全てのデータが示す、優れた超軽量ラップトップ

良い点 悪い点 評価
素晴らしい性能 第1世代と比較してバッテリー持ちが悪い 9.3/10
2Kディスプレイ 利用可能なポートが限られている
優れた音質 より大きな他のラップトップよりも高額
ドッキング機能
MIL-STD耐久試験に合格

 

「Lenovo ThinkPad X1 Nano Gen 2」は、超軽量ラップトップ界における画期的な製品である初代X1 Nanoの後継モデルです。Nanoシリーズは、ThinkPad X1シリーズの携帯性を極限まで高めるように設計されており、広く成功を収めています。

今回の第2世代は、ユーザーからのフィードバックを慎重に分析したことで実現した、システムパフォーマンスやその他のハードウェアのアップデートのおかげで、そのコンセプトを次のレベルに押し上げています。第2世代のThinkPad X1 Nanoは、当初導入された超軽量のウルトラモビリティコンセプトに基づいて構築されていますが、発売時点で最新のハードウェアが搭載されています。

「MacBook Airよりも約22%軽量」

そのため、Lenovoは”ウルトラモビリティ”を何よりも重視する特定のユーザーをターゲットにしています。これは、ThinkPad X1 Carbon、Dell XPS 13、HP Spectre X360、そしてもちろんMacBook AirやMacBook Proとは大きく異なります。

ただし、MacBook Airの重量は1280gであるのに対し、X1 Nano Gen 2の重量は995gとなっており、ユーザーエクスペリエンスの観点からは非常に顕著な違いがあります。

生産性を最大限に高めたい場合は、オプションで4Gまたは5Gモデムを搭載することも出来ます。Wi-Fiは広く利用出来ますが、4G/5Gの即時かつユビキタスな通信網(有料)とは比べ物になりません。

スペック
今回レビューに使用した機体には、Intel Core i7 1280P(28W TDP)、32GB RAM、及び1TB SSDストレージが搭載されており、このサイズと重量のラップトップとしては優れた仕様となっています。Lenovoは、ご希望の処理性能と予算に応じて、さらに多くのオプションを用意しています。

プロセッサ コア キャッシュ グラフィックス
Core i5-1240P 12 (高性能コア4 + 高効率コア8) 12MB Intel Iris Xe
Core i5-1250P 12 (高性能コア4 + 高効率コア8) 12MB Intel Iris Xe
Core i7-1260P 12 (高性能コア4 + 高効率コア8) 18MB Intel Iris Xe
Core i7-1270P 12 (高性能コア4 + 高効率コア8) 18MB Intel Iris Xe
Core i7-1280P 14 (高性能コア6 + 高効率コア8) 24MB Intel Iris Xe

取り外し不可能なRAMは標準で16GBで、アップグレードオプションで32GBを選択することも出来るので慎重に選択して下さい。ウルトラモバイルデバイスで32GBのRAMは、予算に余裕があれば強力なオプションですが、ベンチマークの結果には影響しない点にはご注意下さい。

「恐るべきメモリオプション」

SSDには256/512/1024GBのオプションが用意されており、Lenovoがターゲットに定めている”オフィスでの生産性向上を目指すユーザー”にとっては十分な容量と言えます。

 

製品デザイン


上から順にX1 Nano Gen 2、X1 Carbon Gen 10、X1 Extreme

全体として、X1 Nano Gen 2のデザインは前世代と非常に似ており、デザイン、人間工学、ウルトラモビリティに関する全てがほぼ同じであり、このモデルは性能がアップグレードしたものと考えるのが妥当です。

ThinkPad X1 Nanoシリーズを手にしたことがなく、初めて使用する場合には、その軽さに驚かれるかもしれません。多くの人は初めてこのノートパソコンを手にした時、中身が空の見本品を渡されたと勘違いするでしょう。このラップトップは、MacBook Airよりも約22%軽量となっています。

下から順にThinkPad X1 Extreme、X1 Carbon Gen 10、及びX1 Nano Gen 2

本体はブランドを象徴する「ThinkPad Black」で塗装されており、より高価なタッチディスプレイオプションを選択した場合、豪華なカーボン柄のディスプレイカバーが提供されます。残念ながら、今回使用したモデルには付属していません。

他の多くのウルトラモバイルラップトップとは異なり、このX1 Nano Gen 2はユーザー(または法人のIT部門)が保守出来るようにオープンな設計となっています。底部カバーを取り外して、ユーザーは交換可能なSSDにアクセスすることが出来ます。残念ながら、RAMははんだ付けされています(超小型ラップトップでは良くあることです)。

キーボードとトラックパッド
防滴キーボードは非常に薄いため、標準サイズのThinkPadラップトップよりもキーの移動距離が短くなります、ただし、移動距離は、最新MacBook Proの非常に浅いキーボードよりも大幅に低いままです。

他のThinkPadよりも触感が鋭く、気に入っています。ThinkPadのファンなら、購入する前にテストして自分の好みにどれだけ合うかを判断すると良いでしょうが、筆者は非常に快適だと感じており強くお勧め出来ます。

参考までに、筆者はデスクトップのキーボードとしてIBM Model Mを使用し、旅行時にはLogitech Mechanical MX Miniを使用しています。また、Keychron V1(Khailの白軸)とKeychron K1(Gateron 青軸)も所有しています。

トラックパッドの感触は非常に滑らかで、動作も良好です。このサイズのラップトップでは最大ではありませんが、物理的なトラックパッドボタンがある方が正確な操作が出来るので気に入っています。筆者はトラックポイントは使用しませんが、依然として多くのThinkPadユーザーにとって非常に人気のある機能の1つです。

セキュリティ強化のために、トラックパッドの右側に指紋リーダーが搭載されているので、IRウェブカメラの顔認証ログインに加えて、指紋認証を使用することを強くお勧めします。どちらも非常に安定しており、長いパスワードを入力するよりも便利です。

ポート


このラップトップは非常に薄いため、LenovoはUSB-Aやその他の大きなポートを搭載しませんでした。ただし、2つのThunderbolt 4ポートは、自宅またはオフィスのTB/USBドック(AnkerやSabrent等の製品)を使用して拡張出来ます。

Lenovoが、フルサイズのポートに合わせて本体の背面を変更出来るかどうかは、気になるところです。最終的にはラップトップのシルエットを壊すこと無く、ユーザーにいくつかのフルサイズポートを提供することが出来ると考えています。

サウンド


X1 Nano Gen 2は、初代モデルと同様の優れた音質を備えています。クアッドスピーカー構成(2Wウーファー x 2と1Wツイーター x 2)からのサウンドはパワフルで、このサイズとしては全体的に素晴らしいものとなっています。ただし、最大音量では少し歪みがあり、低音はそれほど低くありません。

とは言え、ホテルの部屋や空港、オフィスでのグループ通話等に使用するには十分な音量なので、問題は無いと思います。

 

ディスプレイ



これまでと同様、Lenovoにはタッチ式と非タッチ式の2つの13インチディスプレイオプションがあります。どちらも、輝度450ニト、sRGBカバー率100%、視野角85度、コントラスト比1000:1の低電力60Hz IPS LCDパネルが使用されています。

画面のフレームは、これほど薄いディスプレイにしては驚くほど硬く、積極的に変形させようとしてもわずかに曲がる程度です。ラップトップ本体を片手で開く際も、たわみはほとんどありません。

「プロフェッショナルでライトなクリエイティブワーク向け」

優れた輝度と色域を備えており、デザイン、写真編集、Web開発等のプロフェッショナルな軽目のクリエイティブ作業を可能にします。ハイエンドスペックが必要な場合は、おそらくモニターか、より大型で高価なモバイルワークステーションを使用することになるでしょう。
2K解像度(2160×1350)は、1080pよりも大幅に鮮明でありながら、4Kディスプレイほどバッテリー寿命を損なうことがないため、依然として優れた選択肢となっています。

ウェブカメラ
1080pウェブカメラは、以前の720pから顕著に改善されています。人々がビデオ通話を利用する頻度は遥かに増えているので、この改良は無視出来ません。全てのパーツは出来る限り小さくする必要があり、画質に影響を与える可能性があるため、この本体重量のカテゴリーでは購入者の心を動かす要因となる可能性があります。

その品質は価格相応で、暗い場所では同じ価格帯の平均的な性能よりも優れています。多少のノイズはありますが、フレームレートは高いままで、通信品質に影響することなく生産的なビデオ通話を行うのに十分な品質です。

Lenovoは、このレンズの絞りがf/2.0でクワッドマイク搭載であることを宣伝していますが、これは各メーカーがスマートフォンと同様にカメラ仕様を巡って間もなく競争を始める可能性があることを示しています。

 

パフォーマンス


ThinkPad X1 NanoにはIntel Core i7-1280Pが搭載されており、以前にレビューしたX1 Carbon Gen 10の1260Pよりもさらに高速です。そのため、このラップトップはGeekbench等のCPUベンチマーク(前世代よりも約2倍高速)やPCMark 10等の生産性ベンチマークで高いスコアを獲得しています。

これは、潜在的なパフォーマンスとのトレードオフのためにX1 Nano Gen 1の購入を躊躇していた人にとって、最も顕著で価値のある改善です。

3DMark TimeSpy等のCPUを大量に使用するテストにも同じことが当てはまります。これはゲーミングデバイスではありませんが、CPUとGPUの両方のテストで、X1 Carbon Gen 10からX1 Nano Gen 2に移行してもパフォーマンスに問題が無いことがわかりました。生産性の高いラップトップとしては、本格的な処理能力が備わっています。

「最も注目すべき価値ある改善」


ただし、X1 Nanoシリーズは、高性能ワークステーションとして設計されているわけではないという点にはご注意下さい。また、騒音レベルを比較的低く保つために搭載されている冷却ファンは1つなので、冷却能力はそれほど高くありません。

そのため、長時間CPUを100%使用すると、最終的に熱が蓄積し、サーマルスロットルが発生します。そうは言っても、一般的なオフィスアプリではそのようなことは起こりません。

SSDのパフォーマンスはX1 Carbonよりも劣りますが、ディスクアクティビティが関係するPCMark 10のテストでも、ベンチマークの結果に悪影響はありませんでした。

私達がテストしたX1 Nanoに搭載されているSSDは「KBG5AZNT1T02 LA KIOXIA」1TB ですが、X1 Carbon Gen10 の SSD は 「Samsung MZVL2512HCJQ-00BL7」512GB です。

性能/重量 比率
非常に軽量なラップトップの場合、それを分析する人はほとんどいませんが、パフォーマンスと重量の比率に注目することが重要です。データは、全てのベンチマークにおけるX1 Nano Gen 2の驚異的なパフォーマンス/重量比率を示しており、これはウルトラモバイルカテゴリーとしては並外れたものです。

”絶対なパフォーマンス”を達成するためにこのジャンルのコンピューターを購入する人はほとんどいないため、この比率は注目すべきパフォーマンス指標となります。

 

 

バッテリー持ち


PCMark 10 Modern Officeのバッテリーテストでは、このラップトップと49.6Whのバッテリー容量で8時間8分という結果となりました。これは、第1世代のX1 Nano Gen 1で得られた性能よりも大幅に低い結果ですが、X1 Nano Gen 2のパフォーマンスがはるかに高いことがその原因となっています。

X1 Nano Gen 2には、より強力で電力を大量に消費するプロセッサが搭載されており、私達がテストしたのはこのラップトップの最も高速なモデルです。より長いバッテリー持ちが必要で、絶対的な速度が重要ではない場合は、高効率コアがそれほど多くないCore i5-1240Pを選択すると良いかもしれません。

Lenovo 65W充電器を使用することでバッテリーを高速充電することが出来ますが、X1 Nano Gen 1や最新のX1 Carbon Gen 10ほどは充電速度が速くないことに気付きました。

 

まとめ


Lenovo ThinkPad X1 Nano Gen 2が優れた薄型軽量ラップトップであることを全てのデータポイントが示しており、ウルトラモバイルカテゴリーでは揺るぎない地位を確立しています。

それが、人々がこのコンピューターを購入したいと思う理由であり、それは私達が調査した市場データによって裏付けられています。人々はそれをiPadと比較しますが、これは薄型軽量ラップトップよりもさらに軽いものを求める人々のニーズを示しています。しかし、既に使用しているWindowsアプリを全て実行可能なWindowsコンピューターが必要な場合は、iPadでは不十分です。

「ウルトラモバイルの分野では、揺るぎない地位を確立しています」

また、データによると、人々がこのラップトップをThinkPad X1 Carbon Gen 10、XPS 13、MacBook Air(M1/M2)、ThinkPad Z13、ThinkPad T14等の薄型軽量製品と比較していることが示されています。ただし、これらはX1 Nano Gen 2よりもかなり重いため、別のカテゴリーとして考えており、持ち運ぶ時の感覚は全く異なります。

ディスプレイのサイズを0.3インチから1インチ大きくしたいが、重量がさらに増すのは気にならないという人であれば、それらを購入する良い理由になるかもしれません。ただし、パフォーマンスに妥協せずに最軽量の13インチラップトップを探しているのなら、ThinkPad X1 Nano Gen 2が唯一のデバイスとなるでしょう。これは、現時点で市場に出ている1kg以下のラップトップの中で、最高の製品となっています。

この記事は、編集部が日本向けに翻訳・編集したものです。

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