Metaは2025年9月に、初の商用ARグラス「Project Hypernova（ハイパーノヴァ）」を発表する予定です。内部開発コードネーム「Hypernova」は、シングルアイのミニマルなHUD（ヘッドアップディスプレイ）を搭載し、価格は約800ドルと先行予想より20％ほど安価に設定されています。この価格戦略は、より多くの消費者への普及を狙ったものです。
特徴とユーザー体験
•メイン視界を邪魔しない右レンズ下部に小型ディスプレイを備え、通知や簡易情報を下目遣いで表示する仕様。情報提示は控えめで、日常生活への溶け込みやすさを重視しています。
•重量や装着感を抑えるため、一般的なAndroidアプリは非対応で、プリインストールされた数種類のアプリのみを動作させる予定です。これは、複雑さを排除した実用性重視の設計思想によるものです。
•操作用にはEMG方式のネックレス型バンド（神経筋活動を検出するリストバンド）および、フレームのタッチエリアが使用される予定です。物理的ボタンを排して、自然なジェスチャーで操作できる体験が目指されています。
Metaの戦略と市場背景
•MetaのAR戦略は、次世代ヘッドセット「Phoenix」（2027年予定）の前哨戦としてHypernovaを位置付けています。安価な入門機として、広範なユーザー層の取り込みを狙う段階的展開です。
•近年、ARグラスは高価格帯が主流でしたがHypernovaの登場は、300～500ドル帯の廉価モデルに追随する流れの中でMetaとしての回答とも言えます。
将来展開への期待
•Hypernovaはモノキュラー構成（片目のみディスプレイ）を採用。軽量さ・デザイン性・低コスト・シンプルUIのバランスを意識した設計です。Android Centralもこのスタイルを「ウェアラブルの主流となる可能性あり」と評価しています。
•本格的なAR体験を提供するプロダクトへ向けて、Hypernovaが「現実への情報統合の第一歩」となるかどうかが、今後の焦点となりそうです。
総括：「普及の鍵を握るARグラスの現実解」
Metaの「Hypernova」は、ARグラスが高価なガジェットから日常的なウェアラブルへ移行する契機となる可能性を秘めています。価格を抑えつつ、日常性と機能性を両立させた設計は、一般ユーザーが初めて手にするAR体験として有力です。
9月の正式発表以降、スペック詳細や操作体験、他社製品との比較にも注目が集まるでしょう。より軽やかで情報と共に歩く未来が、手の届くところまで近づいてきています。
