すっかり秋。布団から出るのも億劫になる季節が到来しました。これからさらに寒くなっていくと、人肌、ぬくもりが恋しくなりますよね。「ぬくもりを与えてくれる相手がいない!」という方も、昔の恋人に連絡したくなるのをぐっとこらえて(笑)、未来に向かいましょう! え? 向かわない? 未来に新しい出会いなんてない? じゃあ部屋にこもってNetflixでも見ま…。え? やっぱり外に行く? 出会いあるかもしれないって? …なんて優柔不断なんですか!
という一人子芝居はさておきまして、今回はそんな優柔不断な方にぴったりのテーマを用意しました。それは『一体何が撮りたいねん?』です。出だしから口が悪くなりましたが、スマホ・デジカメ・一眼レフ、機材に関係なく、大事な大事なポイントといえます。百聞は一見にしかず、例題を見てみましょう。
撮りたいものをはっきりさせる!
ここは中華街! 素敵ですね! この神社はパワースポットと言われて女性に人気です。しかし、写真をよく見てみると…。人物は端っこだし、真ん中には柱やビルがどーんとあって、そちらにばかり目が行きます。一体これ、何を撮りたかったの? どーいうつもりで撮ったわけ???
またもや口が悪くなり失礼しました。反論の機会を与えます。
「だってテレジア先生、その場所らしい景色を背景に入れろって言ってたから」
あのさぁ。だからって、これは背景写しすぎです! あなたが撮りたかったのは中華街とビルというテーマですか? かわゆいあの子と! 中華街! ではないのですか?!?!
はぁはぁ。すみません、取り乱しました。
はい、これなら近代的な形のビルがうまく中国っぽい細工の門に隠れて良いですね。『人物と神社』という2つにテーマが絞り込まれました。一番に目が行くのは画面の中央ですから、そこに撮りたいテーマを持ってくる方がわかりやすくてシンプルですね。
場所を変えておさらい。この2枚は柱を挟んで立つ場所を変えただけです。「作例:何が撮りたいのかよくわからない構図②」は柱が写り込んだり、人物後ろ、空に向かって抜けているところにビルがあるため、ちょっとノイジーな印象です。「作例:人物と背景が主体の構図②」は、人物の背景が神社の豪華な門…ということで、画面の中で主張するモチーフが『人物と神社』に絞られており、スッキリ見やすくなりました。
この『撮りたいものを自分の中で明確にする』という視点を持って、他の例も見ていきましょう。
テーマを持てばクオリティを追求しやすくなる
流行りのタピオカ! いいですね! 私は胸の上には乗らないけども(知らない人はタピオカチャレンジで検索)。
この写真は、本連載で一番最初に取り上げた「レンズの歪み」をお忘れのようです。顔面が右上へとひっぱられて歪んでいます。一方、中央はがらんとした道路が写っていて、空間が空いているような印象に。「褒めるところが何もない写真」とは、まさにこの写真のことでしょう(酷い)。
そう、バストアップで盛れるのは、顔面を中央に上から撮るこのアングルです! しかし、上からなのでせっかくのタピオカが目立ちません。モデルを使った広告撮影や、何かをPRするときには、ロゴや中身が見えるように商品を持つというのが鉄則です。
というわけで、タピオカが写るように角度を変えて持ち直しました。かわゆいあの子が『インスタで宣伝してって頼まれちゃったんだ』なんていう場合は、「どこの」「何を」メインにしてるかが重要になると心してください。
この場合はタピオカでしたが、洋服でもバッグでもそれは同じ。PRしたいものが明確に伝わるよう、ポーズ指定するのも大事な撮影テクニックです。
ちなみに、物が主体のときは背景として人物を入れることで、その場の雰囲気が伝わりやすくなるとも思います。
続いてこちらは“いい感じ”のカフェで撮った作例です。
なんだか真ん中の赤い壁が主張して気になります。角度を変えて、人物が真ん中に来るよう撮影すると…。
こうなりました。しかし、こちらも後ろの植物らしきものが頭の上から生えているように見えて、どうも落ち着きません。小さいサイズで見ると、さらに一体化して「こういう髪型の人」に見えてしまいそうです。
ということで、最初の角度に戻したうえで、中央に人物が来るよう、撮影し直しました。こうした難しい背景の場合、自然と目を惹く中央部分に撮りたいものを写すのが、見る人にもわかりやすくて良いでしょう。もちろん、「空いたスペースに文字を入れたい」などという特別な希望がない限り、ですが。
「作例:人物と場所が主体の構図②」は、自然な雰囲気で『カフェにいるあの子』になっています。ここでさらに、テーマを絞ってみたのが「作例:人物と飲み物が主体の構図」です。『カフェでホットドリンクを飲むあの子』というテーマにしてみたわけですが、同じ場所で撮影しても、ポーズによって印象が違いますよね。
夢中で撮影しているうちに、「何を撮っているのか、わからなくなる…」という現象をよく聞きます。これは、『何を主体で撮るか』が撮影者の中ではっきりしていないために起こる現象です。初めに頭の中でテーマを整理してから撮影に臨む。これがとにかく大事なのです。
自分が一体何を表現したいのか
「わーー! これいい感じ! インスタにアップしよ!」とウキウキなかわゆいあの子。早速、アプリ「BeautyPlus」で顔面を加工・トリミングし、さらには好みの色に変えた上で、SNSにアップ。
今日も撮影、本当にお疲れ様でした…というわけで、まとめです。
何をメインで撮りたいかを自分の中ではっきりせること。背景まで気を使い、撮りたいものを画面中央にすること。撮りたいテーマに合わせたポーズを指示すること。これを念仏のように唱えて、頭と体と心でしっかり理解しましょう。
水着撮影の時など、「顔が撮りたいの? おっぱいが撮りたいの? お尻? 足先まで画面に入れるなら中途半端に切らないで爪先までちゃんと入れてよ! もう! はっきりして!」とキレることで定評のある私ですが(いつもすいません)、撮影するときに何を撮りたいかと考えることは、自分が一体何を表現したいのか、自分で自分を俯瞰して見るような作業です。この癖をつけることは、自分のクリエイティビティを常に顧みるような習慣に繋がるので、本当におすすめです。
ちなみに。よくありがちなツーショットでも、中央が空いてるよりは人物がしっかりくっついてる方が良いですよ。
体の距離は心の距離、仲良し同士はくっついてツーショしましょ?
テレジア先生への公開質問
一度体調を崩してから、朝が滅茶苦茶弱くなり、仕事やお仕事にも差し障る様になりました。どうすれば早く起きられる様になりますか? (40代 男性)
「重い相談はやめて、と前回お願いしたにも関わらず、今回も重そうな相談。『体調を崩してから』というのが非常に心配です。「風邪ひいちゃった」から「入院しました」まで考えられるので、どのレベルなのか分かりかねますし、『まずは体調を整えましょう』といったらこの相談はあっさり終わってしまうので、そこには触れずにいきたいと思います。
早起き。これは私も苦手です。本当につらいですよね。でも、早朝の空気を吸いながら朝食を済ませ、出かける準備を終えてもなお「まだ朝の8時なんだー」と早起きならではの爽やかさを感じるといった経験、誰しもありますよね。ただ…、それでもなお…、寝ていたい(笑)。私も、早起きしなくてはならないときには、この世の全てを呪いながら起きていました。
話を元に戻しましょう。単純に、相談者さんは睡眠時間、足りていますか? その日だけでなく、年間を通して足りているでしょうか? 朝早く起きたいならさっさと布団に入りましょう。早く眠りにつけば、嫌でも早めに起きます。そう、早く寝る。これが答えです。「分かっていても寝られないんだよなぁ」という事かもしれませんが、あくまで習慣づけの問題です。早く寝る癖をつけるしかありません。
最初は、睡眠が足りていないことからくる疲れやそれまでの習慣から、早く寝ることも早く起きることも難しいでしょう。それでも、早く布団に入り、眠くても早く起きることを続けてみてください。だんだん癖がついてくると、目覚ましをかけずとも早朝に目覚められるようになるはずです。
かくいう私も、今ではすっかり早寝早起きの習慣が付きました。夜の静かな時間も朝の静かな時間も、違いは鳥のさえずりくらい…。朝の時間は爽やかで素敵ですよ。
え? 推しのライブが夜にある? 帰る頃には日付が変わる? なるほど。それはそれで仕方ないですね。
翌日日中の寝不足は生理現象。そこは諦めつつ、その日の夜は、せめて速やかに寝てください。「その日の疲れその日のうちに」とはよく言ったもの。疲れ…もとい睡眠不足は、できるだけ続けずに素早く解消した方が良いですよ。
ですので、私の答えは「睡眠不足が“続く”ようなスケジュールをそもそも立てないこと」となります。
長く自分自身と付き合っているうちに、「何日、睡眠不足が続くと疲れる」などと、体調を崩すきっかけがどこからくるのか、分かってくるようになりますよね。「そんなの分からないよ」という方は、意識して自分の生活習慣を記録してみてください。自分で自分を知ることは、とても大切ですし、あなたが今できる最高の健康管理だと思います。そして、健康なまま、仕事や遊びを精力的にこなしたいなら、まずは予定の立て方を見直しましょう。
仕事はともかく、あなたの“推し”活動や付き合いのある友人知人との関係は、体調を崩してまで保つべきものなのでしょうか? 体調が悪くなるということは、「その活動や交友関係は今すぐ止めた方がいい」という、体からのサインだと思います。
それでも「俺との付き合いを優先してほしい」などと言う輩がいたら、それはもうブラック友人・知人・恋人・推しです。不思議なもので、そうした人たちとの交友関係を断ち切ると、自然に「双方を思いやられる」ような新しい相手との交流が始まったり、その時間が増えたりするもの。これは本当にそう思います。
最後に。どうしても起きづらい朝、それでもなんとか目覚めたいというときは、眠い中でも手と足を動かしてみましょう。手のひらをグーパーでもいいですし、膝を立てるでもいいです。そうして、芋虫みたいにもぞもぞくねくねしてる間に、体も脳も目覚めてきます。ベッドから抜け出たら熱めのシャワーを浴び、さらに目薬をさせば、もうばっちりパッチリ目覚められるでしょう。
また、起き抜けにコップ一杯の水を飲むのもオススメです。できれば、そのまま朝ごはんを食べてみてください。野菜ジュースを飲む程度でも良いです。飲み食いすると、自然と頭と体が目覚めます。「深夜の食事は胃が疲れるから、朝は味があるものを食べるのが嫌」と言う人もいますが、それはもうその時点でおかしな話。食事の時間はとっても大切です。深夜に食事をとるという生活自体を見直してください。
これだけやってみてスッキリしない? 日々のスケジュールや過ごし方を再度確認して、己を見つめ直してみてください。きっとどこかに、その原因があるはず。あなたの健康はあなたにしか守れません。グッドラック!
※老若男女問わず、撮影に関する人間関係のお悩みを随時募集! 写真が好き、撮影会が好きな皆さん。ここはあなたの心の保健室。個人が特定できないように配慮いたしますので、私のTwitterアカウント(https://twitter.com/red_theresia)にDMで気軽に質問ください。