Computex 2023で、半導体大手のNVIDIAとMediaTekの2社は、車載インフォテインメントハードウェアで協力する長期的なパートナーシップを発表しました。MediaTekは、SoC(システムオンチップ)もしくはプライマリプロセッサの開発を担当することになります。これには、別のダイ上にあるが、SoCの残りの部分と同じパッケージに含まれているサブユニットと考えることも出来るNVIDIA RTX GPUチップセットも含まれます。
ほとんどの消費者は、ゲーム用のGeForce GPUによってNVIDIAを認知していると思いますが、MediaTekはエレクトロニクスの巨大企業です。誰もが聞いたことのあるような膨大な数のスマートフォン、ChromeOSラップトップやその他のスマートデバイスにMediaTek製のチップセットが搭載されています。
最近、MediaTekは常時インターネット接続車両向けのハードウェアプラットフォーム「Dimensity Audio」を導入しましたが、NVIDIAとの提携によりそのプラットフォームの機能が強化されます。NVIDIAのGPUは、複数のディスプレイ、カメラ、オーディオを使用して乗客と対話する、グラフィックス処理を多用する”マシン対ヒト”のインターフェースである「Dimensity Auto Cockpit」にとって特に有益です。
NVIDIAによると、「NVIDIA DRIVE」も今回のパートナーシップの一部となっているようです。DRIVEはインフォテインメントの枠を超え、自動運転も統括します。ただし、今回の提携における主な焦点は「DRIVE IX」に当てられるようです。これはDRIVE OSの一部であり、車両内全体の感知と操作に重点が置かれています。
NVIDIAは、現在のAI競争において事実上唯一の「ハードウェアベンダー」となっただけでなく、ハードウェアアーキテクチャと緊密に統合された自社の優れたソフトウェアでAI開発ワークフローのかなりの部分を可能にするために熱心に取り組んできたため、このパートナーシップは双方にとって非常に有益となる可能性があります。
NVIDIAは事実上、競合する企業がそれを超えなければ競うことが出来ない、実用的で成長し続ける壁を構築しています。Intelが専用GPUを開発しているのは何故でしょうか?最終目標はゲーム市場ではありませんが、そのステップは”データセンターのGPUを活用したAI”へと繋がる道のりにおける必要な通過点であると考えられています。
確かに、NVIDIA以外の一部のハードウェアは推論ワークロードの電力効率に関して競合する可能性がありますが、そこではNVIDIAのソフトウェアが大きな障壁となる可能性があります。
それと同時に、MediaTekは自動車メーカーに強力なソリューションを提供するためのノウハウ、経験、手段、チャネルを持っています。発表によれば、興味深いのは、こうしたソリューションが”プレミアムな車”と”エントリーレベルの車”のどちらも対象にしているということです。第1弾の製品は2025年後半に展開される予定なので、楽しみに待ちましょう。
この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。
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