペイン・バルセロナで開催された「MWC 2026」において、ユーザーの行動や習慣を学習し、先回りして情報や行動を提案するパーソナルAIエージェント「SyncMe」を発表した。従来の音声アシスタントのようにユーザーの指示を待つのではなく、日常データをもとにニーズを予測して提案を行う“プロアクティブ型”AIを目指している点が特徴だ。

SyncMeはスマートフォンの専用アプリとして動作し、ユーザーのドコモアカウントと連携することで、長期的な利用履歴や行動データを活用してユーザーの興味や生活パターンを理解する仕組みを持つ。例えば、支払い履歴や利用履歴、位置情報などのデータからユーザーの生活習慣を学習し、好みや関心を推測していく。日本では同じ携帯キャリアを長期間利用するユーザーが多いため、ドコモが保有する長期データを活用することで、より精度の高いパーソナライズが可能になると説明されている。

また、短期的なコンテキスト情報として写真などの入力にも対応する。例えば、ユーザーが美術館の写真を複数撮影すると、システムが美術館巡りへの関心を推測し、旅行先で展示会情報や文化施設を提案する、といった使い方が想定されている。

デモでは、ユーザーの興味に合わせてイベントやアクティビティを提案するシナリオも紹介された。例えば、バスケットボールに関心があるユーザーがロサンゼルスに滞在している場合、ロサンゼルス・レイカーズの試合観戦を提案するといった具合だ。こうした機能により、AIが単なるチャットボットではなく、ユーザーの日常に寄り添うデジタルパートナーとして機能することを目指している。

さらにSyncMeは、複数のAIエージェントを組み合わせるプラットフォームとしても設計されている。ユーザーには基本となるパーソナルエージェントが提供され、そこに旅行、エンターテインメント、ブランドサービスなど特定分野の専門エージェントを追加することが可能になる予定だ。

サービスはフリーミアムモデルを採用する見込みで、基本機能はドコモユーザー向けに無料提供される一方、追加機能やパートナー連携による高度なサービスは有料になる可能性がある。

現在SyncMeは日本でベータ版としてテスト中で、今後数か月以内にドコモユーザー向けに段階的に展開される予定だ。今回の取り組みは、ユーザーの代わりに行動する「AIエージェント型サービス」への業界全体のシフトを象徴するものでもあり、通信キャリアが保有する大量の顧客データを新たなサービス価値へ転換する試みとしても注目されている。