Appleは現地時間8月10日、一部のiPhoneユーザー向けに、Supportアプリ内で試験的に動作する**AI型サポートボット「Support Assistant」を導入しました。これはチャット形式で動作し、Apple製品やサービスに関する技術的な質問に回答する実用モデルで、Appleとして初の実用型チャットボットとして注目されています。

Support Assistantの機能と制限
•Supportアプリのナビゲーションバーに表示される「Chat」ボタンから起動可能で、対話形式でトラブルシューティング支援や設定案内を行います。
•利用者の質問が解決されなかった場合は、人間のAppleサポート担当への切り替えも可能です。
•一般的な製品情報以外、たとえば未発表の製品噂などには対応せず、サポートに特化した設計である点が明確です。

背後の戦略:ChatGPT的チャット機能への参入
Appleはこれまで自社のAIチャット展開に慎重な姿勢を示してきましたが、最近になり方針転換が浮上しています。BloombergのMark Gurman氏によれば、「Answers, Knowledge, and Information(AKI)」という新設チームがChatGPTのような対話型検索体験を開発中であるとのこと。チームはロビー・ウォーカー氏が率い、SiriやSafari、SpotlightのAI強化、さらにはスタンドアロン型チャットアプリの立ち上げ検討など、多面的な開発が進行しています。

AppleインテリジェンスとOpenAI連携の現状
•Appleの既存AIプラットフォーム「Apple Intelligence」は、GPT-4oをベースにしたChatGPT機能統合を進めており、iOS 26アップデート以降はOpenAIの最新モデル「GPT-5」への置き換えが予定されています。これにより、支援機能の精度や対話品質の向上が期待されます。

行く手にある課題:プライバシーと開発の遅れ
Apple CEOのティム・クック氏は、プライバシー重視を訴えつつも、AI技術の開発競争で出遅れている現状に対する投資家からの圧力と向き合っています。「信頼が最大の差別化要素」という信念のもと、新AI技術の実装に慎重な姿勢を維持しています。
なお、2025年6月のWWDCでは、「スタンドアロン型チャットボットの導入は未定」という公式回答も出されており、AI機能はあくまで既存エコシステムへの統合を優先するという方針が見えています。

総括:Appleが描く“控えめなチャットAI”の青写真
•Support Assistantは、実用に特化したチャットボットの第一歩であり、今後の拡張や普及への布石となる可能性があります。
•AKIチームの発足とGPT-5統合の動きは、AppleがChatGPT型AI機能を自前で構築し、SiriやSafariなどへ展開する路線を示しています。
•各種報道から、「AppleはAI競争で急進せず、品質・プライバシー・エコシステムとの調和を重視して動いている」姿が浮かびます。
今後の開発スピードと実用性の進展が、AppleがどのようにAIエージェント市場へ挑むかを占うカギとなりそうです。