海外へお出かけの際、現地語を話せない人の強~い味方になるのが、“音声翻訳機”です。外国語を聞き取ると、すぐさま日本語に翻訳。反対に日本語で話しかければ、外国語に訳してくれる。持ち運べる “通訳”として活躍してくれるスグレモノですよね。最近はスマホで使える翻訳アプリも充実してきました。「テクノロジーの進化って素晴らしいなぁ」と思いつつも、気になるのは電池切れです。ネット検索/チャット/通話etc. 旅先でも使用頻度の高いスマホだからこそ、必要以上に電池を消費するのは避けたいところ。そうした事情も考慮すると、専用の翻訳機を使うメリット、結構大きいのではないでしょうか。万が一スマートフォンが電池切れになっても、言葉さえ通じれば何とかなる……はずです。

ということで、早速どの翻訳機がいいのかなと、アレコレ検索してみました。「今年こそは海外旅行デビューしてみたい」と思うUbergizmo Japan編集部員的に、割とほんき本気モードでググったわけですが、その途中であることに気づきました。なるほど、翻訳機能を利用するときには“インターネット接続が必須”な製品って多いのですね。スマホのテザリングやポケットWi-Fiを利用したり、翻訳機にSIMカードを差し込んだりして使用するのか。ふむふむ。

しかしそうなると、インターネット接続が切れたら、全く使えなくなるわけですよね。それだと「スマホの電池切れが心配」というリスクヘッジに全然ならないじゃないですか。なんかちょっとなぁ……。市街地から離れた観光スポットなど、そもそも電波が届かない状況も結構ありそうですし。「オフラインでも使える翻訳機があればいいのに」というのが、ググった結論なわけです。

で、今回もお借りしたのが、こちらのマルチ翻訳機「arrows hello AT01(アローズ ハロー)」。

オフライン翻訳もOKな「arrows hello」

富士通コネクテッドテクノロジーズから販売されているこちらは、オンライン状態だと28の言語を相互翻訳可能な上、オフライン状態でも「日本語⇔英語」「日本語⇔中国語」の双方向で翻訳できるスグレモノ。そうそう、その機能、欲しかったんですよ。ただ、ネットのレビュー記事をのぞくと、「オフライン翻訳は精度が低い」といった声も。せっかく購入したけど「全然役に立たなかった」なんていうことは避けたいですよね。

果たして、そのレビューは真実なのか。実際に製品をお借りして、「arrows hello」のオフライン翻訳機能をUbergizmo Japan編集部員が検証してみました!

使い方説明&機能をお試し

はじめに、「arrows hello」の使い方を簡単にご紹介しましょう。……といっても、手順は非常にシンプルです。画面をタップして、話しかけたい&翻訳したい言語を設定。あとは、本体右側のボタンを押しながら話しかければOKです。

上記の動画は、オフラインで「英語→日本語」の翻訳を試したものです。編集部員の拙い発音でも、しっかり日本語に訳してくれます。

中国語翻訳を試した動画がこちら。唯一知っていた中国語「ニーハオ」を訳してみました。発音が正しいのか間違っているのかすら不明ですが、こちらもきちんと翻訳されています。

ここまで読んで、「いやいや、これくらいできて当然だろ!」と思われた方。えぇ、その通り。そもそもこれくらい簡単な内容なら、わざわざ翻訳機を使う必要はありません。それに、英語も中国語もサッパリなUbergizmo Japan編集部員の音声で試しても意味がない。というわけでここからは、英語&中国語ネイティブの方に協力してもらい、「arrows hello」のオフライン翻訳性能を試していきます。

英語ネイティブと話してみよう

英語ネイティブはイギリス出身のMさん

早速、英語翻訳から検証スタートです。今回ご登場いただいたのは、イギリス出身のMさん。もちろんバリバリのネイティブスピーカーです。

中学や高校で英語を習ったから、単語や文章はなんとなく理解できる。だけど「会話は全然……」という方も多いでしょう。Ubergizmo Japan編集部員もその1人。きちんとコミュニケーションを取れるか、本人を前にして突然おじけづく私……。身長も大きいし……。なんだか怖くなってきました。

不安な気持ちを抱えつつ、まずは簡単な質問をしてみます。「日本に来て何年ですか?」と、「arrows hello」に話しかけてみると……。

お見事。ばっちり翻訳できました。日本語→英語の翻訳はもちろん、Mさんのネイティブな英語も、しっかり日本語に訳されています。Mさんとスムーズに会話できていい調子です。次、行ってみましょう。

今度は、「日本の満員電車、やばいですよね?」と尋ねてみました。“やばい”という曖昧な表現を、「arrows hello」はしっかり認識&翻訳してくれるのでしょうか。

Mさんの回答は「ええ特にラッシュアワーに」。若干文章の繋がりは怪しいですが、意味の通った日本語です。ちなみに“やばい”は“dangerous”と翻訳されていました。オフライン翻訳、意外と(?)高性能かもしれません。

ところが、ここから少々苦戦することに。3つ目の質問として、「日本の好きな食べ物」を聞いてみたのですが……。

Mさんの英語を翻訳した結果は、「本当に私のことが大好きです」というもの。むむ、明らかににおかしい。どうやら味噌(miso)が“me so(本当に私が)”と誤訳した模様。

「味噌だけダメなのかな?」と思い、他の食べ物を挙げてもらうことにしましたが、どれも上手くいかず……。“Okonomiyaki(お好み焼き)”が“Economy is a key.(経済が重要です)”に訳されるなど、さんざんな結果になりました。しかし、なるほどなるほど。これで癖がわかりましたね。「arrows hello」のオフライン翻訳、どうやら固有名詞が不得意なようです。

ならばと、精度が高いはずのオンライン翻訳へ切り替えて再チャレンジ。

今度はバッチリ訳せました。「寿司が好き」と出ていますね。

検証を終えてMさんに感想を聞いてみたところ、オフライン翻訳では「日本語独特の敬語表現が、きちんと訳されていない」と感じたそうです。「~していただけますか」「~してもらえると嬉しいです」などと話しかけても、ストレートな表現に翻訳されてしまっているのだとか。

なるほど。「arrows hello」をオフラインで使うなら、怖そうな人に話しかけるのはやめた方がいいかもしれません。海外に行ったときは、Mさんのように紳士でやさしい方に声をかけることにします。Mさん、ご協力ありがとうございました。

中国語翻訳の性能は?

中国語ネイティブは台湾出身のCさん

続いては、中国語翻訳の性能を検証してみます。ご協力いただくのは、台湾出身、中国語ネイティブスピーカーのCさん。早速、Ubergizmo Japan編集部員と会話していただきました。

まずは、簡単な質問から。「今日の朝ごはんは何を食べましたか?」と尋ねてみると……。

Cさんの翻訳結果は、「今朝はパンを食べました」というもの。まあさすがに、これくらいはお手のものといったところでしょう。

次の質問は、少し趣向を変えてみます。Cさんから最寄り駅までの行き方を聞かれた編集部員が、日本語で回答するという設定です。

“駅までの方法”という表現は少々「?」ですが、こちらもスムーズに会話できました。外国の方に道案内するという状況は、海外旅行に行かなくても起こりうることですよね。日本のコンビニや交番に「arrows hello」が1台あれば、コミュニケーションも楽になりそうです。

ぶっ続けで検証をしていたからか、なんだかトイレに行きたくなってきた編集部員。でも、まだ質問が1つ残っている。……いや、間に合わないな。それに、お手洗いの場所もわからない……。

申し訳ないですが、Cさんに案内してもらいましょう。ということで、質問内容を急遽変更。「めっちゃトイレ行きたいです! すぐに行けるトイレを教えてください、早く!」と尋ねてみました。

少し怪訝な表情のCさん。どうやら文法がおかしいみたいです。とはいえ「トイレに行きたい」という意味は通じたようで、すぐに案内してくれました。おそらく“厠所”がトイレを表す単語なのでしょう。最悪の事態を回避でき、ひと安心です。

最後に、参考までにとオンライン翻訳も試してみました。

Ubergizmo Japan編集部員には何が違うのかわかりませんが、こちらが正しい文法とのこと。Cさんも、オンライン翻訳はすごく優秀だという感想でした。

検証結果

オフライン翻訳でも「コミュニケーションは取れる」という結果でしたが、基本的には文法や表現がより正確なオンライン翻訳を使うと良さそうです。あくまで、オフライン翻訳は「インターネット通信ができないときの“最終手段”」として考えましょう。でも、その最終手段があるかないかって、結構大きなと思います(トイレ探したいときとか特に)。

ネイティブスピーカー2人の感想をまとめると、「オフライン翻訳はたまに文法がおかしいけど、意味はしっかり通じる」「オンライン翻訳は文法も意味も正確」ということに。

※検証内容・感想はUbergizmo Japan編集部独自の感想です。