米国で初めて、風力発電と太陽光発電が発電量で石炭を上回りました。米国エネルギー情報局(EIA)の最新のデータによりますと、2023年の最初の5ヶ月間で風力発電と太陽光発電の合計が252TWh(テラワット/時間)の電力を生産し、石炭の発電量(249TWh)を上回ったとのことです。この重要なマイルストーンは、水力発電を除いて、再生可能エネルギーが石炭に勝るという注目すべき変化を意味しています。
この成果は、廃止された石炭火力発電所が再生可能エネルギーや天然ガス代替エネルギーによって置き換えられ、全国的に石炭使用量が減少し続けていることに起因しています。2007年のピーク時には、石炭が国内エネルギー生産量のほぼ半分を占めていました。
EIAの広報担当者であるChris Higginbotham氏によると、公式推計では1月、2月、3月に風力発電と太陽光発電が石炭を上回り、リアルタイムデータではこの傾向が4月と5月まで続いたことが示唆されているようです。
ここ最近では、ウクライナ紛争とパンデミック後の経済回復によって引き起こされた天然ガス価格の高騰により、石炭需要が一時的に復活していました。しかし、世界銀行の報告によりますと、暖冬や天然ガス生産量の増加、世界経済成長の鈍化等の要因により、天然ガスの価格が下落し、その後石炭需要も減少したとのことです。
持続可能エネルギーへの移行
2022年の初め以来、米国では石炭火力発電所の約14GW(ギガワット)が廃止されており、これは全体の石炭火力発電所の約7%に相当します。排出量を追跡するCarbon Monitorという企業によると、その結果、米国の化石燃料からの炭素排出量は2022年4月以降5.6%減少したことがわかっています。
この変化は、より環境的に持続可能なエネルギー源への移行に向けた国の取り組みと、全国規模での石炭火力発電所の広範囲にわたる閉鎖を浮き彫りにしています。EIAの責任者を務めるJoe DeCarolis氏は、今年の米国内の石炭による発電量は、21世紀の他の年と比べて最も少なくなるだろうと予測しました。同氏はまた、電力会社が再生可能資源への依存を強めているため、石炭火力発電量は今後18ヶ月間減少し続ける、と強調しています。
化石燃料は依然としてその優位性を維持
米国の発電状況では化石燃料が依然として優位を維持しており、天然ガスが主な供給源であり、2022年には電力の約39%を占めています。予測では、今年は38%、2024年には37%に減少すると見られています。
この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
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