皆さんこんにちは。河上 純二 a.k.a JJです。


世界を変えるスタートアップ企業にフォーカスした最新レポートをお届けします。第14回目は、サイト内のコンテンツ検索で革命を起こす「株式会社karakuri」代表取締役である池田 和生(いけだ かずお)さんにお話を伺います。


ユーザーをアクティブにし、インサイトデータがとれるISE

私達が提供しているISE(Insight Search Engine)というのはオンラインパブリッシャー向けのサイト内コンテンツ検索に特化したサーチエンジンです。
記事コンテンツのページ下部に、サイト内検索のサーチエンジン(検索窓)を実装して、タグに紐付けたサイト内コンテンツ記事を表示させています。
タグはAIが自然言語処理をしていて、自動的に生成しています。これの何がいいのか?というと、サイト直帰率や滞在時間を飛躍的に改善します。


どのメディアもサイト内検索は右上についていますが、ほとんど使われてないのではないでしょうか?これは非常にもったいない事です。
僕らは、サイト内検索されるのは絶対に記事下部だろうと推測しました、なぜならそこが離脱するポイントだからです。
その仮説検証のため、ページ下部に検索窓を置いてみたところ、ユーザーが検索行動をちゃんとしてくれて、なおかつアクティブ率が飛躍的に上がり、弊社のサイト内検索を利用したユーザーの直帰率の改善やサイト滞在時間が通常に比べ6倍から10倍になりました。


*Ubergizmo Japanにも実装。下部のハイライト部分がサイト内検索です。

さらにISEを導入しての次の打ち手は、インサイトデータの活用です。
これは実際にあった事ですが、ISEの検索窓を「ママ向けメディア」に設置し、検索窓に入力したインサイトデータから、「出会い」というキーワードをかなりの数のユーザーが入力して、コンテンツを検索している事実がわかりました。

そこからさらに深く調べていくと、その記事のコンテンツ購読者の属性として、シングルマザーが多いという事がわかりました。
そのママ向けメディアでは今まで、「乳製品」や「子供用品」といったコンテンツを中心につくって配信していたのですが、そういった「出会い」について興味を持っているユーザーに対して、コンテンツを配信することにシフトしていきました。

メディア側がユーザーの嗜好性や属性を知り、より解像度の高いコミュニケーションをとるために、ISEを導入することで色々できることが増えると思います。ISEはそういったデータ分析ができるデータマーケティングプラットフォームです。


世界全てがマーケット。WebSummit2019に出展

技術面ではマシンラーニングと自然言語処理にこだわっています。ユーザーは記事を読んだ後に離脱するので、どういうコンテンツを並べておくのがベターか?表示するタグは何がいいのか?をとてもこだわっています。

こういった自然言語処理は、日本語よりも英語のほうがハマるということは当初からわかっていたので、最初から海外(世界)で展開することを意識してサービスを作ってきました。それが2017年の事です。


2018年からサービスを日本で展開し始めて、どうやって世界に行こうかな?という事を考えて、世界的なイベント「Web Summit」に出展を決意しました。

Web Summitは年1回ポルトガルのリスボンで開催され、AIから環境、ファッションまで、あらゆるテクノロジーをカバーする、世界でも有数のテクノロジーカンファレンスです。イベントには3日間で6万人を超える来場者が集まり、1,300ものスタートアップが3日間ローテーションで出展する、凄まじい規模のイベントです。

*写真はWeb Summit2019

Web Summitに出展スタートアップの分類は3種類で、「アルファ」、「ベータ」、「グロース」という区分です。
「アルファ」は1億円以下の投資を受けている会社、それ以上は「ベータ」、IPOやEXIT直前を「グロース」とカテゴリーしています。僕らはもちろん「アルファ」として出展しました。現実、「アルファ」に属するシードやアーリーステージのスタートアップは、投資先としてはVCからは見られていません。
「グロース」、「ベータ」を投資対象として来ている投資家がほとんどでした。ちなみに今年の投資のトレンドとしては「フィンテック」「ヘルステック」でした。


リザルト(結果)がないと話にならない世界

出展すると決まってから準備が結構大変でした。ピッチデック(VCに出資してもらうためのプレゼン資料)を用意し、ピッチコンテストの動画を作り、英語でのプレゼントレーニングをし、投資家と話すためのQ&Aの用意をしました。

現地では、もうとことんやるしかないと思い、500人くらいの様々な投資家にガンガンメッセージを送りまくりアプローチをしました。
結果、僕らはインベスターとのオファーマッチングを2件こぎつけてプレゼンをすることができました。国としてはオーストリアとトルコの投資家、ポーランドとイギリスのアクセラレーターです。


その結果ですが、オンラインパブリッシャーやマーケティングに精通している所からはかなりいい評価を頂きました。同時にインベスター全員から言われたことは「日本でのリザルトは意味がない、ヨーロッパやアメリカでの実績、リザルト(結果)を見せろ。」という事です。当たり前ですが、どんなサービスでもテストマーケは必須です。


2020年も世界に向けて挑戦します。

海外のカンファレンスにチャレンジしてわかった大切な事、それは折れる心を気にしていると駄目ということでした。日本みたいに誰かがコーディネートしてはくれません、自分たちが欲しい物があるなら。自分たちで取りに行かないといけません。
その結果、普段会えない人と沢山会うことが出来て、「ぼくらも全然通用する!」という自信がついたことです。

来年はWeb Summit2020では「ベータ」出展にチャレンジし、そしてCollision2020にも出展予定です。




「欲しい物があるなら自分たちで取りに行かないと、世界では戦えない。」
株式会社karakuri
代表取締役 池田 和生(いけだ かずお)
株式会社karakuri
コーポレートサイトURL:https://kr-inc.jp/ja/
ISE(Insight Search Engine)サービスサイトURL:https://www.insight-search-engine.com/?lang=ja