5月30日に東京・虎ノ門ヒルズフォーラムで開催されたデベロッパー向けイベント「Elastic{ON} Tokyo」。本社から来日していた、CRO (チーフ・レベニュー・オフィサー)アーロン・カッツ氏、Vice President, Head of Worldwide Marketing ジェフ・ヨシムラ氏、そして日本カントリーマネージャーに就任した川崎 友和氏にUbergizmo Japanが独占インタビューを実施しました。




CRO (チーフ・レベニュー・オフィサー)アーロン・カッツ氏


Vice President, Head of Worldwide Marketing ジェフ・ヨシムラ氏


日本カントリーマネージャー 川崎 友和氏


Elasticとは?

全文検索エンジンを提供する企業ElasticはElastic Stack(Elasticsearch、Kibana、Beats、 Logstashの製品群)の開発元として2012年に設立され、2018年10月にニューヨークで上場しました。
検索、ログ、セキュリティ、分析などのユースケースで大規模データをリアルタイムに処理するサービスを、オンプレミスとSaaSで提供しています。
Elastic StackはCisco、eBay、Goldman Sachs、 Microsoft、The Mayo Clinic、NASA、The New York Times、Wikipedia、Verizonを含む世界中の企 業や組織で採用され、ミッションクリティカルなシステムを支えています。
日本においてはソフトバンク株式会社、株式会社リクルートテクノロジーズ、LINE株式会社、富士通株式会社など多くの日本企業に導入されています。
Elasticはユーザーコミュニティーの育成と交流を重視しており、定期的にユーザー向けの勉強会を開催しています。現在、日本のElastic コミュニティーは登録人数が1,300人を越え、世界規模ではコミュニティは10万人規模に成長しています。


IPOはおめでとうございます。IPO後に変化した大きなことはありますか?

CRO (チーフ・レベニュー・オフィサー)アーロン・カッツ氏
上場したことにより資金調達ができるようになり、設備投資や新しいソリューションに関する研究開発に着手できるようになりました。同時に、新たな市場進出、既存市場における投資の拡大が可能になりました。
また、もう1つ大きな出来事として、もともと私たちはデベロッパー(開発者)に対しての人気はあったのですが、世界の名だたる大企業にいらっしゃる役員に対する訴求が出来る機会を上場することで得ることが出来ました。
私たちは歴史的に、買収で大きくなってきた企業です。オープンソースのLogstash、Kibana、Beatsなどは、私たちが買収した製品です。今後は、上場で得た資金を活用して、大型案件の買収も検討出来るようになりました。

Vice President, Head of Worldwide Marketing ジェフ・ヨシムラ氏
1つ目はとても大事な事ですが、私たちは「検索(サーチ)」で上場できたという事実です。以前は「検索」といえばGoogleだけでしたが、もはや違います。
今の時代はWEB検索だけが「サーチ」だけではなく、例えばUberを呼ぶ時のマッチング、楽天のようなECサイトでの商品検索、インスタ内での検索、組織の中でだけ使う社員検索などなど、すべてが「検索=サーチ」を使っています。
とはいえ、上場しても一番言いたいのは、会社としては何も変わってないです。そもそも私たちはいずれ上場するということを見て今までやってきたからです。


世界の多くのエンジニアに愛され、コミュニティも成長しています。コミュニティ拡大のポイントは何だと思いますか?

CRO (チーフ・レベニュー・オフィサー)アーロン・カッツ氏
全世界では3億DLの実績です。私たちの営業部隊と接触することなしに、エンジニアたちが私たちの製品を選んで使い始めてくれています。ソフトウェアの配布という観点からするとかなり効率がいい広め方ですよね。
そういった理由から、その国の市場で広めていきたい場合は、デベロッパーリレーションやコミュニテイマネージャーの役割の人を先にまず見つけて採用します。日本でも4年前に大谷さんという人を採用し、デベロッパーの皆様に広めていきました。
営業部隊の成功を目指す以前に、こういった開発者コミュニテイの成功を目指すのがとても大事だと、私たちは早い段階で気づき理解し、そして実践してきました。
いまでは、ワールドワイドで年に500回もミートアップが行われていて、200回以上ものデベロッパーイベントを開催しています。

また、すぐに使えるプロダクトというのを意識してElasticを作っています。
デベロッパーがソフトをDLしたら、データ投入しダッシュボードに表示されるまでを、数分で実現できるようなものを目指しました。ここが他のオープンソースと大きく違う点であり、特徴です。
他社のサービスなどでよくあるパターンですが、使えるものになるまで別途コンサルテイングやサポートサービスが追加で必要になってしまうという事がありますよね。
我々のコミュニティを通じて、Elasticと平行して動くテクノロジーが常に開発されていいます。先般述べた、Kibana,Beast、Logstashなどがそれにあたり、それぞれ独立的にメンバーが進めていたプロジェクトでした。
特に我々の関心を引く優秀なプロダクト・プロジェクトについては、メンバーを取り込み、採用し、買収して、さらなる価値をお客様に提供し続けています。


日本市場で展開して数年経ちますが手応えはいかがしょうか?最後に日本での成長戦略などお聞かせください。

CRO (チーフ・レベニュー・オフィサー)アーロン・カッツ氏
私たちは5年も前から何度も来日し、ビジネスを推し進めてきました。私たちにとって日本というのはとても重要な市場と捉えています。100社以上のお客様がいますので、営業部隊だけではなく、エンジニア、テクニカルサポート、コンサル、マーケティング、コミュニティーリレーションまですべての機能を日本市場向けに用意しております。

数年前まではスタートアップに採用していただく機会が多かったのですが、現在では、大手の大企業が会社全体の競争力をあげたいという観点から、Elastic社の製品の採用が増えているのが現実です。

日本カントリーマネージャー 川崎 友和氏
日本企業はデータを貯めるのがうまく、長年に渡りデータをもってきています。それを上手く活用できているのか?というのはグローバル企業に比べて長けていないと考えています。
理由としては様々ありますが、組織がそういった問題に対応できるようになっていなかったり、データがデジタル化されていなかったりという理由があります。
ただここ最近は、経営側もデータを見て活用していかないといけないという話が増えて来ています。そうなると、非常に大きな市場が日本にはまだあり、我々はチャンスと見ています。
また、営業的側面として私たちは直販部隊の他にも、優秀なパートナーも多く有しています。そういった彼らとともに活動し、パートナーエコシステムの拡大といった事も使命の1つと考えております。