◆メリット
Milスペック(Mil-STD-810G)、防滴
たくさんのポート
優れたキーボード
超軽量
CPUとディスプレイに多くの選択肢
◆デメリット
バッテリー容量が減少
フットプリントの小型化
◆全体評価
評価: 9.5 / 10
レノボは今年初めに新しいThinkPad X1 Carbonシリーズを発表し、Intelの第10世代プロセッサを搭載した次期モデルを含むラインナップを発表しました。今回はこのThinkPad X1 Carbonをレビューします。
◆主な仕様
・14インチIPS LCDディスプレイ(複数のオプションあり)
・Intel Core i5、i7(第8世代または第10世代)
・SSD 256GB~1TB
・999ドルから(i5-8265U、8GB、256GBの構成)
今回テストに用いた構成:Intel Core i7-8665U(+ Intel UHD 620)、Windows 10 Pro、16GB RAM、1TB Samsung MZVLB1T0HBLR-000L7 SSD、4K(3840×2160)IPS液晶ディスプレイ
筐体デザイン:カーボンファイバー製の超軽量ボディ
X1 Carbonのデザインは、普通は相反する可搬性とタフネスを組み合わせているのが特徴です。
このモデルは1.1kgという重量に加え、MIL-STD 810GのMilスペック認定(12テスト)やvProマネージメントなどを取得しているおかげで、プロユースによく用いられています。
軽量化のため、多くの製品はマグネシウムを使用していますが、X1は取り外し可能な底部(マグネシウム合金製)を除いてより高価なカーボンファイバーで作られています。
Dell XPS 13(2019)、HP Spectre X360(2019)などの従来の競合製品は、X1 Carbonよりコンパクトな場合でも、かなり重いアルミニウムシャーシを備えています。実際、XPS 13のフットプリントはX1 Carbonより33%小さいですが、重量は11%増えています。
4Kディスプレイの背面にはカーボンファイバーのパターンも見え、X1 Carbonがカーボン製であることを強調しています。
このデザインは、ディスプレイのベゼルサイズが大幅に縮小された昨年のモデルと非常によく似ています。もちろん、約6%薄くなっているなどわずかな違いはありますが、一目ではそれほど明白には分かりません。
キーボードとトラックパッド
1.3mmのキートラベルは、タイピングの快適さと速度にとってほぼ最適ですが、好みの問題でもあります。おそらく、0.6mmのキートラベルと、小さな粒子の混入で入力できなくなってしまうMacBookのキーボードよりは優れているでしょう。
このキーボードはU字型のキーデザインになっています。つまり、キーは平らではなく、中央が下向きに凹んでいます。これにより、下向きの押す力が自然に中央に向かうため、入力ミスを回避できます。
X1 Carbonのキーボードは、快適であることに加えて、防滴性も備えており、コーヒーをこぼしてしまっても問題なく、キーの間に小さなパン粉も落ちません。
トラックパッドは標準的なものです。競合と比較した場合、このサイズは特に大きくなく、Macbook Proのものの方がかなり大きいといえます。
◆ポート
・USB Type-C Thunderbolt 3×1
・2×USB Type-A、3.1 Gen1
・1×HDMI1.4
・1×イーサネット
・3.5mmオーディオ×1
・盗難防止スロット×1
軽量ラップトップにもかかわらず、X1 Carbonには驚くほど多くのポートがあります。これが、X1 Carbonが絶対的な最小・最薄設計を目指さない理由です。結局、バッグに入れる上で重要なことは重量だということです。
USB-C Thunderbolt 3は電源ポート(65W充電)でもあり、外部モニターへの接続にも使用できます。HDMIポートもあり、プロジェクターや古いモニターに便利です。
Thunderbolt 3デバイスはデイジーチェーン接続できるため、少し考えて接続すれば、1つのポートで全ての機器の接続に対応できます。
USB-Aは2基。13.3インチの競合モデルのほとんどにも少なくとも1つのUSB-Aポートがありますが、現状のMacbook ProとMacbook AirにはUSB-Cしかありません。
音質
音質は昨年モデルで発見した弱点の1つでしたが、今回のモデルはクアッドスピーカーのセットアップ(上面向きのツイーター2基、下向きのウーファー2基)を通して非常に改善されています。
4つのスピーカーとDolby Atmosサウンド処理により、より「ボディ」のある強力なサウンドが鳴ります。最大音量時にツイーターの音が若干歪みますが、全体的にHuawei MateBook X Proの音質に近づいています。
表示ディスプレイ
レビュー機は4K IPS液晶ディスプレイが搭載されており、非常に高いピクセル密度と色精度(sRGB比約140%)を備えています。明るさの測定値は544NITでしたが、これは仕様の500NITよりも10%高い値です。このディスプレイは、Dolby Vision HDRでも認定されています。
◆表示オプション
・WQHD(2560×1440)300 nit、IPS、アンチグレア
・FHD(1920×1080)400 nit、IPS、低電力、アンチグレア
・FHD(1920×1080)400 nit、IPS、PrivacyGuard、アンチグレア
・FHD(1920×1080)300 nit、IPS、アンチグレア、マルチタッチ
・UHD(3840×2160)500 nit IPS、グレア、ドルビービジョン HDR 400
解像度、輝度、セキュリティオプションなど様々なオプションがあります。4Kディスプレイは光沢があり、1080pバージョンはつや消しのアンチグレア仕上げです。マルチタッチ機能があるのは1080pオプションだけです。
4Kディスプレイでは、明るさの設定は線形ではなく、キーボードキーから100%から90%に変更すると明るさは約50%減るという不思議な動作をします。
Lenovo X1 Yoga 2019とは異なり、X1 Carbonのディスプレイを開けるのは180度までです。
ウェブカメラ
ディスプレイの選択に応じて、2つのWebカメラオプションがあります。1つは普通のWebカメラと、もう1つは顔を3Dスキャンしてロック解除する赤外線センサーを備えたWebカメラです。
どちらのWebカメラも、カメラを隠してプライバシーを保護する物理シャッター「ThinkShutter」が搭載されています。これは「ThinkShield」という、様々なコンピューターセキュリティのをカバーするLenovoセキュリティイニシアチブの一部です。
マイク構成は、ウェブカメラ周りでは最大の変更で、一対一の会話から複数の参加者がいるシーンまで、あらゆる状況で機能する4つのマイクアレイを備えています。
音声録音はすぐに使用できますが、Lenovoはマイク設定で特定のユースケースを選択することで、複数の人がいる状況などに録音を最適化できるとしています。
パフォーマンス
X1 CarbonにはIntelの第8世代または第10世代プロセッサーが搭載されており、CPUオプションは6種類(Gen8×4 + Gen10×2)用意されています。
今回はIntel Core i7-8665U(第8世代)をテストしました。Core i7-10710Uを搭載したDell XPS 13 7390のパフォーマンスを調べて、世代ごとのCPUの違いを見ることができます。
◆CPUオプション
・Core i5-8265U(4コア)
・Core i5-8365U with vPro(4コア)
・Core i7-8565U(4コア)
・Core i7-8665U with vPro(4コア)
・Core i7-10510U(4コア)
・Core i7-10710U(6コア)
Geekbenchでは、より高いレベルのパフォーマンスが必要な場合は、第10世代のプロセッサーが必要ということが分かります。
第10世代プロセッサは、グラフィックス性能も優れています。最高の性能ではなくても問題ないなら、第10世代のCore i3プロセッサがコスパの良い選択肢です。
全体として、第10世代CPUのパフォーマンスは高く、グラフィックス性能も大幅に向上しています。第10世代CPUに搭載されている新しいIris Plus内蔵グラフィックスは、グラフィックス性能を実質的に2倍にします。これが最も重要なポイントです。
クリエイティブな作業やGPUを必要とするアプリなどが必要であれば、最新の第10世代CPUを選択するべきです。オフィス業務のみなら第8世代でもいいでしょう。
第10世代プラットフォームのもう1つの利点は、速度から効率が向上しているWi-Fi6が搭載されていることです。
必要であれば、4G LTEのモデム(Fibocom L850-GL 4G LTE CAT9)のオプションも選択できます。
バッテリー寿命
バッテリーの寿命に関しては、CPU/GPU/ディスプレイの組合せと、バッテリー容量を調べることをお勧めします。これらがバッテリーを主に消費する要因だからです。
2019 X1 Carbon の51Whバッテリー容量は、昨年のX1の場合57Wh未満ですが、Dell XPS 13の52Whと一致し、Macbook Air(2019)の49Whを少し上回ります。
ラボのテストによると、LenovoのRapidChargeを使用すると、1時間あたり47Whの速度でバッテリーを高速充電できます。これは昨年モデルよりも13%高速です。
最後に、4Kディスプレイは非常に多く(通常に比べて30%〜40%増)の電力を使用する傾向があるため、バッテリーの寿命を重視するなら、FHDオプションを選ぶべきです。一部のテストでは、FHDモデルのバッテリー寿命は、4Kモデルと比較して2倍長くなります。
私たちの4K構成での結果は、PCMARK 8によるバッテリーベンチマーク(PCM8WB)で6時間3分となりました。FHDモデルならさらに長く動作するでしょう。
結論:ユニークで非常に柔軟な製品
ThinkPad X1 Carbon Gen7(2019)は、ハイエンドの13インチから14インチのラップトップ市場であらゆるパフォーマンスまたは価格帯で競争できるように構成できる、優れた超軽量ラップトップです。
Dell XPS 13やHPのSpectre X360などの競合製品とは異なり、軽量で物理的な耐久性を備えています。超軽量であっても、水をこぼすのに強いキーボードを持ち、Mil-810-STDテストに合格しているのは特筆すべきことです。
X1 Carbonは、ほとんどのポートを備えた超軽量ラップトップでもあります。特に、フルサイズのUSBが1つも搭載されておらず、重量が23%多いMacBook Proと比較した場合は特にそうです。
もちろん、小さなベゼル、大きなトラックパッド、よりコンパクトなフォームファクターなど、Lenovoがまだ改善できるものもあります。しかし全体として、ThinkPad X1 Carbon Gen7はラップトップの最高峰といえます。
総合的な製品評価:9.5 / 10