◆メリット
・クオリティの高いアルミシャーシ
・とても良いディスプレイオプション
・このカテゴリーでは素晴らしいグラフィックス性能
・比較的大容量なバッテリー

◆デメリット
・もっとコンパクトになってほしい
・外部GPUオプションがない

◆全体評価
評価:9.2/10

Yoga C940はレノボの薄型軽量ノートパソコンのフラッグシップモデルです。あらゆるマルチメディアやクリエイティブな作業負荷に対応するように設計されており、最新のIntel Core i5とCore i7プロセッサを搭載。ニーズに応じてバッテリーの長寿命化や最高級のディスプレイ品質を実現するとしています。

この記事では、パフォーマンス、ディスプレイの品質、およびバッテリの寿命データなど、このノートパソコンの技術的および実用的な側面を見ていきます。

主要なスペックとテスト構成

使用したテスト機は、Core i7-1065G7と4K UHDディスプレイを搭載しています。他にもプロセッサにはCore i5-1035G4も選ぶことが可能です。

ストレージユニットは477GBのIntel Optane SSDですが、Intel以外の製品もあるので、ストレージのR/W速度に言及する際には、これを念頭に置いておきましょう。

◆テスト構成
・Lenovo Yoga C940, model 14IIL
・Core i7-1065G7
・16GB RAM
・Intel Optane 477GBSSD (475GB利用可能)

このノートパソコンの構成オプションを見ると、Core i5は価格割にはわずかに優れたパフォーマンスを提供し、Core i7(+150ドル)は最大のパフォーマンスを発揮できます。両方とも4コア8スレッドの構成ですが、最大周波数とキャッシュサイズが異なります。

◆Lenovo Yoga C940の選択可能なオプション
・ディスプレイ 13.9インチ IPS液晶、FHD/1080pもしくはUHD/4K
・重量 1350g
・バッテリー 60Wh、急速充電
・プロセッサー Intel Core i5-1035G4もしくはIntel Core i7-1065G7
・RAM 8GB/12GB/16GB
・ストレージ 256GB/512GB/1TB/2TB
・価格 1099.99ドルから(i5モデル)もしくは1199.99から(i7モデル)

メモリはハンダ付けされており、購入後にユーザーが交換することはできません。
ほとんどのユーザーには、150ドルかかるプロセッサのアップグレードよりも70ドルでできる16GB RAMのアップグレードを選ぶことをおすすめします。もちろん、両方とも予算に余裕がある場合は、選んでかまいませんが。

SSDのストレージオプションは、256GB / 512GB(+25ドル) / 1TB(+125ドル) / 2TB(+325ドル)という容量の異なる、幅広いユースケースをカバーしています。特に512GBは、メモリカードとほぼ同じ価格で256GBのSSDを追加で手に入れることができるので、ほとんどの人にとって魅力的ではないでしょうか。

インダストリアルデザイン

Yoga C940のインダストリアルデザインは、昨年のYoga C930のデザインを進化させたもので、非常に剛性の高いアルミ筐体を採用しており、このカテゴリーでは安定的な頑丈さとプレミアム感を実現しています。

Yoga C940はYoga C930と比較すると、幅(320mm vs. 322mm)と奥行き(215.6mm vs. 227mm)が少し短くなっていますが、厚さは15.7mm vs. 15.3mmと少し厚くなっています。両方の機種を重ねてみると、その差は歴然としています。

“信じられないほど頑丈+高級感”

サイズが改善されたため、Yoga C940は、体積当たりのバッテリーの数値が若干高くなっており、内部のデザイン評価システムでより多くのポイントを獲得しています。重量も10g軽くなりましたが、それが手にとって分かるかどうかは疑問です。

キーボードとトラックパッド

Yoga C940のキーボードは、やや「カチッ」とした感触の大きなキーが特徴です。メカニカルキーボードとは違いますが、動作はサクサクしていてとても気持ちが良いです。また、滑らかで静かなThinkPadシリーズとはかなり違います。

ThinkPadのキーボードのようにキーが曲がっているわけではありませんが、表面には油の付着を避けるコーティングも施されているようで、タイピング中は常にサラサラとした感触があります。

このキーボードはバックライトがモノクロライトになっていて、薄暗い照明の下ではとても重宝します。バックライトの明るさは2段階です。

トラックパッドはかなり大きい(約11.3平方インチ)ですが、CES 2020で発表された新型Dell XPS 13を含め、市場ではさらに大きなトラックパッドを見かけるようになりました。

大きなトラックパッドの方が良いかどうかは、ユーザー次第です。他のタッチインターフェースと同じように、ジェスチャーとの関係でトラックパッドのサイズは重要です。

トラックパッドをこれまで以上に大きくすることにはあまりメリットがあるとは考えていませんが、逆に言えばコスト面以外でデメリットもないでしょう。

セキュリティ性確保のために、キーボードの右下に指紋リーダーがあります。指紋リーダーやIRカメラなどの新しい生体認証機能により、非常に長くて安全なパスワードを定期的に入力する手間を省いて使用できます。

アクティブペン

Yoga C940にはLenovo Active Penが付属しており、ノートパソコンの背面右にすっきりと収納されています。

ノートパソコンの中に保管できる(充電もできる!)ということは、紛失する可能性が低いということであり、同時に、常に充電された状態で利用できるということです。

内部にペンを収納できる唯一の欠点は、外付けのペンに比べてグリップが細く、使い心地が悪いことですが、スケッチなどに多用しない限り、メモ書きなどには十分な快適さです。

デザイナーはもっと快適なペンを買いたいと思うでしょうし、Lenovoにもたくさんラインアップしています。互換性があるかどうかチェックしてみましょう。

ポート

すべてのポートはノートパソコンの左側に配置されており、必要性の高いポートは一通り備えています。

・2×USB Type-C、Thunderbolt 3(一つはPower Delivery)
・1×USB Type-A、3.1 Gen2
・1×3.5mm audio

「少なすぎる」と文句を言う人もいるかもしれませんが、薄型軽量のカテゴリーでは、USB-Cポートが2、3個しかないノートパソコンは珍しくなく、それに比べれば余裕があると考えています。

1つのフルサイズUSB-Aポートがあるだけで、USBキー、キーボード/マウスといった従来のPC周辺機器を接続できるのはメリットといえるでしょう。USB Type-C to Aの変換アダプターは紛失してしまいがちです。

Thunderbolt 3(TB3)は、4Kディスプレイ、高速外部ストレージ、マルチポートドッキング、外部GPU、そして電源を1本のケーブルで接続できます。また、TB3ポートが2つあるので、USB-Cのパフォーマンスと接続オプションに関しても十分にカバーされています。

オーディオ

Yoga C940のサウンドシステムは模範的です。スクリーンのすぐ下にある強力なDolby Atmosサウンドバー(長さ240mm)を中心に構築されています。

内部には、異なる音の周波数をカバーするいくつかのスピーカーがあり、エネルギーの損失を最小限に抑えながら、ユーザーに向かって音を発するように配置されています。

他のノートパソコンは、音を下に出してテーブルの反射に頼っている場合がありますし、あるいは音が横に出て行ったり、直接上に出たりする場合があります。それはおそらく最もよくあるノートパソコンのスピーカーです。

“模範的なサウンドシステム、おそらく最も象徴的なラップトップスピーカーのデザイン”

画面を360度回転させて様々な位置に配置しても、スピーカーの出力は妨げられず、迫力のあるサウンドを出力できます。

ディスプレイ:4Kと1080pを選択可

Yoga C940のディスプレイのボトムベゼルの高さは34mmから26mmへと大幅に短くなりました。視覚的にも大きな違いがあり、「オールスクリーン」デザインに近づくにつれ、よりモダンな印象となっています。

トップとサイドのベゼルも少し細くなっていますが、1mm以下の差なので、視覚的にはあまり目立ちません。しかし、バックライトがどこから来るかによっては、有機ELなどの技術を使わずに、これらをさらに細くするのは技術的に難しいでしょう。

“クリエイティブな仕事に最適”

本機は4K UHD(3840×2160)ディスプレイを採用しており、輝度と全体的な画質が向上しています。

輝度を550NITs(中央)で測定したところ、公式スペックよりも10%高く、またsRGB色域も100%なので、クリエイティブな仕事をするのに適しているといえます。さらに大きな色域をカバーするディスプレイが必要な場合は、有機ELディスプレイを搭載したノートパソコン(レノボにもいくつかの製品があります)をチェックしてください。

ドルビービジョンに対応したビデオストリーミングサービスを利用すれば、極端なコントラストの状況でも高品質にHDRコンテンツを再生できます。

Webカメラ

720pのWebカメラは、モダンでエッジの効いた外観かつ、周りから少し飛び出す “逆ノッチ “デザインで目立っています。性能は平均的ですが、録画を物理的に防ぐシャッターがあります。

シャッターは非常に目立たなくて見えにくいのですが、カメラレンズの真上にあり、ON/OFFの切り替えは非常に簡単です。OFFの時はカメラレンズが赤い点で覆われていて、シャッターが閉まっていることを示しています。

Yoga C940のパフォーマンス

インテルの第10世代Coreプロセッサを搭載しているため、CPUやグラフィックスの性能が向上していることは予想できますが、それがどれだけ優れているかを実際に見てみましょう。

Yoga C930と性能を比較してみると、オフィスワークやマルチメディア利用などの日常的なタスクでの差はあまりありません。

しかし、3DMark FireStrikeテストでは6.25倍のスコアを叩き出しており、グラフィック性能はYoga C930よりも信じられないほど高いです。

“3DMARK FIRESTRIKE TESTで6.25倍の高得点”

Yoga C940のCore i7-1065G7の性能をいくつかの競合他社のCore i7-10710Uなどと比較すると、10710UはCPU性能でわずかに優れていますが、1065G7(’G’はグラフィックスの意味)は、グラフィックスに最適化されています。

私たちのテストでは、10710Uはマルチスレッドのスコアも高く、CPUビデオエンコードなどの重いCPUコンピューティングで性能を発揮します。1065G7はシングルスレッド性能が高く、すべてのアプリでその恩恵を受けられます。

不思議なことに、C940はPCMark 8 Workテストでは低いスコアとなりましたが、これは主に512GB Intel Optane SSDの書き込み速度が、他のベンチマークの256GB Samsung Mzvlv256hchp PCI-E NVMeよりも低かったためです。

レノボはYoga C940をマルチメディアコンピュータとして設計しているので、グラフィック、クリエイティブな作業、エンターテイメントでの性能を重視するのは理にかなっています。

Yoga C940バッテリー駆動時間

Yoga C940は60Whという優れたバッテリー容量を持っており、よく比較される競合他社よりも大容量です。

アプリの設定やバックグラウンドタスク、明るさの状態、ネットワークの状態は常に異なるため、バッテリーテストは実際の使用状況を正確に表すものではありません。バッテリー寿命で最も重要なのは、バッテリー容量(Wh)とシステム全体の電力ベースライン(CPUの熱設計もしくはTDP)を見ることです。

ディスプレイの選択によってバッテリー駆動時間が決まります。UHDディスプレイで4倍のピクセル量を描画するには多くの電力を必要としますが、1080pディスプレイのオプションであれば、バッテリー駆動時間はもっと長くなります。

私たちのテストでは、オフィスでのアプリケーションなどのかなり重いタスクを4時間にわたって常時使用できました。これは4Kディスプレイ(110 NITsの明るさ)で非常に良い状態といえます。

このことから、1080pディスプレイを選んだ場合は5時間30分の作業が可能であると考えられますが、そのシナリオをテストすることはできませんでした。

バッテリー充電時間

私たちのテストでは、バッテリーは約42Wh/hで高速充電できました。つまり1時間で70%充電できたということです。

まとめ

Lenovo Yoga C940は、ディスプレイの大きさ、重さ、パワーのバランスに優れた優等生的なノートパソコンを求めるユーザーにとって、理想的に設計されています。

レノボが筐体のフットプリントを小さくしたことには好感が持てますし、将来的にはさらに多くのことができるようになることを期待しています(ちょっと欲張りですね)。

超薄型軽量カテゴリーのマルチメディア向けパワーマシンをお探しの方には、このパソコンを強くお勧めします。

クリエイティブユーザーにとっては、グラフィックス性能と最大2TBのSSDストレージオプションを考えると、エキサイティングな選択肢になるかもしれません。しかし、アプリケーションがGPUを多用する場合は、ディスクリートGPUを選択した方がやや高速化できます。

頻繁に聞かれる比較

Yoga C940 vs. XPS 13:同程度の価格と性能で、違いはほぼデザインのみ。C940の方が大きく、より快適に作業できます。XPS 13はかなりコンパクト(〜30%)ではありますが、重さに関してはそこまでではなく(約10%軽量)、またUSB-Cポートが少ないです。

Yoga C940 vs. Yoga C930:あなたの仕事が主にオフィスでの生産性を重視するのであれば、リーズナブルなモデルとしてC930を購入するものありでしょう。しかし、グラフィック性能が必須であれば、Yoga C940の方がおすすめです。

Yoga C940 vs. Spectre x360:Spectre x360はi7-1065G7プロセッサを搭載しているので、システム性能は遜色ありません。どちらのコンピュータも非常に競争力があるので、デザインと個人的な好みによると思います。13.9インチと13.3インチのどちらのディスプレイがいいかという問題です。実際には、X360とXPS13の方が似ているかもしれません。

Yoga C940 vs. MacBook Pro 13:WindowsとMac OSの両方を使いたいのであれば、MacBook Pro 13も選択肢の一つになるかもしれません。現時点では、MacBook Pro 13は古いプロセッサ設計を採用しているため、C940の方がコンピューティングとグラフィックスにおいて明確な優位性があります。好みの問題もありますし、PCにはないMac用のソフトを使う必要があるかどうかでしょう。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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