皆さんこんにちは。河上 純二 a.k.a JJです。

世界を変えるスタートアップ企業にフォーカスした最新レポートをお届けします。第27回目は、人をワクワクさせるプロダクトを創る「ドーナッツロボティクス株式会社」CEO、小野 泰助(オノ タイスケ)さんにお話を伺います。


スマートフォンと連携するスマートマスク「C-FACE」

C-FACEの主な機能は「声を届ける」「文字にする」「翻訳する」の3つです。


*C-FACE解説動画

感染予防としてマスクをつけた状態で、人と人との距離を保った状態でのコミュニケーションをサポートします。
これはまさに、コロナがなければ開発することはなかったプロダクトといえます。


これを開発するきっかけは3年くらい前ですね。弊社には東京大学に在学中だった天才エンジニアが在籍していまして、その彼が「喋った言葉をスマホ画面に文字として出せるマスク」というものを考えていて、自身でプロトタイプを作っていました。
当時は、マスク需要が小さく、そのアイデアの製品化を考えませんでしたが、その後、コロナがやってきて世界状況が一変しました。
元々私達は受付・翻訳ロボットの開発を進めていたのですが、コロナによって完成したロボットの導入先であるホテルの経営状況が苦しくなり、キャンセルが相次ぎました。

このままでは会社の存続が危ぶまれると思い、今まで進めていたロボットの開発をすべてストップして、開発リソースをこのマスク「C-FACE」につぎ込んで、世の中に発表することを決めました。
ソフトウェアは既にロボットで作っていたものを使い、マイクやスピーカー、基板なども、既存製品から転用することで、1ヶ月ほどで試作機を作り上げ発表にまでこぎつけました。
発表後はたくさんのTVや各メディアで取り上げてもらい、大きな反響がありました。特に驚いたのは、ロイター共同通信本社からメールが届き、このプロダクトのニュースを世界に発信したいと連絡が来たことです。その後、私たちの物語はニューヨーク タイムズ紙にも掲載され、世界36数カ国から問い合わせが来ました。

その当時はマスクに強い需要がありましたが、今、世界を見ると、みんなマスク外したいという方向に向かっています。そこで、私達はコロナ禍に関係なくマスクを着用する医療業界へのtoB向けに、このプロダクトを世界各国で販売していく予定です。


さらに私達は、スマートマスクの技術を応用して今度は、イヤホンの再定義をしようとしています。それはスマートスピーカーを耳にくっつけるような製品で、年内にはどういったプロダクトなのか?発表できると思います。様々な企業との提携を発表する予定ですので楽しみにしていてください。


失敗から学び、大きな成功の糧とす

少し自分の事をお話すると、私は地方にある大企業の創業者一族として生まれました。
しかし、私が14歳の頃に、とても尊敬していた父が亡くなり、その後、たくさんの物事に巻き込まれ、私も家族も没落した一家としてとても辛い体験をしました。そういった10代の経験から、亡き父に報いる為にも将来絶対に成功してやる!という気持ちがありました。

大学卒業後は自宅を改装して飲食店などの小売業を創業しました。それが私自身の経営者人生の始まりでした。そこから今に至るまで失敗と成功の繰り返しでした。どん底の時期には、自分のことを「世界で一番ツイていない男」と思っていました。周りから見ると、生まれが裕福で羨ましがられる存在でしたが、実情はいつでも大変でした。

でも、どこかでご先祖様が成し得たことは私にも出来ると信じていて、「どん底を乗り越えれば、いままでの試練も意味があるものになる。」と思うようになりました。そのうちデザイナーとしてTVに出るようになり、それがロボット事業にもつながりました。これまでのどの事業も独学で身につけたデザイン思考を一貫させてきていて、その点だけは評価が高かったのかもしれません。

ドーナッツ ロボティクスの創業時、私は「失敗から学ばなければ・・」と、自分の何が悪かったのか?を研究して、この方針(社是)を作りました。

1:今は世界にないが10年後に普及することを事業とする。
2:肌の色を選ばず、風習に左右されない製品を。
3:参入障壁の高い業界・製品をえらぶ。
4:社会問題を解決する製品を作る。
5:小さく、早く、異端であること。
6:製品が1台もうれなくてもびくともしない会社を創る
7:ハードは無償、ソフトはサブスク。
8:工場、販売店は自前で持たない。
9:提携先は、業界No.1を。

私が失敗し続けた要因は、そもそも登る山を間違えていた事です。
今は目の前に大きな市場があっても、将来性のない業界に手を出していました。今はメインではなくても10年後メインになることを仕事にすると、後々までずっといい状態が続き、人材も資金も集まってくるのです。
そこで「100年後に隆盛を極めている業界は何か?」と自問自答を繰り返してロボットやAIをやると決めました。現在は東京本社で、時価総額は数十億円と評価いただいていますが、地方のガレージで創業した当時の資本金は100万円でした。


ドーナッツロボティクス=「現実的な妄想集団」

私たちはいつまでも「現実的な妄想集団」で有り続けたいと思っています。
世界を変えるような、皆をびっくりさせるプロダクトを発想する、でも現実的にしっかり使えるものとして発売する。これが「現実的な妄想集団」の仕事です。とても難しいことですが、常にチャレンジしていきます。


「人をワクワクさせるプロダクトを創る、世界を明るくするような製品を創る、そういうもので社会貢献できるようにする、それが私たちドーナッツロボティクスです。」
ドーナッツロボティクス株式会社
代表取締役 小野 泰助(オノ タイスケ)
https://www.donutrobotics.com/



■河上 純二 a.k.a JJプロフィール

ビジネスプロデューサー/パーソナリティ/モデレータ
河上 純二 a.k.a JJ
Facebook:https://www.facebook.com/junjikawakami
WEB:https://jylink.jp/kawakami/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCi4qhCZWA5I0jSxnseIQ_7A/