バッテリーは、スマートフォンから電気自動車まで、多くの機器に不可欠なものだ。しかし、現在のほとんどのバッテリーはリチウムを使用している。リチウムは高価で希少であり、環境に有害である。そのため研究者たちは、より安価で、より豊富で、より環境に優しい代替品を探している。
有望な選択肢のひとつは、リチウムの代わりにナトリウム(以前取り上げたXubakaバイクのような)やカリウムを使うことだ。これらの元素はより一般的で、海水や塩鉱山から抽出できる。また、リチウムと化学的性質が似ているため、既存のバッテリー技術との互換性もある。
しかし、ナトリウムイオンバッテリーやカリウムイオンバッテリーには大きな欠点がある。つまり、リチウムイオン電池よりも充電回数が少ないか、交換時期が早いということだ。この課題を克服するために、科学者たちは電池の電気を蓄えたり放出したりする部分である電極の、より良い材料を見つける必要がある。
東京理科大学の研究チームが、この分野で画期的な進歩を遂げた。彼らは、規則的な構造を持たない炭素の一種であるハードカーボンから電極を作る新しい方法を開発したのだ。酸化亜鉛と炭酸カルシウムをテンプレートとして使用することで、ハードカーボンに小さな孔を作ることができ、ナトリウムイオンやカリウムイオンを保持する能力が高まった。
研究者たちは、この新しい電極を実際の電池でテストしたところ、従来のものよりもはるかに優れた性能を発揮することがわかった。ナトリウムイオン電池のエネルギー密度は312Wh kg-1となり、これは一部のリチウムイオン電池に匹敵する。また、この電極は、開発がさらに困難なカリウムイオン電池にも有効であることも示した。
この発見は、将来、より効率的で持続可能な電池への道を開く可能性がある。また、リチウムへの依存度を下げ、環境への影響を減らすことにもつながるだろう。研究者たちは、今回の発見がこの分野におけるさらなる研究と技術革新のきっかけになることを期待している。この発見の詳細については、『Advanced Energy Materials』誌に掲載された原著論文を参照のこと。
著者 五十嵐大介、田中陽子、久保田啓、多々良亮一、前島勇人、保坂知樹、駒場信一
Xubakaについては2021年のCES(バーチャルCES)で発表された。
ナトリウムイオン電池は、CNRSが支援するTiamat(CNRS:フランス国立科学研究センター)で現在も開発中だ。2015年にRS2Eがプロトタイプとして発表したこの新しいタイプのバッテリーは、現在入手不可能であり、今回初めて、Xubakaのユニットにはオーダーメイドのリチウムイオンバージョンが搭載される。
オーダーメイドのバイク「Xubaka」は、現在のリチウムイオン電池の代わりにナトリウムイオン電池を搭載することを目指している。