GoogleはAndroid 16において、セキュリティを重視するユーザー向けに「Advanced Protection」モードをChromeに組み込みました。この機能は、設定画面のプライバシーとセキュリティ項目から有効化でき、オンライン上の脅威からユーザーを守る包括的な保護を提供します。

🔍 主な機能と保護内容
1. 安全な接続の強制(Always Use Secure Connections)
HTTP接続の際には警告が表示され、安全性の低いサイトへのアクセスを抑制します。HTTPSではない通信をユーザーに確認させ、誤って閲覧するリスクを減らす狙いです。

2. JavaScript最適化コンパイラの無効化(JavaScript Optimization Hardening)
ChromeのV8エンジンに内蔵されるJavaScriptの最適化コンパイラは、高速化を実現しますが攻撃対象になりやすいという弱点も指摘されています。Advanced Protectionではこれを無効化し、既知のV8の脆弱性のうち約50%を回避可能としています。ただし、一部サイトではパフォーマンス低下の可能性もあります。

3. サイト分離(Site Isolation)
各Webサイトを別プロセスで処理し、悪意あるページが他のサイトやデータに干渉するリスクを抑制します。4GB以上のRAMを搭載したAndroid端末では全サイト分離が適用されるため、高い隔離効果が期待されます。

📲 対象ユーザーと有効化条件
このAdvanced ProtectionモードはAndroid 16搭載端末のChrome向けに提供され、すべてのAndroidユーザーが利用可能ですが、主に「ハイリスクなユーザー」(ジャーナリスト、政治家、活動家など)を念頭に設計されています。

💬 安全性と利便性の両立へ
•セキュリティ優先の保護と引き換えに、一部のWeb機能や表示速度に制限が加わる可能性がありますが、設定から個別調整も可能です。
•HTTP接続時の自動警告やサイト間プロセス分離などの技術は、標準ユーザーにも設定で活用でき、セキュリティの底上げに貢献します。

✅ まとめ:モバイルセキュリティにおける次の一手
•Android版ChromeにAdvanced Protectionが組み込まれたことで、デバイス全体のセキュリティ向上が一層進みました。
•HTTPS強制・JavaScript最適化の無効化・完全なサイト隔離といった対策が標準で提供される点で、モバイルにも“Lockdown Mode”的な強固な保護が実現されています。
•対象を限定せず幅広く展開されるセキュリティ強化機能として、今後Androidを使うすべてのユーザーが恩恵を受ける可能性があります。

Advanced Protectionは、オンライン脅威からの防御を保ちながら、一部制限との共存をどう設計するかが鍵です。ガジェット系ユーザーにとって、セキュリティの中心軸として注目すべき進化です。