米国最高裁判所は2026年2月20日、ドナルド・トランプ前大統領が導入した一連の大規模関税措置について、6対3の判決で違法と判断した。問題となったのは、国家非常事態を理由に大統領へ広範な経済制裁権限を認める「国際緊急経済権限法(IEEPA)」の適用範囲である。最高裁は、同法を根拠に議会の承認なく広範な輸入関税を課すことは権限の逸脱にあたると結論づけた。ロバーツ首席判事は、行政府が無制限かつ恒久的に輸入税を課すことはできないと明確に示した。

今回無効とされた主な関税には、中国製品に対する34%の追加関税、ほぼ全ての国を対象とした10%の一律関税、さらにカナダ・メキシコ・中国からの特定製品に対する25%の追加課税などが含まれる。これらはスマートフォン、ノートPC、タブレットなどの電子機器部品や完成品の価格を押し上げ、消費者負担を拡大させてきた。

テクノロジー企業の多くは関税コストを自社で吸収せず、販売価格へ転嫁していたため、今回の判決は小売価格の引き下げや価格安定につながる可能性が高い。特に電子機器市場では、近年続いていた価格上昇圧力が緩和されるとの見方が広がっている。

さらに、この判決により、これまで徴収された関税の返還請求が可能になる見通しだ。数百社規模の企業が財務省に対して払い過ぎた関税の返金を求めるとみられ、総額は数十億ドル規模に上る可能性がある。具体的な返還手続きの詳細は今後詰められるが、企業の財務改善や投資余力の回復にも影響を及ぼすだろう。

今回の判断は、通商政策における大統領権限の限界を明確に示した歴史的な判決であり、同時にテック業界と消費者にとって大きな転換点となる。価格高騰に悩まされてきた電子機器市場は、新たな局面を迎えようとしている。