サムスンは10月21日、長らく噂されていた次世代XR(拡張現実)ヘッドセット「Galaxy XR」を正式発表した。GoogleおよびQualcommと共同開発されたこのデバイスは、高精細な映像体験とAIによる知的アシスタンスを融合させ、同社が掲げる“没入型コンピューティング”の新たな時代を象徴する製品となっている。

「Galaxy XR」は、デュアルmicro-OLEDディスプレイを採用し、合計3,552×3,840ピクセルというほぼ8K解像度の鮮明な映像を実現。用途に応じて60Hz/72Hz/90Hzのリフレッシュレートを切り替えることができる。外部には2基の6.5MPカメラを搭載し、周囲の映像をリアルタイムに取り込むパススルー機能を備えるほか、3D写真や動画の撮影にも対応している。

ヘッドセット全体では計8基のカメラを搭載。外部視認用2基に加え、6基のカメラで“インサイドアウト”方式のトラッキングを実現するため、外部センサーが不要。加えて4基の内部カメラがハンドトラッキングとアイトラッキングを行い、加速度センサーやジャイロスコープ、フリッカーディテクターなど複数のセンサーを組み合わせることで、高精度な動作検知を可能にしている。

本体重量は545gで、302gの着脱式バッテリーパックと組み合わせる設計。前後の重量バランスを最適化し、長時間装着でも快適に利用できるという。バッテリー駆動時間は約2時間で、同クラスのMRデバイスとしては標準的だ。

内部にはQualcommの最新チップ「Snapdragon XR2+ Gen 2」を搭載し、16GB RAMと256GBストレージを備える。通信はWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応し、6つのマイクによる高精度な音声入力と空間オーディオ体験も実現している。
最大の特徴は、GoogleのAIアシスタント「Gemini」との深い統合だ。ユーザーは仮想空間内でAIからの文脈理解に基づくサポートを受けたり、音声やジェスチャーで自然に操作できる。これにより、作業支援・コミュニケーション・エンタメなど幅広いシーンで新たな体験を提供する。
「Galaxy XR」は米国と韓国で先行発売され、価格は1,799ドル(約27万円)。今後数カ月以内に世界各国で順次展開が予定されている。サムスンは本機を通じて、スマートフォン以来の新たなコンピューティング時代の幕開けを目指している。






















