ワシントン州立大学のチームが、アメンボにヒントを得た小型水中ロボット「ウォーターストライダー」を開発した。長さわずか22ミリ、重さ56ミリグラムのこのロボットは、画期的な「形状記憶アクチュエーター」を利用して水面を自走する。このアクチュエーターの長さは7ミリで、この種のものとしては世界最小だという。
WaterStriderのアクチュエーターは、ニッケル・チタン合金製の極小ワイヤーを2本使用しており、熱を加えると収縮し、冷えると元の状態に戻る。脈動電流を流すことで、ワイヤーが素早く前後に切り替わり、接続されたアームが羽ばたく。このメカニズムにより、ウォータースライダーは毎秒約6mmのスピードで水面を漕ぎ、アームは毎秒最大40回羽ばたくことができる。
このロボットのカーボンファイバー製のボディには、表面張力を維持する4つの円盤状の足があり、沈むのを防いでいる。Néstor O. Pérez-Arancibia准教授と工学博士課程の学生Conor Trygstadが率いる研究者たちは、比較のためにMiniBugと呼ばれる小型ロボットも作成した。
研究チームは現在、ロボットに電源を組み込む作業を行っており、水面上と水面下の両方を移動できる、昆虫にヒントを得た他のロボットの開発を目指している。これらの水中ロボットの用途としては、人工授粉、捜索救助活動、環境モニタリングなどが考えられる。さらに、形状記憶アクチュエーターは、微細加工やロボット支援手術への応用も期待されている。