2026年2月8日、中国・上海で開催された「AGIBOT NIGHT」は、世界初とされる“ヒューマノイドロボット主導”の大規模ライブガラとして注目を集めた。60分間にわたって生配信されたこのイベントでは、人間ではなくロボットが主役となり、ダンス、コメディ、音楽、マジックなど多彩なパフォーマンスを披露。単なる技術デモではなく、エンターテインメントとして成立する完成度が強調された。
イベントの狙いは、研究室内にとどまっていた「身体性を持つAI(エンボディド・インテリジェンス)」を、実社会の文化・娯楽空間へと拡張することにある。複数台のロボットが長時間にわたり安定稼働し、リアルタイムで連携する様子は、システム全体の信頼性や商用化の成熟度を示す実証実験の意味合いも持っていた。

特に印象的だったのは、高度なモーション制御と同期技術だ。宙返りや高速ターン、キャットウォーク、大人数によるシンクロダンスなど、複雑な動作を正確なタイミングで実行。人間ダンサーとの共演では、リアルタイムで動きを合わせる協調性も披露された。また、マジックショーやコメディスキットでは、複数のヒューマノイドが感情表現や掛け合いを行い、表現力の進化も示した。


会場では同社の製品ラインアップも紹介された。全身型のA2はマルチモーダル対話と自律移動を実演し、X2は会話能力と豊かなジェスチャー表現を強調。G2は産業用途におけるマニピュレーションや物流対応能力を、四足歩行型のD1は複雑な環境下での機動力をアピールした。用途別に最適化されたモデル展開は、研究段階を超えた市場志向の姿勢を示している。
同社は2025年末までに世界で5,000台以上のヒューマノイドを出荷したとしており、今回のイベントは技術的ブレイクスルー単体ではなく、「大規模運用と商業的スケーラビリティ」の証明に重点が置かれた点が特徴だ。春節期間中の開催という文化的文脈も重なり、ロボットが社会的・文化的体験を共有する存在へと進化しつつあることを印象づけた。
“ロボットが働く”から“ロボットが共演する”へ。AGIBOT NIGHTは、ヒューマノイドが社会に溶け込む未来の入り口を提示したイベントといえる。






















