韓国発のスタートアップ・A4Labが、リアルタイム手術支援機器の新モデル「XAVE-MINI」を開発しました。CES 2026での正式発表が予定されており、プラグ&プレイ対応、コンパクトかつ比較的低価格という点で注目を集めています。
XAVE-MINIの主な特徴
•実時間の手術ナビゲーション:患者の顎や神経、使用ツールの位置関係をリアルタイムに画面表示し、方向指示を実際の外科地図のように提供。特に歯科分野におけるインプラント施術時の精度と安全性が向上します。
•高速かつ確実な画像登録:従来の術前画像の実際の患者への対応づけに最大30分かかる一方で、XAVE-MINIは1分以内で完了し、600例以上の臨床で100%成功という実績を持ちます。これは従来の常識を大きく超える改善です。
•ARヘッドセットとも連携:Microsoft HoloLensなどXRデバイスと組み合わせることで、視界にナビ情報を重ねて表示可能。赤外線カメラと咬合プレートを使った高精度トラッキングにより、使用者の動きに関係なく確かな精度をキープします。
伝統手法との比較と意義
•従来は使い捨ての硬質ガイド装置や術者の手技力に頼るフリーハンドが主流でしたが、XAVE-MINIはリアルタイム追従型ナビで動的適応を可能とする点が一線を画します。
•他の高性能なナビシステムと比較しても、本体は20インチ手提げケースほどのミニマルサイズで、狭い診療室や移動用途にもマッチ。これにより導入ハードルが大幅に低下します。
将来への展望
•A4Labはこの製品を「手術ロボット」の前段階と位置づけています。車のナビが自動運転の土台を築いたように、XAVE-MINIがロボット手術の布石になることを目指すという戦略が示されています。
•設立から3年弱ながら、臨床ナビ・規制対応・開発の専門家8名を抱え、KGMP(韓国医療機器製造適正規格)認証も取得済という体制の堅実さも評価できます。
市場と未来価値:投資先としての魅力
•世界の手術ナビゲーション市場は、2024年時点で約18億ドル。2030年には33億ドルに倍増する見通しで、XAVE-MINIはその成長市場における革新製品と目されています。
•当面は歯科領域への展開が中心ですが、将来的には顔面手術、耳鼻咽喉科、ロボティクス分野へと拡大する予定です。また、装置販売に加え、ソフト&消耗品による継続収益モデルを構築している点も、長期的な収益性を支える設計です。
総評:「XAVE-MINI」が切り拓く“誰もが安全に使える手術支援”の扉
A4LabのXAVE-MINIは、「高精度」「低コスト」「コンパクト性」「信頼性」を高次元で両立したデバイスです。特に歯科インプラントの現場において、手術精度とスピードの両立、さらには未経験者への安全対策として、大きな社会的価値を持ちます。
CES 2026での展示は、多くの医療関係者や投資家の注目を集めるきっかけとなり得ます。少数スタートアップながら、大きな可能性を秘めた挑戦。このスペースから生まれる次世代の手術ロボットへの展開が、今後の注目ポイントです。