オルタナティブなユーザーインターフェース(UI)は、時間の経過とともに非常に人気が高まっていますが、残念なことに、デバイス制御の大部分は依然として手と目に依存しています。このアプローチはほとんどの人や状況に適していますが、障害を持つ人や、手や目が塞がっている状況等、一部の人にとっては難しい場合があります。音声認識技術が優れたソリューションであることは事実ですが、不正確さやプライバシーの問題といった欠点と限界を抱えています。シカゴ大学の研究者らは、これに対処するために「LipIO」と呼ばれる、入力と出力の両方を可能にする口唇ベースのオープンソースユーザーインターフェースを開発しました。
LipIOは、導電性トレースや5つの電極を備えた柔軟なプラスチックシートといった既製のパーツをシートの上部と下部の両方に使用して作られています。シートは唇上側の皮膚に取り付けられ、下部の電極は電気刺激を介して出力を提供し、上部の電極は静電容量式タッチセンシングを介して舌または下唇から入力を受け取ります。より技術的詳細を説明すると、マイクロコントローラー「Microchip SAM D21」を搭載したSeeeduino XIAO開発ボードが入力、出力、及び外部デバイスの相互作用を処理し、MPR121静電容量式タッチセンサーとRehaStim電気刺激装置がユーザーにフィードバックを提供しますが、これらの特定の部品は必須ではなく、必要に応じて置き換えることが可能な点について、研究者の皆さんはご留意下さい。
プロトタイプは目立たない作りで、唇から耳の後ろまでコントロールユニットで配線されていることがはっきりとわかりますが、それでも、潜在的なユースケースには可能性が秘められています。LipIOは、例えばナビゲーションアプリと連携して、自転車を運転中の人に道順を案内したり、ミュージシャンが演奏している間にギターを調整したり出来ます。また、仮想現実やゲームで使用したり、病気や障害を抱える人々が従来は不可能だった方法で電子デバイスを操作したりすることが出来るようになるかもしれません。研究者たちは、LipIOをよりコンパクトにし、社会的に受け入れられるデバイスにするために取り組んでいます(当然、公共の場で繰り返し口唇を舐めるのは、実際には社会的に受け入れられないからです)。
全体として、LipIOは興味深く有望なオルタナティブインターフェースを示しており、障害を持つ人や、手と目が塞がっている状況にあるユーザーのいずれにも役立つ可能性があります。
この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
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