CEATEC 2025のJVCKENWOODブースでは、同社のプロフェッショナル無線機事業における現在と未来を象徴する2つのプロダクトが展示された。1つは、Science ArtsのIP通信プラットフォーム「Buddycom」と連携するIP無線機のコンセプトモデル、もう1つは、すでに公共安全分野で実運用されている実績を持つ「VP8000」だ。

Buddycom対応IP無線機は、まだ市販化されていない参考展示であり、明確な発売時期も示されていない。しかし、その狙いは明確だ。従来の業務用無線が専用周波数やインフラに依存していたのに対し、IPネットワークを活用することで、音声通信をソフトウェア中心に再設計する可能性を示している。実演では、音声の録音、リアルタイム文字起こし、多言語翻訳といった機能が紹介され、単なる通話手段を超えた「業務支援ツール」としての進化が印象づけられた。

Buddycomはすでにスマートフォンアプリとして、物流、航空、イベント運営などの分野で利用されているが、JVCKENWOODはあえて専用ハードウェアの価値を強調する。騒音下や手袋着用時でも確実に操作できる物理ボタン、業務に特化したUI、耐久性と信頼性。これらは、スマートフォンでは代替しきれない要素だ。無線機とスマートフォンを混在させた柔軟な運用も想定されており、既存ワークフローを壊さずに拡張する姿勢がうかがえる。

一方、VP8000は、すでに北米の公共安全機関で採用されているマルチバンド対応のデジタル携帯無線機だ。複数の周波数帯や通信方式に対応し、異なる機関間の相互運用性を重視して設計されている。大きく視認性の高いディスプレイ、直感的な操作系、過酷な環境下でも確実に使える堅牢性が評価され、国際的なデザイン賞も受賞している。

CEATEC 2025における両製品の展示は、JVCKENWOODが「信頼性を重視する公共安全向け無線」と「ソフトウェア主導のIP通信」という2つの軸を併走させながら、プロフェッショナル通信の進化を模索していることを示していた。無線機の未来は、ハードとソフトの融合によって、より柔軟で知的な業務インフラへと変わりつつある。






















