Googleは、AndroidおよびiOS版Chromeに新たな「AIモード」を追加し、モバイル検索体験を大幅に刷新した。新しいタブを開くと検索バー直下にAIモードが表示され、タップするだけで高度なAI検索が起動する。この機能はすでにデスクトップ版に導入されていたが、今回ようやくスマートフォンへ拡大された形だ。

まずアメリカから提供が始まり、今後160カ国以上に広がる見込みで、ポルトガル語など複数言語にも順次対応する予定。Googleは検索プラットフォーム全体をAI化する長期戦略を掲げており、モバイルChromeへの導入もその一環といえる。
AIモードの中心にあるのは、Googleの高度な推論モデル「Gemini 2.5」。従来のキーワード検索とは異なり、文章、質問、画像など複数の入力方式を組み合わせたマルチモーダルな対話型検索が可能になる。ユーザーは調べたい内容を自然な会話のようにやり取りでき、AIは文脈や意図を理解したうえで、要約や解説、追加提案などを行う。
これによりChromeは、単に「検索結果を並べる」だけのツールから、AIアシスタントのように一緒に考えてくれる存在へと進化する。細かなキーワード入力や複数ページの情報収集に頼る必要が減り、よりスムーズで効率的に調べ物ができる点が大きな特徴だ。検索プロセス全体が直感的かつ会話的になることで、初心者から上級者まで幅広いユーザーの体験向上が期待される。
GoogleがこれほどAI体験を検索に統合する背景には、Perplexityなど対話型AI検索の台頭もある。ChromeのAIモードは、まだ「完全AIブラウザ」と呼べるレベルではないものの、Googleが検索の未来を“会話中心”に再構築しようとしている姿勢を鮮明に示すものとなっている。
今回のアップデートは、モバイル検索を静的なリンク一覧から脱却させ、より人間的な理解とコミュニケーションに近づける重要な一歩だ。ユーザーが望む情報に素早く、より自然に到達できる未来の検索像を、Chromeがいち早く提示している。






















